第16話 僕と美少女とデート パート3

一ノ瀬雷斗


「その......雷斗くん、また一緒に遊びに行こうね...!」


彼女が、朝宮さんがそう言った。



雷斗くんって......名字ではなく名前で


ホントなら”一緒に遊びに行こうね...!”というフレーズに驚くはずなのを...


僕は朝宮さんが名前で呼んだということに驚きを隠しきれないでいた。


「今..名前で...」


「ご、ごめんね...!!いきなり名前で呼んで...!!いつもは名字なのに...驚いちゃったよね...!!そこにベンチあるから座らない!?」


「あ、あぁ!!!座ろっか!!」


あまりにも急なことでびっくりしてしまい声に出てしまった。

朝宮さんが焦っていた様子で話していてホントに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


何をこんなことで...!!朝宮さんに嫌な思いをさせてしまったかな...


「今日はありがとう...とても楽しかった...!!」


「僕も楽しかったよ、二人で来るってのもまた新鮮でね!」


「またいけるといいな...」


そんなことをつぶやいている朝宮さん。けどその表情は少しだけ暗く感じた。


やはりさっきのことを気にしているのだろうか...

最後の最後に朝宮さんを悲しませるようなことを言って...!!

僕は何をしているんだ...!!せっかく朝宮さんから歩み寄ってきてくれたのに...!!!それを僕は......!!!





「ねぇ一ノ瀬くん...届くって難しいね...」




僕はハッと顔を君のほうに向けた。



””一ノ瀬くん”


いつも通りの呼び方になっていた。


違う、そうじゃないんだ、僕が思っていることはそんなことじゃないんだ。


朝宮さんが悲しむようなことなんて思ってない。


けどそれが言葉に出せなくて...


勇気のない弱い僕が情けないばかりに君を傷つけてしまった。


僕はただ嬉しかった。君が僕に歩み寄ってくれていることが嬉しかった。



僕は今の今までコミュニケーションを避けて生きてきた。

けど君は僕に沢山話しかけて来てくれた。

こんなヘタレ陰キャと君はなんも差しさわりもなく話しかけて来てくれた。

君は学園一の美少女。

それに伴い君は沢山の人と接してきただろう。

もしかしたらその中に”なんであんな奴と話しているの?”って言ってくる人がいたかもしれない。というか絶対にいるだろう。

こんなに今まで話すこともおこがましいような完全に影の奴と話すなんておかしいっていうのが普通だ。

生きてる世界が違う僕と学園一の美少女が釣り合うはずがない。

しかし、彼女はそれを振り切ってきたのだろう。

それがあったにも関わらず君は僕に話しかけて来てくれた。

多分僕が男子たちから暴力や愚痴を言われなかったのはきっと彼女が足止めをしていたからなんじゃないかと思う。


これは限りなく僕の妄想でしかないことだけどそう考えてしまう。


しかし、彼女が僕に話しかけて来てくれるは確かなことだ。

それだけで充分嬉しかったから...!

君が僕の視野を広げてくれた。たくさんの知らなかった世界を見せてくれた。



そんな君を!!朝宮さんを悲しませたくなんかない...!!!

君にはいつも笑顔でいてほしい...!!


「違うんだ朝宮さん。さっきは悲しかせてしまってごめん。名前で呼ばれたとき嬉しかったんだ。」


「え...??」


「素直に嬉しかった。朝宮さんがこんな僕に、こんなヘタレで頼りがいのない僕に歩み寄ってくれているのがさ」


「僕は口下手だからさ、イケメン陽キャラみたいにとっさにカッコいいことなんて言えないからテンパってしまって言い出せなかったんだ。」


「何年ぶりだろうな~こんなに異性の人と話すことができたのは。物心があまりついていない時だから明確な年齢は分からないけど女の人とこんなに話せることができたのは朝宮さんがが二人目だ(笑)」


「そうなんだ...!けどその一人目の子とはどうしたの...?」


「僕は小学生になる前くらい?まだ幼稚園に通っていた時かな。そこすらあんまり覚えていないんだけどさ、家の都合で引っ越ししてしまったんだ。中学生になってからはこっちに戻ってきたけどさ...引っ越しする前に公園でたまたまいた女のこと遊ぶようになったんだ。そこから毎日遊んだよ。楽しかったな...それが僕の初めて異性で分かり合えた人だったんだ。まぁ小さい頃はそんなこと気にしてなかったと思うけど...今ではいい思い出だよ......今何してるのかな...」


僕がそんなことを言ったときに朝宮さんは少しびくりと体を震わせた気がした。


「いい思い出だね......」


「うん...いい思い出だね...」


「ってそんなことはよくて!!名前で...呼んでくれでも構わないってことを言いたかったんだ...!べ、別に無理して言わなくてもいいんだけどね...!!!」


「呼ぶっ!!!呼ばしてくれないかな?」


「う、うん...!!!」


「雷斗くん!!!今日はとってもとっても楽しかった!!雷斗くんとが初めてのデートで良かったよ!!ありがとう!!そしてこれからもよろしくね!!!」


今日一番の満面の笑みで僕のほうを見てくる朝宮さんにドキッとしてしまった。


僕もいつか君を名前で呼べるように...


その時を待っててほしいな


「うん!僕も朝宮さんとが初めてのデートで本当に良かったよ、ありがとう」


僕も朝宮さんに微笑んだ。


「じゃあ夜ご飯でも買って帰ろっか!」


「うん、そうだね」


「あ!みてみて!満月だよ!!」




上を見上げるとそこには綺麗な満月が僕たちを照らしていた。


                        つづく



あとがき

最後まで読んでくださった読者の皆様ありがとうございます!!!

どうだったでしょうか!?初々しい二人のデートは!!

いいっすね~(笑)僕もこんなラブコメしたいです!!雷斗と朝宮さんが羨ましいです!!!といこととで!!デート編はこれにて完結です!!

次のストーリーもお楽しみに!!!

では!また明日!!              立花レイ

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