第2話 傷ついたデムの実

葵はダンの命令を受け 

朝5時より 畑に出かけた


7月上旬から8月にかけて デムの実の収穫期であり

熟したデムの実を捥いで 作業小屋にいるダンの元に届ける

畑と作業小屋は500メートル離れており 

籠に30個のデムの実をいれると

5Kgの重さになり

12歳の少女が運ぶには かなり過酷である


デムの実を傷つける事があれば

ダンからの容赦ない仕打ちが・・・


半月前 葵は水たまりに足を滑らせ

バランスを崩し倒れてしまった


右手で地面に手をつき

体位を支えようとするが・・

籠の中のデムの実3個が 地面に転げてしまった

必死で食い止めようとするが、

デムの実3つがが・・・傷ついてしまった・・


「どうしよう・・・・大切なデムの実が・・」


葵は 朝から何も食べておらず

ひどく空腹であった為 一瞬食べてしまおうか?と迷った


しかし葵は元来正直者であり

証拠を隠滅し ウソをつけない性格であった 


葵は正直にダンに報告する事にした


「何だと! 大切な商品を傷つけたのか!!貴様!!!」

怒り狂ったダンは 傷ついたデムの実を手にとり

葵の顔をめがけて投げつけた


「バカヤロウ!

これがお前の朝食だ!

今晩はメシ抜きだからな!!」


「ごめんなさい・・・」

葵は潰れたデムの実を手にとり 

一口食べようとするが

踏みつけられた 泥混じりの実は

とても食べられたものではない


「あと3往復だ!」

葵に命令し 

終了の筈だった作業が追加されてしまった


「でも、もう体力が・・・」


「うるさい!

オレの命令が聞けないのか!」


葵は逆らう事ができず

作業が終了したのは17時過ぎ


葵は疲れ果ててしまい・・

作業小屋の前で 倒れこんでしまった


ダンは作業終了を確認し 

倒れている葵に気にも留めず 

酒瓶片手に ガデムの町に出かけていった

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