@novel_fuguuu

目覚め

 --起きてください。起きてください。--

 優しい声がする…。私がゆっくりと目を開けると、顔の小さな、人形のような美しい女が顔を覗かせている。


「あ、あなたは?」

 私は声を震わせ、そう聞いた。


「覚えていらっしゃらないのですか?」

 女は疑うように答えた。


「ええ、すみません。どうも記憶が混乱しているのか、よく思い出せないのです。ここがどこなのか、自分が誰なのか。そして、あなたが誰なのか。」

 私はそう言い、体を起こし、あたりを見渡した。

 そこは、道だった。青いカーネーションと百合とが咲き乱れている中に一本の道があり、私たちはその道の真ん中に座っていた。


「ふふ、あなたは本当にどこか抜けているところがあるのね。私はあなたの、妻ですよ。」

 女は優しい笑顔で微笑み、照れたような顔で答えた。


「あなたがわたしの…。すいません。よく思い出せなくて。

 ここは、、どこなのですか?」

 私が問いかけると、


「私たちは旅をしていてその途中ですよ。ここがどこだか、私にもわかりません。」

 女は答え、

「さぁ、立ってください。行きますよ。」

 と、わたしの手を強く握り、引っ張っり、この一本道を進んだ。

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