第5話
昼時。
此処は共同の食堂になるので色んな学部、学年が集まる。
僕とお嬢様は人目につきにくい、片隅の長テーブル越しで顔を合わせている。
「お嬢様、噂について説明して下さいますよね?」
「噂ってどういう事?私何も知らないわ。」
「知らないとは言わせませんよ。情報源はカイルからなので確実な情報です。」
「キリアの事が好きで好きで堪らないカイルさんの事ね。」
「あのですねお嬢様、そういうのじゃ無いですからね。私とカイルはただの親友ですからね。」
やはりそういう目で見られるのか、重いため息が出そうになる。
「そうだぜ、俺とキリアは親友という固い絆で結ばれてるんだ。決してLoveの方じゃ無いぜ。」
そう言って僕の隣に座ってくる。
距離が近くないか?
手に持ってるフォークで、掌突き刺したくなる。
「そう言うのなら、もう少し距離間と言うものを貴方は学んだ方が良いかしら?」
お嬢様の友人、マリアナ様がお嬢様の隣に座る。
「貴方達、そういう話はまた今度にして下さい。今はお嬢様の噂の件について問いただしたいのです。お嬢様お話して下さいますでしょうね。」
僕としてはパパッと解決して平穏な日常を過ごしたいのだ。今その話はいらない、笑顔でお嬢様に問いただす。
「……噂というのは手紙の件ね。」
お嬢様はテーブルの上に1通の手紙をだす。
「拝見しても?」
「えぇ、どうぞ。」
手紙を開くとびっしり文字が書かれていた。
確かに花弁も入っている。
手紙の最後にあと1週間で準備が整うよって書かれてるけどどういう事だよ。
「黒い薔薇の花言葉は貴方は私の物らしいわよ。キリアさん、貴方はこの件をどう解決するつもりかしら?手紙からすると1週間後に何か起こるらしいけれど。」
マリアナ様が笑いかけてくる。
この人は面白がっているのか?お嬢様がこの様な目に遭っているのに。
前々から思うがこの人は不思議なオーラを纏っている。
「お嬢様、心当たりはありますか?」
「1人だけこの様な事をしそうな方はいるわ。」
「直接問いただすのは、危険な気がしますので当分の間1人になるのは避けて下さいますか?マリアナ様、なるべくお嬢様の側にいてあげて下さい。私も放課後は早めにお迎えにあがります。詳しい事は屋敷に帰ってから話し合いましょう。」
何せ此処はヤンデレのゲームの世界だ。
何も準備無しに接するのは身の危険がある。
「俺も何か協力出来ることがあったら言ってくれ!キリアのピンチは俺が助けるぜ。」
笑顔でそう言ってくれるのは助かるが、お嬢様の視線が痛くなるからやめてくれ。
「ありがとう。出来ればお嬢様の方をお願いしたいんだが……。」
でも準備って何すればいいんだ?
ヤンデレ対策ってどうすればいいんだよ……
僕は先の事に悩み過ぎて食が通らないのであった。
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