怖そうで怖くない、ちょっとだけ怖い俺のラブコメ

第7話 本当、お人好しだね

俺はとりあえず桜に上野の話を洗いざらい全て話した

なんと、幽霊の話は信じてくれた

まあ、あのおじいちゃんがいれば信じるか...

「じゃあ、私は幽霊に説教されてたわけね」

「えっと、それは...」

上野の顔を見ても言い返すつもりはなさそうだ

「あ、ちなみに復縁の話は忘れてもらって良いから

私、元々あなたのこと好きでもないし」

「えっと、そ、そうか」

な、なんだそりゃあ

なんとも胸に刺さるものがある

「元々って、それ昔付き合ってた時から！？」

「そう　あと私、普段はゆるふわって感じだけど、素の私はこんな感じだから

親の前で良い子ぶってたらみんなの前でもそうなっちゃってね」

桜のキャラ崩壊が止まらない...

「じ、じゃあ...」

初めて上野が桜に対して口を開いた

「なんで付き合ったりしたんですか」

確かに、確かにそうだよな！

付き合う必要なんてないだろ！

「それは、親が過保護すぎるが故じゃ

すまんな、ワシの孫が

でも、どうか許してやってはくれぬか」

おじさんが何かの道具を取り出してこっちのほうにやってきた

おじさんはその後も語り続けた

「桜の親は過保護でな、昔から何をするにしても制限がつけられてたんじゃ

それが大学1年生の終わりまで続いたんじゃ」

それって俺たちが付き合った時

「桜はそこで一人暮らしをすることに決めたんじゃ

でも一つだけ制約があったんじゃ」

「親好みの彼氏を連れてきて、その人に任せられると思ったら一人暮らしを許すってやつ

だから私は一輝と付き合った」

「そ、そうだったんだ」

「一人暮らしできるようになった私はあなたと別れて、家族には彼氏はまだいると嘘をつき続けた

でもそのあと親がこっち来るってなって、ばれそうになったの」

「だから俺以外の人に頼もうとして彼氏作った　でもまさかキスまでとは...」

「それだけ私は辛かったってことよ

本当、振り回してごめんなさい」

「一旦ワシの家でかくまってるってわけじゃ

さあ、上野さんと申したかな？

彼女と二人で話したいから、二人は出ていてくれ」

ま、まさか

「引き受けよう」

上野と目を合わせて喜んだ

あんなに上野が嬉しそうにしていたのは初めて見た

○○○

気まずい...

俺と桜だけ外に出された形だ

さっきの話聞いて話ずらい

「私のこと、恨んでる？」

「い、いや　そんなことない」

「...」

「俺、彼女出来たの初めてだったからさ、親に会うのが早いとか遅いとかわかんないしさ、」

「...」

「でも、あの時は桜のためならなんでもやってあげたかったというか

だから、勝手にやっただけだし、恨んでなんかないよ」

「あっそ　本当、お人好しだね」

俺は、君がどんなにクズだったとしても、桜には幸せになってほしいし、こんな俺と付き合ってくれていただけで嬉しかったし

「親が今度こっち来る時、彼氏のフリしてくれない？

来週の日曜日ね」

「え？」

〜その頃、相談所では〜

「お主はどうしたい？

天国に行けばもう現世には残れないぞ？」

「わ、私　天国に行きたいです」

○○○

「ピピピピ」

「もう、うるさぁ〜い」

私は朝比奈みゆ

夏休みでも、毎日早起きしています

早起きは三文の徳ですし

って、三文ってなんだ？

そしてSNSもチェック！

夏休みは先輩にちょっと連絡したけど、なんか忙しいみたいだし

「今日も先輩から連絡は来てないかぁ...」

[通知　川口さんから連絡が来ています]

「あれ、なんだろ」

[かな先輩の親と連絡が取れたの

今日会えるかもしれないから、今から行かない？]

[行きます]