第6話 ほしよりの使者 1

 二度目の目覚めも、あまりいいものではなかった。いや、むしろ酷くなっているようにさえ思った。

 カチは弛緩した体で、もぞもぞと身じろぎをし、大きく息を吸った。海の中ではない。息ができる喜びに、ぼんやりとした意識が徐々に冴えてくる。

「ここは……?」

 寝かされていたのは、ベッドの上だった。

 一瞬、今までの出来事が全て夢であったのだろうかと考え、カチは首を振って否定した。

 当たり前のように体を包んでいた水に飲まれる恐怖は今もなお、乾いた空気の中にあっても体の芯に残っている。この感覚は夢であるわけがない。

 着替えさせられたのか、乾いたのかは定かではないが、水色のワンピースを着けたまま、薄手のシーツが掛けられていた。

(走ったせい、なのかな)

 全身は異様にだるい。起き上がるどころか、指一本を動かすのすら、ままならない。

 最初に目が覚めた個室とは違い、寝かされている部屋は密閉されていないように見えた。狭いものの、僅かに流れる風が頬をくすぐるのを感じる。

 カチはそのまま、ぼんやりと天井を見上げていた。

(あんな酷いこと……どうして)

混乱がいくらか落ち着くと、入れ替わるようにして迫り上がってくる激しい感情に、カチは目尻から熱い涙が流れてゆくのを感じた。

 溺れたショックも大きい。だが、それ以上にカチは、無惨に刻まれたシロイルカの姿に嘆いた。

 生き物であったとは思えないほどに生気を喪失し、乾いた肉の塊となった姿がくっきりと脳裏に深く刻まれている。目を閉じれば、瞬時に恐怖と共に浮かび上がってくるほどに。

「目が覚めたのか」

 幼い声に呼びかけられ、カチは瞼を瞬いた。

 柔らかいベッドの上に仰向けで寝ころんだまま、顔だけを動かす。

 いつから枕元にいたのか、銀色の長い髪を二つに結ってまとめた少女が立っていた。

「誰……でしょうか?」

「オルカ・オフショア。カチ、あなたと同じ存在」

「同じ、存在?」

 聞き返し、カチはゆっくりと起き上がる。

「そう。オルカ・オフショアはアンピトリテ。カチも、そう」

 じっと見つめてくる、緑と青のオッドアイ。

 長い睫毛に縁取られた丸く大きな瞳だが、意思といったものが感じられない。映り込むものを、ただそのまま映し出す、鏡のような眼球だ。

 愛らしい容姿によく似合う、フリルのついた黒いワンピースを着ているオフショアは、殺風景な部屋に飾られた置物のようにも思えた。

「アンピトリテって、なんですか? それに、わたしの名前を、どうして知っているのですか?」

「それが、オフショアの力」

 無感情な声で短く言って、オフショアはベッドの上に座り込んだカチを見上げた。

「問うことは間違いではない。だが、オフショアがカチに告げられることは限られている。答えを欲するのならば、ノートか真朱に問うべきだろう」

 オフショアは、艶やかな銀糸の髪を揺らし、頷いた。

「目が覚めたのなら、行かなければ」

「行くって、何処へですか?」

 オフショアは小さな手で扉を指さした。

「カチを待っている。しかし、その前に、これを着るといい」

 妙な口調で語るオフショアは、サイドボードに置かれている布束に目配せをした。

「これは?」

「ここは、海ではない。地上は寒く、カチでは凍える」

 促されるまま取り上げ、広げてみた。真朱たちが着ていた服と同じデザインのワンピースと、厚手の黒いストッキングだった。

 ふと床を見れば、ブーツも用意されている。

「あ、ありがとうございます。オフショア……さん」

手触りの良い厚手の布地は、しっかりしていて暖かそうだ。すくなくとも、心許ないワンピースよりはマシだろう。

 カチは周囲を見回し、オフショア以外に誰もいないことを確かめた。

 水色のワンピースを脱ぎ、手早く着替える。ストッキングを穿いて、ブーツに足を通して立ち上がる。

「暖かいですね。それに、動きやすそうです」

「こっちへ、カチ」

 手を握れという意思表示だろう。差し伸べられる小さな手に、カチは戸惑いながらも従った。

 暖かい人肌をそっと握ると、オフショアに半ば引っ張られるようにして歩きだす。

 小さな見た目とは相反する意外な力強さに、カチは面食らった。

 触れてもいないのに開くドアに驚きながら、共に個室を出た先は、広い部屋になっていた。

 応接間か、執務室なのか、周囲の壁にはいくつもの書棚が置かれ、大きな窓の側には机と椅子が並べられている。部屋の雰囲気を決める壁紙はベージュで、とても落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

「まあ! よく似合っているわね」

「――えっ!」

 大きな声に、カチは反射的に飛び上がった。

 部屋の中央にローテーブルとソファが置かれていた。

 革張りの、柔らかそうなソファから立ち上がったノートの熱い視線に、カチは一歩、二歩と後ずさった。

「ノート。カチが驚いている」

「あら、ごめんなさい。声、そんなに大きかったかしら?」

 微笑を浮かべるノートに、敵意がないのは何となくわかる。

 だが、無惨に刻まれたシロイルカの姿が脳裏に焼き付いて離れない。

 カチはあの、白衣の男たちを連想させる特異な色合いの瞳を持つノートに怯えを感じていた。

「……カチ」

 ぎゅっと手を握りしめられ、カチは反射的にオフショアに視線を落とした。

 感情が読み取れないオッドアイは、ただぼんやりと宙を見ているようにしか思えない。

「ノート、カチは偽りの姿の末路を見た。だから、アルビレグムに対して恐怖心を抱いている」

 ノートの顔から微笑が消え、苦々しい表情に変わる。

「……そうよね。あんなものを見たら、怖がるのもむりはないでしょう。配慮が足りなかったわ」

「見られちまったのは、俺達の落ち度だな」

 プシッ、という空気音と共に開く扉の向こうから、頭に包帯を巻いた真朱が現れる。

「いいか、おとなしくしていろよ。動くんじゃない」

 真朱は吐き捨てると、状況を理解できずに身を固くするカチへと突進するような勢いで歩み寄り――

「え? あ、あの、わたし!――きゃっ!」

 目の前で振り上げられた腕に、カチは反射的に目を閉じ、悲鳴を上げた。

 次いで、頭と耳に違和感を覚え、眉をしかめる。

 とりわけ痛いというわけではない。これは異物感だろうか。両耳に丸い何かが覆い被さっているようだ。

「携帯型の小径思念遮蔽装置だ」

「け、けいたい……しょけい?」

 言い間違えるカチに、なんとも言えない溜息が掛けられた。

「……通称、サイレンス」

 耳が覆われているせいか、聞こえる音がくぐもっていた。

 慣れない感覚は不快で、カチは外そうと耳に手を伸ばした。

 だが、睨みつける真朱の目が怖くて、サイレンスと言われた機械を両手で掴んだまま何もできずに立ちすくんだ。

「本来なら、アルビレグムのテレパシー能力を抑制する装置だが、精神波を遮断する性質上、お前の能力もいくらか抑制できる。しのごの言わずに、着けておけ。でないと……」

 勢いのままに捲し立てる真朱は言葉を切って、圧倒されているカチに真っ白い包帯を指さしてみせた。

「死人が出かねない。俺でなけりゃあ、危なかったぞ」

「そんなこと言われても。わたし……何も、何もわからないのに」

 目頭が熱くなるのを感じる。

 混乱は増してゆくばかりで、カチは不安に押し潰されてしまいそうだった。

「これだけは聞いて欲しいの、カチ」

 静かに、優しく響く声に、カチは俯きかけた視線を持ち上げた。

「私たち環境保護機関は、あなたのような存在……アンピトリテを守るために設立された組織だと言ったわね」

 緊張に唇を噛みしめ、カチは小さく頷いた。確かに、ノートも真朱もそんな言葉を口にはしていた。

 ただ、カチには今ひとつ、ピンと来なかった。

 自分がどんな存在であるのか、未だにはっきりとしないのに、守られる理由など全然わかるわけがない。

「それは本当よ。言葉でしか伝えることはできないけれど、信じて欲しいの。あなたがこの世界で生きるためにも」

「でも、なぜですか? なぜあんな酷いことをしたんですか!」

 いきなり信じろと言われても、それは無理な話だった。

 カチは警戒していることをアピールするために、ノートを睨んだ。

「研究調査局の行為については、私たちの本意ではないわ。まさか、保護不可侵条例を平気で破るなんて思わなかったの。でも、そうね」

 ノートは哀しげに眉をひそめた。

「そうであったとしても、私は謝らなければならない立場にあることに、違いはないわ」

 一呼吸を置いて、ノートは口を開く。

「ごめんなさい、カチ。あなたを守るためとはいえ、擬体を研究調査局に渡したのは私、ノート・リン・ドゥルーツォ・アルビレグムです。予期していなかったこととはいえ、言葉では償いきれない結果を招いたことを謝罪するわ」

 迷うことなく、ノートは深々と頭を垂れた。

 潔すぎるノートの態度に、カチは黙り込むしかなかった。

 顔を上げ、しっかりと見つめる凛とした視線には、嘘はない。心からの謝罪であることをカチは感じた。

「わたしは……」

 膝丈のワンピースをぎゅっと握りしめ、カチは訊いた。

「わたしは、そもそも何なんですか? 人間なんですか? それとも、シロイルカなんですか?」

 プールに落ちたときに見た、大地が壊れる生々しい記憶と、シロイルカとして海を泳ぎ回っていた記憶が、頭の中に混在している。

 何がどうなっているのか、何が本当なのか、はっきりさせたかった。

「お前は、人間だ」

 胸中の不安感に煽られるままに叫んだカチに答えたのは、真朱だった。

「八十年前にシェルターで海へと避難し、生き残った人間だ」

 真朱の言葉に、カチの脳裏には崩壊してゆく宇宙ステーションの映像がよぎる。胃が迫り上がるような恐怖に襲われ、反射的に喉元を押さえた。

「夢じゃ、夢じゃなかった?」

 こめかみを、汗が一筋つーっと流れ落ちる。

「見て頂戴。これが、今の地球よ」

 室内の照明が落とされた。

 微かな機械音と共に天井から降りてきた白い布に、同じようにして現れたプロジェクタの光が浴びせられる。

「これが、地球……なんですか?」

 白いスクリーンに映し出されたのは、漆黒の空間に浮かぶ真っ青の球体だった。

 隕石によって破壊されたはずの宇宙ステーションの輪と、雲がかかっているものの、それ以外には何もない。

 大陸は、ただの一つも存在してはいなかった。

「まるで海王星(ネプチユーン)のように深い青。地球(テラ)は青に満たされている」

 瞬くプロジェクタの光に照らされる、オフショアの無感情な顔をちらりと見やり、カチは呆然とスクリーン上の地球を見つめた。

 何度どう見ても、どれほど凝視しても、青ばかりが広がる球体が地球であると、カチは信じることができない。

「今の地球に大陸はない。この街だって、幾つもの浮体ブロックを組み合わせて造られた浮き島の上に建っているんだ」

「宇宙ステーションも、あなたが知っているものとは少し違うでしょう? 私たちアルビレグムと月面地球人によって新しく造られたものよ」 

 プロジェクターのスイッチが切られ、照明が点けられる。

 眩しい視界に目を細め、カチは機械を操作していたノートに顔を向けた。

「アルビレグムって?」

「太陽系とは異なる星海から亡命してきた、知的生命体。母星である地球を失った月面地球人と共に生きる異邦人よ」

 カチは自分の中に散在する記憶の欠片を掻き集めようと試みた。

 だが、動揺が大きすぎて、集中できない。首を振って、諦める。

「宇宙人……ってことなんですか?」

「そうね。可愛らしい言葉で言えば、そうなるでしょう。見た目はそう変わらないけれどね」

 特徴的な目を細めてノートは答えた。表情のある眼球は、偽物ではない。

「カチはアンピトリテ」

「オフショア、お前もな」

「そう、オフショアも同じアンピトリテ。深い海の底で、特異な進化を遂げたホモ・サピエンス」

 カチは長い髪を一房そっと手に取って、まじまじと見つめた。

 みずみずしく艶やかで、弾力のある髪は銀色だ。白髪ではない。人工灯の光を反射して、キラキラと輝いている。

「でも、わたしは――」

「あのシロイルカは、お前じゃない」

 戸惑うカチの声を押しのけて、真朱はトーンを低く落とした声になって言った。

 苦みを感じさせる響きに、カチは体を硬くする。

「ヒトのものに酷似した脳をもつ、相違新生命体……俺達は擬体と呼んでいる」

「そうい……しんせいめいたい?」

 眉をひそめ、カチは真朱の言葉に首を傾げる。

「あのシロイルカは、お前の脳を模した脳を持っていた。つまり、お前の複製だ」

「わたしの?」

 いよいよ訳がわからない。カチは大きな執務机のそばに立つノートを見やった。

「改変された世界は、いまだにわからないことがたくさんあるの。あなたたち、アンピトリテについても、そう。ごめんなさいね、全てを答えることはできないの」

 ノートは執務机に埋め込まれたパネルを操作した。

 窓から射し込む光を遮っていたスクリーンが、天井へと飲まれていった。カチは暖かい日差しを感じて瞼を瞬かせた。

 ガラス窓の向こうには真っ青の空が広がり、宇宙ステーションの輪を見ることができた。

「新たな地球を知るため、深い海の底に潜むものを知るためには、あなたのような存在……アンピトリテが持っている記憶が必要不可欠なの」

 強い感情を宿す瞳に見つめられ、カチは戸惑った。

「だから、わたしを……守るのですか?」

「カチ。アンピトリテを必要としているのは、私たちだけじゃないの。もっとたくさんの、それこそ、目的のためなら何でもやりかねない過激な連中もいる。保護管理局は、そんな連中から、完全保護不可侵生物を守るために存在しているのよ」

「でも、わたしは何もわかりません。何も、知りません」

「それは、違う」

 被せるようにして割り込んでくる声に、カチはオフショアを見やった。

「カチは思い出せないだけ。忘れてしまっているだけだ」

 向けられる、オフショアの視線にカチは背筋が粟立つのを感じた。

 一見すると無感情に思えるが、左右不対の色を持つ瞳は、心の奥深くにあるものを抉り出すような強さを感じた。理由のわからない恐怖に襲われ、カチは小さく震えた。

「混乱しているのよ、カチ。時間が経てば徐々に記憶が戻ってくるでしょう。なにせ八十年も眠っていたのだから、ね」

「いますぐに、どうのこうのという話じゃないさ」

 真朱は不機嫌そうな表情をカチに向けた。

「世界は変わり、お前はアンピトリテと呼ばれる存在に変化した。だが、そんなことをいきなり言われたって、実感がわかないのは当然だ。ぐだぐだ話していたってしかたがない、そのうちわかるだろうよ」

「そ、そうなんですか?」

「そうさ」

 カチは頭一つ分くらい高い背の真朱を見上げ、再び視線をノートに戻した。

「ノート、連星政府の認定は下りたのか?」

「認定?」

「完全保護不可侵生物の認定だ。役所ごとでしかないが、その認定がなければ、お前は正式な保護対象にはならないのさ。国境のない地球からサルベージされたものは、基本的に見つけた奴のものになる」

 どういうことかと首を傾げれば、溜息がない交ぜになった、呻き声を浴びせられた。

 悪いことでもしたのかと思い、身をすくめれば、真朱は何か言いたげに口を動かし……。

 しかし、何も言わずに肩をすくめて頭を掻いた。

「何をしてもいいってことだよ」

 苦々しい声に、カチは唇を噛んで俯いた。

「じゃあ、あのシロイルカは?」

「何から何まで自由にして良いというわけではないわ。認定とは別に、アンピトリテに対する必要以上の接触を禁止する、保護不可侵条例というものがあるの。だけど、研究目的であるとはいえ、条例を無視して、あんなことまでするとは思わなかったわ。同じアルビレグムとして、恥ずべきことよ」

 ノートの表情が怒気に強張る。

「カチ、あなたは特異な存在であるアンピトリテの中でも更に特異な存在なの。だからこそ、危険であり、認定が下りる前に、あなたが特別である事実を知られるわけにはいかなかった」

 微苦笑を向ける、ノートの目尻が光っているのを見て、カチは己の混乱を散らすように息を吐き出した。

「だからといって、許される行為で無かったことは認めるわ。償いは、できうるかぎりするつもりよ。納得いかないとは思うけれど、今は我慢して頂戴」

 ノートは執務机に着いて、プロジェクターを操作していたパネルへ手を伸ばし、青いボタンを押す。

 何も置かれていなかった机の上に、半透明のスクリーンが浮かび上がってくる。

 下から上へと、スクリーン上で流れてゆく紋様を目で追い、スクリーンの端に画かれている文字に、カチは声を上げた。

「環境保護機関、保護管理局! わたし、読めます! ……どうしてでしょう?」

「そりゃそうだろう、日本語だからな」

「日本語?」

 聞き返すが、真朱は取りあおうとはしない。スクリーンを見つめるノートを促した。

「……で、どうなんだ、ノート。認定は下りているのか?」

 真朱の位置……つまり裏面からは文字は紋様に処理され、読めないようになっている。

「安心して頂戴、認定は下りているわ。ただし、アイディー・カードの発行は、連星政府日本国庁舎にて行うそうよ」

「取りに来いってか。いつもどおり、郵送すりゃあ済むものを」

「カチを見たいのでしょう。ともかく、エスコートをお願いするわね、真朱」

 スクリーンを消して椅子から立ち上がったノートはにっこりと微笑み、不満げに眉をひそめる真朱に言った。

「なんで俺が」

「リドフォール・レイ・スクーノト・アルビレグム連星議員のご指名よ」

「……なんだと?」

 唸るような声に、カチは真朱を見つめた。

 すっと細められる目は、強張っているようだ。カチはそんな様子をおかしいと思った。

 だが、単なる勘にしか過ぎない。なぜそう思うのかまではわからない。

「ここに、来ているのか? あいつが」

「ついさっき地球に到着されたそうよ。あなたの顔も見たいんじゃないかしらね」

「気が乗らねぇな」

 がしがしと頭を掻いて背を向ける真朱に、ノートは容赦なく言った。

「あなたがどう思おうと、これは命令でもあるのよ。なんたって、正式な書面で来ているんだもの。必要なら、プリントアウトしてあげるけど?」

「くそ……」

 毒づいて、真朱は大きく肩をすくめた。

「必要ない。さっさと行って、さっさと済ませてくるよ」

 そのまま、振り返ることなくドアに向かって歩いて行ってしまう真朱の背中を、カチは呆然と見送る。

「あ、あの。わたしは、どうすれば?」

「真朱にこの街を案内してもらいなさい。きっと、面白いわよ」

 ノートはにこりと笑い、親指で背後の窓を指し示してみせた。

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青の住人 濱野 十子 @10Individual

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