542話 モニカとニムの最新ステータス

 俺の寝室で、ミリオンズの秘密会議を開いている。

 ミティとアイリスの現状ステータスの確認と情報共有を終えた。


「次はモニカだな。モニカが強化したのは……」


「聴覚強化をレベル3にしたね。後は、体力強化を新しく取得させてもらったよ」


 モニカがそう答える。


「そうだったな。モニカはもともと耳が良かったが、それがさらに強化されたわけだ」


「うん。戦闘では役に立ちにくいけど、索敵や警戒ではかなり重宝すると思うんだよね。それに、見えないほどの暗闇の中でも聴覚を頼りに動けるし」


 俺はモニカのスキル強化の理由に納得した。

 聴覚強化のスキルは地味だが、確実に役立つスキルだ。

 俺も聴覚強化レベル1は取得済みだし、その効果は理解している。


「体力強化を伸ばした理由は……」


「ミティと同じだよ。出産のためだね。心配しすぎかもしれないけど、念には念を入れてね」


 モニカがお腹を撫でながらそう言った。

 彼女のお腹も、ミティやアイリスと同様に少しずつ膨れてきている。


「いいと思う。万が一があっては取り返しがつかないからな」


 特にモニカは、ミティやアイリスと比べて体力のステータスが低めだ。

 体力強化のスキルも未取得だった。


 実際、戦闘時などにおいて彼女がへばるのは少し早い。

 ラスターレイン伯爵家との戦闘では、ファイアードラゴン戦の直後だったということもあり、体力と魔力不足により敗北を喫した。

 モニカが万全の状態であれば、ラスターレイン伯爵家に勝つことも可能だったかもしれない。

 まあ、結果的にはあの局面で負けても大きな問題はなかったのだが。


 体力強化のスキルを伸ばしたのは、出産に向けても今後の冒険者活動に向けても、意味のある選択だっただろう。

 彼女の今後の活躍にも期待したいところだ。



「さて、次はニムだな。ニムが強化したのは……」


「さ、栽培術ですね。レベル4に伸ばしていただきました」


 ニムがそう答える。


「そうだったな。農業改革に役立つスキルだろうと判断して強化したのだった。使い勝手はどうだ?」


「い、いいスキルだと思います。農作物たちの声が聞こえてくるようになりました」


「それは凄いな。今までは感じなかったのか?」


「以前から少しは……。でも、今の方がはっきりと聞こえるような気がします」


 作物の声か……。

 おそらくは感覚的なもので実際に聞こえているわけではないのだろうが、なかなかハイレベルなことを言う。

 スキルレベル4は、その道一筋で少なくとも10年以上は取り組んでいるようなレベルだ。


「いいことだな。農業改革の方は順調か?」


「は、はい。ニルスさんとハンナさんも精力的に手伝ってくれますし、トリスタさんもきちんと取り仕切ってくれています」


「ああ。彼らはなかなか有能で働き者だな」


 ニルスとハンナは、遠方の村の出身者だ。

 口減らしで奴隷として売られてしまったという過去を除けば、どこにでもいそうな普通の村人である。

 とはいえ、農作物に関する知識や経験は当然俺なんかよりも豊富だ。


 彼らからは『故郷に食料を無償援助したい』との申し出を受けている。

 俺は豊作を条件に、その申し出を快諾していた。

 彼らは豊作に向けて、より一層仕事に励んでいるようだ。

 今後、ニルスやハンナに対して加護(小)を付与できる可能性も高いだろう。


 トリスタについては、既に加護(小)を付与済みだ。

 その恩恵により体の調子がひと回りよくなり、精力的に働いてくれている。

 スキル面でも恩恵があるし、ヒナという奥さんもできた。

 彼は今後もハイブリッジ家に尽くしてくれることだろう。


「そ、そういえば……。もう1人、農業改革を手伝ってくれている方がいますよ」


「ん? それは初耳だな。だれだ?」


 農業改革を主導しているのは、ニム、ニルス、ハンナ、トリスタだ。

 もちろん他にも関わっている者は数え切れないほどいるが、メインで動いているのはこの4人である。

 他に手伝ってくれている者がいるというのは気になるな。


「じ、実は……、花さんなんです……」


「えっ!? 花が?」


 意外な名前が出てきたな。


「はい。彼女は薬草の知識が豊富ですし、植物を操る魔法が使えます。農業に応用できないかなと思って相談したら、いろいろアイデアを出してくれたんですよ」


 なるほど。

 確かに、花は植物魔法の使い手だったな。


 しかし、意外だ。

 花は、のほほんとした性格である。

 あまり精力的に働くようなタイプには見えない。

 俺の妾に立候補したのも、冒険者稼業を半引退してのんびり暮らしたいというような欲望からのものだったはずだ。

 それが農業改革に手を貸してくれるとはな。


「そうだったのか。意外な者が力を貸してくれているのだな。まあ、ありがたい話だが」


「は、はい。わたしもそう思います。花さんの協力のおかげで、とても助かってるんです」


「おう。今度労いの言葉を掛けておこう」


 俺の妾を狙っているのであれば、こういうところをもっとアピールした方がいいんじゃなかろうか。

 花は縁の下の力持ちタイプなのかもしれないな。

 もともとCランク冒険者だし、優秀な者であることは間違いない。

 俺は彼女に対する評価を上方修正しておく。


「まあ、農業改革や花の話はこれぐらいにしておこうか。今はみんなのステータスの話だ。ニムの今後の活躍にも期待しているぞ」


「は、はい。ミティさん、アイリスさん、モニカさんが離脱している今、わたしが頑張らないといけません!」


「ああ。頼んだぞ」


 俺がそう声を掛けると、ニムも笑顔で応じた。

 さて。

 次はユナとマリアのステータスを確認しておくことにしよう。




レベル28、モニカ=ハイブリッジ(旧姓:リシャス)

種族:兎獣人

身分:タカシ=ハイブリッジ騎士爵第三夫人

役割:料理人

職業:武闘家

ランク:B

二つ名:”雷脚”のモニカ

ギルド貢献値:7400万ガル

HP:220(169+51)

MP:327(99+30+198)

腕力:124(95+29)

脚力:396(120+36+240)

体力:187(104+31+52)

器用:139(99+30)

魔力:486(113+34+339)


武器:雷装ガブリエル

防具:レザーアーマー(上)


残りスキルポイント0

スキル:

格闘術レベル4

聴覚強化レベル3

MP強化レベル4

脚力強化レベル4

体力強化レベル1

魔力強化レベル5

闘気術レベル4

雷魔法レベル5「スパーク、パラライズ、ライトニングブラスト、神鳴(カミナリ)、雷魔法創造」

料理術レベル4

操馬術レベル1


称号:

タカシの加護を受けし者

ミドルベア討伐者

メルビン杯ベスト4

キメラ打倒者

ブギー盗掘団捕縛者

アヴァロン迷宮踏破者




レベル28、ニム=ラスカル

種族:犬獣人

身分:タカシ=ハイブリッジ騎士爵第四夫人(予定)

役割:栽培士

職業:土魔法使い

ランク:B

二つ名:”鉄心”ニム

ギルド貢献値:6900万ガル

HP:230(177+53)

MP:320(97+29+194)

腕力:291(104+31+156)

脚力:333(101+30+202)

体力:393(119+36+238)

器用:124(95+29)

魔力:333(101+30+202)


武器:巨杖ゴルディアス

防具:アイアンアーマー(上)


残りスキルポイント5

スキル:

格闘術レベル2

MP強化レベル4

腕力強化レベル3

脚力強化レベル4

体力強化レベル4

魔力強化レベル4

闘気術レベル4

土魔法レベル5「ストーンショット、ロックアーマー、ストーンレイン、ゴーレム生成、土魔法創造」

MP回復速度強化レベル3

栽培術レベル4

操馬術レベル1


称号:

タカシの加護を受けし者

ミドルベア討伐者

メルビン杯ベスト8

キメラ打倒者

ブギー盗掘団捕縛者

アヴァロン迷宮踏破者

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