543話 ユナとマリアの最新ステータス

 俺の寝室で、ミリオンズの秘密会議を開いている。

 ミティ、アイリス、モニカ、ニムのステータスの共有は終えた。


「次はユナだな。ユナのスキルポイントは……」


「ふふん。保留中ね。レベル4のスキルが3つもあるから、そのどれかをレベル5にしたいのよ」


 ユナがそう言う。


「弓術レベル4、火魔法レベル4、獣化術レベル4だな? いずれもレベル5になれば有用そうなスキルだ」


「でしょう? 私たちに弓を使える人はいないし、極めておくと役に立つ局面もあるかもしれないわ」


「そうだな。逆に、火魔法は俺とマリアが既に極めているが……」


「それはそれで、合同魔法の威力が増すでしょうし有用ね」


「なるほど」


 確かに、合同魔法はうまく使いこなせば段違いの威力となる。


「あとは、獣化術ね。ドラちゃんと息を合わせるときは、獣化状態の方がやりやすいのよね」


 ユナは赤狼族だ。

 獣化状態になると、炎の精霊の加護により体温が上昇し、火魔法適性が一時的に増す。

 ファイアードラゴンであるドラちゃんと融合するには、獣化状態の方が望ましいというわけか。


「よし。ではその3つのどれかをレベル5にするため、今回は保留のままということで進めよう」


「そうね。そうしましょう」


 ユナの最新ステータスの共有を終える。



「次は、マリアだな。マリアはたくさんレベルが上がったし、いろいろスキルを伸ばしたよな。ええと、まずは……」


「重力魔法をレベル4にしたよっ!」


「ああ、そうだったな」


 重力魔法は、ミリオンズでマリアしか取得していない魔法だ。

 一般的に見ても、やや希少な魔法である。

 今の所、ディルム子爵領のカザキ隊長ぐらいしか使っているのを見たことがない。

 ここで、各レベルの重力魔法を整理してみるか。


 レベル1はレビテーション。

 術者から半径数メートル以内の人や物の重力を軽減させる魔法だ。

 レビテーションという名前ではあるものの、それなりの魔力を込めないと浮き上がるほどの効力は出せない。

 初級の魔法使いとしては、自身に掛けてジャンプ距離を高くしたり落下ダメージを軽減したりすることが主な使い道になるだろう。


 レベル2はグラビティ。

 指定した範囲内にある物体にかかる重力を増加させる魔法だ。

 ただし、よほど魔力を込めない限りは高重力による直接的なダメージにはあまり期待できない。

 あくまで、魔物などを対象に発動して動きを阻害するような使い方となる。


 レベル3はゼログラビティ。

 イメージした範囲の対象の重量を0にする魔法だ。

 ラスターレイン伯爵家との戦いでは、リールバッハや千をこの魔法で一網打尽にした。

 近接武器や武闘をメインの戦闘手段にしている者にとっては、驚異的な魔法となる。

 ただし、消費MPはかなり多めなようだ。


 そして、レベル4はエリアレビテーションとなる。

 基本的にはゼログラビティに近いイメージの魔法だ。

 ゼログラビティが敵対者に掛けて無力化することを目的に開発された魔法だとすれば、エリアレビテーションは味方に掛けて移動することを目的に開発された魔法だといったところだろう。


 一見すると使い方だけの違いにも思えるが、その使い方の違いが重要なのだ。

 魔法の発動においては、対象の範囲や目的のイメージも大切だからな。

 火魔法で言えば、無生物に対する魔法は高威力を出しやすいが、生物に対する魔法はなかなか高威力を出しづらいといった感じである。


 重力魔法においても、味方に掛けて移動することを目的とするエリアレビテーションの方がやや発動難易度が低く、消費MPも少ない。

 その分、長時間行使して移動に集中するようなイメージとなるだろう。


「エリアレビテーションがあれば、ずいぶんと移動が楽になりそうだな」


「えへへっ! 楽しみに待っていてねっ! がんばって練習中だよっ!」


「ああ。よろしく頼む」


 ステータス操作によって魔法系スキルを強化した場合、発動自体はすぐにでもできるようになる。

 ただし、それを自由自在に使いこなせるかと言うと話は別だ。


 現時点でのマリアのエリアレビテーションは、本人以外に1~2人ぐらいが限界のようである。

 それ以上も一応可能ではあるのだが、ふと気を緩めたら魔法の効力の対象外になってしまう。

 つまり、飛翔中の空から落下してしまうわけだ。


 現状のマリアの練習相手は、”青空歩行”を使えるモニカとアイリス、身軽なユナ、そしていろいろなスキルを持っていて頑丈な俺あたりが付き合っている。

 練習中ということでそれほど高くは飛んでいないこともあり、突然落下してしまっても怪我などはない。

 だが、身体能力系のスキルを伸ばしていないリーゼロッテやサリエが飛翔中に落下してしまったら、最悪の事態もあり得る。


 安心してエリアレビテーションで移動できるように、マリアの重力魔法の練度はもう少し高めてほしいところだな。

 もしくは、もう1人だれかが重力魔法を取得するのもありだ。

 レベル4のエリアレビテーションとまでは言わなくとも、レベル1のレビテーションだけで咄嗟の対応策としては十分だ。


 落下するリーゼロッテやサリエに掛かる重力を軽減すれば、身体能力系のスキルを伸ばしていない彼女たちでも無事に着地できる可能性は高い。

 スキルはなくとも、俺の加護の恩恵により基礎ステータスは3割向上しているわけだしな。

 魔法系をメインとする彼女たちではあるが、いざというときのためにHP強化、脚力強化、肉体強化あたりを取っておいてもいいかもしれないな。

 まあ、このあたりはおいおい考えていこう。


「ええと……。重力魔法以外にマリアが伸ばしたのは……」


「自己治癒力強化レベル5、痛覚軽減レベル3、視力強化レベル3だねっ!」


「そうだったな。マリアの再生能力を伸ばしつつ、痛みに対する耐性も増したわけだ。そして視力強化で、より遠くのものも見れるようになった」


「うんっ! 遠くの魔物さんたちの警戒は、マリアに任せてね。がんばるんだからっ!」


 マリアの役割は偵察員として冒険者ギルドに登録している。

 今までは、幼いマリアに偵察させるのも気が引けていたので、半ばお飾りの役割となっていた。

 今度は、名目通りの活躍を期待してもいいかもしれないな。


「マリアの活躍を期待しているぞ。よろしく頼む」


 さて。

 マリアの最新ステータスの共有はこのあたりでいいだろう。

 次は、サリエとリーゼロッテだ。




レベル29、ユナ=フェンガリオン

種族:ライカンスロープ(赤狼族)

役割:飼育士

職業:弓士

ランク:B

二つ名:”魔弾”のユナ

ギルド貢献値:7200万ガル

HP:242(186+56)

MP:260(113+34+113)

腕力:135(104+31)

脚力:147(113+34)

体力:135(104+31)

器用:302(132+40+132)

魔力:360(129+36+195)


武器:魔弓ミカエル

防具:布の服


残りスキルポイント20

スキル:

剣術レベル2

弓術レベル4

MP強化レベル2

器用強化レベル2

魔力強化レベル3

闘気術レベル2

火魔法レベル4「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム」

獣化術レベル4

テイム術レベル5

操馬術レベル1


称号:

タカシの加護を受けし者

キメラ打倒者

ブギー盗掘団捕縛者

ゴブリンキラー

アヴァロン迷宮踏破者

ファイアードラゴンの友




レベル24、マリア=キャベンドラ=ローディアス

種族:ハーピィ(鳥獣人)

役割:偵察員

職業:火魔法使い

ランク:C

二つ名:”不死鳥”マリア

ギルド貢献値:1400万ガル

HP:421(147+53+221)

MP:188(85+18+85)

腕力:105(81+24)

脚力:105(81+24)

体力:105(81+24)

器用:105(81+24)

魔力:105(81+24)


武器兼防具:不朽の羽衣


残りスキルポイント0

スキル:格闘術レベル2

    視力強化レベル3

    HP強化レベル3

    MP強化レベル2

    痛覚軽減レベル3

    HP回復速度強化レベル5

    自己治癒力強化レベル5

    火魔法レベル5「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造」

    重力魔法レベル4「レビテーション、グラビティ、ゼログラビティ、エリアレビテーション」

    治療魔法レベル3「キュア、ヒール、エリアヒール」


称号:

祝福の姫巫女

タカシの加護を受けし者

アヴァロン迷宮踏破者

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