261話 マリアのスキル強化

 バルダインの足の治療に成功した。

残念ながら加護付与の条件はあと1歩のところで満たせなかった。

まあ、かつての戦闘能力を取り戻してくれただけでもよしとしておこう。


 次は、マリアの現況を確認しよう。

バルダインとナスタシアは、王宮の外へ走りに行ってしまった。


「えーと。マリアとも一度会っておきたいな」

「そうだね。確か、彼女も例の力の対象になっているんだもんね」


 俺の言葉を受けて、アイリスがそう言う。

マリアが加護付与の対象者であることは、ミリオンズの面々とは共有済みである。

ゾルフ砦のメルビン杯の頃に、みんなにそう報告した。

また、ユナにも別途報告している。


「ああ。種族、身分、年齢のこともあるし、パーティに誘うのは時期尚早だが。力を伸ばしておいてあげて損はないだろうからな」


 マリアは、実はミティとアイリスに次いで3人目の加護付与の対象者だ。

種族などの事情を考慮して、勧誘を保留としているのである。


 オーガやハーピィが友好種族だと発表されて、もう半年以上が経過した。

冒険者パーティ”疾風迅雷”に加入した元六武衆のセリナの尽力もあり、オーガやハーピィという種族の認知度は向上しつつある。

ハガ王国とゾルフ砦との観光交流も活発に行われているしな。


 もう少ししたら、マリアのミリオンズへの勧誘を検討してもいいかもしれない。

俺たちミリオンズの名声や戦闘能力は、ずいぶんと増してきた。

今の俺たちなら、種族や身分でマリアが狙われても守り抜く力があるだろう。

みんなとも相談して、前向きに検討していこう。


「そうだね。マリアちゃんはどこにいるのかなあ」

「探してみるか。……いや、まずはミティたちと合流しよう」


 俺とアイリスは、ミティたちと合流するために歩き出す。

彼女たちは、観光のために散歩している。

だいたいの位置は聞いている。


 しばらく歩く。

遠くに見慣れた人影が見える。

ミティたちだ。

マリアもいっしょのようだ。

広場で何やら遊んでいる。


「……従順なる土の兵士よ。我が求めに生まれ出よ。クリエイト・ゴーレム!」


 ニムが土魔法を発動する。

巨大なゴーレムが生成される。


『わあい! おっきなゴーレムさんだ』


 マリアがそう言って喜ぶ。


 ミティがこちらに気づく。


「タカシ様。陛下の治療のほうは、いかがでしたか?」

「ああ。無事に成功したよ。今は陛下と王妃で、足の調子を確かめに走りにいっているところだ」

「それはよかったです!」


 ミティがそう言う。

モニカ、ニム、ユナも、安心したような顔をしている。


「それで、何をしていたんだ?」

「わ、わたしの土魔法をマリアちゃんが見たいと言ったので、見せてあげていたのです」


 俺の問いに、ニムがそう答える。


「へえ。マリアは土魔法に興味があるのか?」

『うん、そうだね! いろんなまほうを見てみたいな。モニカお姉ちゃんのかみなりまほうも見せてもらったよ』


 マリアがそう言う。

土魔法に特別大きな興味があるというわけではなく、広く浅く興味があるといったところか。


 マリアはまだ幼い。

様々な魔法を見て、自分に合っていそうな魔法を探してもらうのはいいことだろう。

ステータス操作であれこれ取得するのは時期尚早だ。

まあ、火魔法についてはもう取得済みではあるが。


 そうそう。

ステータス操作といえば、マリアのレベルが上がってスキルポイントが追加されている。

魔法系スキルの強化は本人の希望の方向性が決まるまでは保留にするとしても、基礎ステータス向上系のスキルなどは取得しておいて問題ないだろう。

何らかのスキルを取得・強化しておきたいところだ。



レベル5、マリア

種族:ハーピィ(鳥獣人)

職業:ー

ランク:ー

HP:53(41+12)

MP:36(20+6+10)

腕力:22(17+5)

脚力:22(17+5)

体力:22(17+5)

器用:22(17+5)

魔力:22(17+5)


武器:ショートソード

防具:レザーアーマー


残りスキルポイント20

スキル:痛覚軽減レベル2

    HP回復速度強化レベル5

    自己治癒力強化レベル3

    MP強化レベル2

    火魔法レベル2「ファイアーボール、ファイアーアロー」


称号:

祝福の姫巫女

タカシの加護を受けし者



「マリア。最近の調子はどうだ? 火魔法、剣術、格闘術とか」

『火まほうはじゅんちょうだよ。パパとママもよくほめてくれるんだ。でも、つよいまほうはちょっとこわいな』


 確かに。

幼い子どもがあまり強い魔法を使えるようになると、持て余してしまうだろう。

火魔法をレベル3に強化するのは保留としたほうがよさそうか。


「そうか」

『けんと、かくとうは、さいきんがんばってるところだよ。マリアはかくとうのほうが好きだな』


 マリアがそう言う。

剣術と格闘術なら、格闘術を取得してあげるのがよさそうか。

刃物を扱うよりも、素手のほうが多少は安心感があるしな。


 また、マリアはハーピィで、飛行能力がある。

飛行能力を活かそうとすれば、あまり重い装備は身に着けられない。


 剣術ではなく格闘術をメインに強化していくのは、マリアの飛行能力を活かすことにも繋がる。

魔法も同様だ。


「格闘か。俺たちは格闘の基礎を習得済みだ。せっかくだし、いっしょに練習しようか」

『うん! やろうやろう!』


 俺、マリア、ミティ、アイリス、モニカ、ニム、ユナ。

7人で格闘の練習を始める。

まあ、半分は遊びのような雰囲気だが。


 マリアは、普段からしっかりとした格闘の先生をつけられて、練習に励んでいるそうだ。

まあ、一国の姫だしな。

環境は整っている。

それに、幼いながらもなかなか筋が良さそうだ。


 格闘術レベル1を取得しておこうか。

攻撃系のスキルは、とりあえずは火魔法と格闘術の2種類を伸ばしていこう。

他によさそうなスキルはないか。


 ここは、HP強化のスキルを取得しておこうかな。

基礎能力向上系のスキルは、攻撃系のスキルとは異なり、持て余したりはしないだろう。

HPは、生命力の強さだ。


 彼女はレベル5の割には、HPが高い。

俺、ミティ、モニカ、ニムがレベル5だった頃よりも明らかに高いように思う。


 それに加えて、痛覚軽減レベル2、HP回復速度強化レベル5、自己治癒力強化レベル3といった豪華なスキルを持っている。

祝福の姫巫女としての生まれ持っての才能だ。

これらのスキルを活かすためにも、HP強化のスキルは伸ばしておいたほうがいいだろう。


 マリアのステータス操作画面を開き、格闘術レベル1とHP強化レベル1を取得する。

これで、彼女の戦闘能力はひと回り向上したことになる。

俺たちミリオンズが不在のときに何かあっても、無事でいてくれる可能性が高まった。

まあ、最近のハガ王国は平和そのものだそうだが。


 その後も、みんなで格闘の練習に励んでいく。

途中でバルダインやナスタシア、それにクラッツやクレアも合流した。

みんなでわいわいとにぎやかに楽しみながらの鍛錬となった。



レベル5、マリア

種族:ハーピィ(鳥獣人)

職業:ー

ランク:ー

HP:80(41+12+27)

MP:46(20+6+20)

腕力:22(17+5)

脚力:22(17+5)

体力:22(17+5)

器用:22(17+5)

魔力:22(17+5)


武器:ショートソード

防具:レザーアーマー


残りスキルポイント0

スキル:格闘術レベル1

    HP強化レベル1

    痛覚軽減レベル2

    HP回復速度強化レベル5

    自己治癒力強化レベル3

    MP強化レベル2

    火魔法レベル2「ファイアーボール、ファイアーアロー」


称号:

祝福の姫巫女

タカシの加護を受けし者

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