213話 アイリスとの初××

 アイリスとの結婚式が無事に終了した。

その後、みんなといっしょに二次会を行った。

いつもの焼肉キングダムだ。


 この二次会はにぎやかなものとなった。

ちょっとした事件もあったが、それはまた今度の話としよう。


 楽しかった二次会を終え、解散する。

宿屋に戻る。


 ミティたちと別れ、部屋に入る。

俺とアイリスが同室。

ミティ、モニカ、ニムは隣の部屋だ。


 濡れタオルで自分の体を清めていく。

今日はあと一つだけ大きなイベントが待っている。

アイリスとの初夜だ。


 アイリスは身持ちが固い。

キスさえ、先ほどの結婚式で初めて行ったところだ。

さらに行為までしていくとなると、かなり緊張する。


 俺は自分の体を拭き終えて、ベッドに入る。

アイリスの様子をうかがう。


 彼女は半裸になり、自身の体を拭いている。

きれいだ。

どことなく神々しささえ感じる。


「ふ、ふつくしい……」


「ま、まだ見ないで……。向こうを見ていてよ」


 アイリスが顔を真っ赤にして、体を隠す。

いかん。

あまりの美しさに、声が漏れていたようだ。


 おとなしく反対側を見て、少し待つ。

アイリスがベッドに入ってきたようだ。


「アイリス……。いいか?」


「う、うん……」


 俺は彼女のほうを向く。

緊張が高まってきた。


 アイリスも緊張しているようだ。

いつものボーイッシュで活発な雰囲気は鳴りを潜めている。

しおらしい女の子だ。


「アイリス。改めて、これからもよろしくな。頼りにしているぞ」


「タカシ。ボクのほうこそ、よろしくね」


 アイリスのズボンを脱がせる。

下着が見える。

かわいい下着だ。


「きれいだ。アイリス」


「あ、あんまり見ないで……。恥ずかしいよ」


 下着に手をかける。

ほんのりと濡れているようだ。


「うう……。ついに、ボクの大切なところが見られちゃうんだね……」


 アイリスが顔を赤くしてそう言う。


「この際だから正直に言っておこう。アイリスの裸を見るのは初めてじゃないんだ」


「え? どういうこと? ま、まさか寝込みを……」


「ちがうちがう。ガロル村の温泉でだ。俺の目隠しがうっかりズレたことがあっただろう」


「ああ、あのときか。やっぱり見えていたんだね」


 アイリスがジト目でこちらを見る。


「すまん。不可抗力だったし、見ていないことにしたほうがいいかと思ってな」


「まあそれもそうだね。ということは、今さらボクの裸を見ても新鮮さがないかな?」


「いや! そんなことはない! アイリスの体は何度見てもすばらしいと思うぞ!」


「ちょ、ちょっと。エロオヤジみたいなことを言わないでよ。ムードも何もあったもんじゃないね」


 アイリスが苦笑してそう言う。


「うっ。す、すまん。では、気を取り直して……。ハニー、今夜はすばらしい夜にしようぜ」


 俺はキメ顔でそう言う。


「ぶふーっ! ちょっと、笑わせないでよ!」


 アイリスが吹き出す。

なぜだ。

俺のキメ顔とキメゼリフが。


「ま、まあ、ムードは無理につくる必要もないだろう。普段の俺たちのままでいい。そうだろう?」


「そうだね。ボクたちには、これぐらいの距離感が合っているかもね」


 アイリスがそう言ってほほえむ。

彼女は美しくて強い。

すばらしい女性だ。


「タカシ。愛しているよ」


「ああ。俺も愛しているぞ。アイリス」


 俺と彼女は見つめ合う。

そのまま、俺たち2人は1つになった。


 こうして、夜は更けていった。



●●●



 チュンチュン。

翌朝になった。


 目が覚めると、隣で眠るアイリスの顔が目に入った。

かわいい寝顔である。


「ん……。おはよう、タカシ」


「おはよう、アイリス」


 ちょうど彼女も目が覚めたところだったようだ。

朝のあいさつを交わす。

何となく照れくさい。


 これからは彼女のこともしっかりと幸せにしていかないとな。

気を引き締める。


 起床して、アイリスと宿屋の朝食に向かう。

彼女の歩き方が少しぎこちない。

俺は彼女のペースに合わせてゆっくりと歩いていく。


 宿屋の食堂に着いた。

食事の席では、ミティ、モニカ、ニムが待機していた。


「おはよう、みんな」


「お、おはようございます」


 ニムを始め、みんなと朝のあいさつを交わす。

……ん?

みんなの様子が少しおかしいような。


「タカシ様。昨日は激しかったようですね。うらやましいです」


 ミティがそう言う。


 …………!

そうか。

しまった。

また声が漏れていたのか。

同じミスを繰り返すとは。


「す、すまなかったな。安眠の邪魔をしてしまったか?」


「それは構わないけど。もう少し声を抑えてほしいかな」


 モニカがそう言う。


「うー……」


 アイリスが顔が真っ赤にしてもだえている。


 今後、何か対策案を考えないといけない。

消音魔法とかないかな?

さすがにそんなドンピシャの魔法はなさそうか。


 六武衆のソルダートが使っていた結界魔法を応用すれば、何とかなるかもしれない。

もしくは、土魔法で防音材っぽい土を作って、部屋の周りを覆うとか。

転移魔法で、一時的にラーグの街の自宅に移動するのもなくはない。

要検討だ。


「よ、よし。気を取り直して、朝食をとるぞ」


 俺はそう言って、場の空気を切り替える。

ミティとアイリス。

これからは2人の妻といっしょに幸せになっていかないとならない。


 また、モニカとニムも、まだ妻ではないが大切なパーティメンバーだ。

彼女たちとも力を合わせてがんばっていく必要がある。


 これからのことに思いを馳せつつ、朝食を食べ進めていく。

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