171話 鍛冶術レベル5 新しい装備

 ガロル村に帰ってきてから数日が経過した。

さらに10日ほど後には、俺とミティの結婚式が控えている。

俺たちミリオンズは、結婚式の準備を進めつつ、空いた時間には魔物狩りをしたり、マクセルたち疾風迅雷の面々と合同訓練をしたり、その他いろいろなことをしている。


 ミティには、鍛冶をしてもらっている。

前回のステータス強化で、彼女の鍛冶術をレベル5に強化した。

せっかくなので、俺たちミリオンズの武器や防具を作ってもらうことになったのだ。


 アイリスは、この村に帰ってきてからも御者の練習をしていた。

そのかいあって、彼女は見事に操馬術レベル1の取得に成功した。

これなら、資金に余裕ができたタイミングで馬車の購入を検討してもいいだろう。

近いうちに、パーティのみんなにも相談しておこう。


 今は、1日の活動を終えて宿屋でゆっくりしているところだ。

ミティは少し席を外している。

部屋の中には、俺、アイリス、モニカ、ニムがいる。


「タカシ。1つだけ確認しておきたいことがあるんだけど」


 アイリスが神妙な顔でそう言う。

彼女のこういう表情は少しめずらしい。

後ろにはモニカとニムもいる。


「タカシは、一夫一妻の考えを持っていたりするの?」


「うーん。特にそういうわけでもないけど」


 日本では、一夫一妻ではあったが。

俺は、可能であればハーレムをつくりたい。

ミティとの結婚式を控えているのにこういうことを考えるのは、不義理だが。

つくりたいものはつくりたいのだ。


「そうなんだ。じゃあ私にもまだチャンスはあるんだね」


「わ、わたしもがんばります!」


 モニカとニムがそう言う。


「うん。アイリスもモニカもニムも、みんな好きだよ。しかし今は、ミティを中心に考えさせてもらいたい。ここはミティの故郷だしさ」


 俺はそう言う。

ハーレムをつくるのであれば、このあたりの配慮やバランスが大切になってくる。

難しい。

俺にできるだろうか。

がんばるしかない。


「うん。それはそうだね。今は譲るよ」


「ラーグの街に帰ったら、お父さんに相談してみようかな。きっと、賛成してくれるとは思うけど」


「わ、わたしもママに相談してみます」


 アイリス、モニカ、ニムがそう言う。

アイリスとモニカはともかく。

ニムはまだ早いんじゃないかな。

まあ本人の気持ちを無下にするつもりもないけど。



●●●



 次の日。

結婚式まで、まだ少し日にちはある。

今日は、ミティの鍛冶が終わる日だ。

最後の仕上げが残っている。


 俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。

みんなで鍛冶場に向かう。


 ミティには、もともとの武器や防具を鍛え直してもらっている。

他は、新規での製作だ。

材料は、ダディたちから分けてもらった。

ありがたい。


「では、さっそく仕上げをしていきます。お任せください」


 ミティが、鍛冶の仕上げを行っていく。

鍛冶術レベル5の恩恵は大きい。

もちろん、ミティ本人のがんばりもある。

スキルだけ伸ばして本人が努力しなかった場合、スキルを持て余すことになるからな。


 ステータス操作によるスキルのレベルアップの恩恵を格闘ゲームで例えよう。

腕力強化やHP強化のようなステータス向上系のスキルは、単純に技の威力や最大HPが向上しているようなイメージとなる。

剣術や鍛冶術のような技能系のスキルは、必殺技のコマンド入力数が減っていてタイミング判定も緩くなっているようなイメージだ。

せっかく技の威力や使いやすさなどが向上しても、肝心の操作がイマイチでは、宝の持ち腐れとなる。

うまく活躍することはできないだろう。


 ミティは、スキルによる技量の向上に慢心することなく、しっかりとそれを使いこなしている。

さすがだ。

そんなミティの鍛冶により、立派な武器や防具ができあがった。


「できました。自信作です。みなさんに喜んでもらえるとうれしいのですが」


 ミティがそう言って、出来上がった武器や防具を並べる。


 主な武器は以下の5点だ。

”紅剣クリムウェル”

”ドワーフの大戦槌”

”シルバーガントレット”

”エレキガントレット”

”アイアンロッド”



 紅剣クリムウェルは、俺用の赤い剣だ。

潜入作戦後のハガ王国で、ミティに作ってもらった紅剣クリム。

それよりも一回り大きな剣となる。


 熱に対する耐性がある材料から作られている。

斬魔剣の火炎斬との相性がいい。

以前より、切れ味や強度なども増しているようだ。


 実際に持ってみる。

片手で持つのは厳しい重さだ。

両手で持つ必要がある。

その場合、盾は使えないな。


 ミドルベアやジャイアントゴーレムのような大型の敵と戦うときは、こっちの紅剣クリムウェルで攻撃したほうがダメージ効率は向上するだろう。

ただし、盾が使えなくなるので、立ち回りには注意が必要となってくる。

とどめの一撃に使うとかかな。

俺は空間魔法のアイテムルームを使える。

クリムとクリムウェルの使い分けの手間はさほどない。


「いい剣だ。ありがとう。ミティ」


 俺はミティにそうお礼を言う。



 ドワーフの大戦槌は、ミティ用の大きな金属製のハンマーだ。

それほど高価な素材は使っていないが、単純に大きくて重い。

以前から使っているドワーフの戦槌よりも、さらに大きく重くなっている。


 これは鍛え直しではなく、新規での製作だ。

普段の魔物狩りでは、今まで通りドワーフの戦槌で十分だろう。

ミドルベアのような大物が相手のときは、大戦槌の出番となる。


 ミティが持っているアイテムバッグに収納しておけば、使い分けの手間もさほどない。

彼女のアイテムバッグの最大収納量は、以前検証したところ、2m×2m×2mぐらいだった。

投擲用の岩も収納しておく必要があるので、そのあたりの兼ね合いには注意しておく必要はあるが。


「このハンマーがあれば、ミドルベアがまた出てきてもだいじょうぶでしょう」


 ミティがドワーフの大戦槌を持ち、そう言う。

ミドルベアとの再戦はしばらく遠慮したいところだが。

確かに、装備が一段階強化され、ステータスやスキルも強化されたしな。

ミドルベアがまた出てきたら、以前よりもう少し安定して倒すことができるだろう。



 シルバーガントレットは、銀色の金属製の籠手だ。

アイリス用となる。

強度などに優れた材料から作られている。


「うん。これはいい籠手だね。ありがとう」


 アイリスがミティにそうお礼を言う。



 エレキガントレットは、金属製の籠手だ。

モニカ用となる。

腕だけでなく、脚にも装備する。

電気がよく流れる材料で作られている。


「今までのより、よく電気を通すみたいだね。私ももっと活躍できるようになるかも。ありがとう」


 モニカがミティにそうお礼を言う。



 アイアンロッドは、金属製の杖だ。

ニム用となる。

土魔法と相性の良い材料で作られている。


「つ、土魔法の安定性が増しそうですね。ありがとうございます」


 ニムがミティにそうお礼を言う。



「以前の武器なども、一通り鍛え直しています。あと、こちらがマクセルさんたち用の武具です」


「ああ。ありがとう、ミティ」


 ミティの言う通り、これまで使っていた武器なども一通り鍛え直してもらっている。

また、マクセルたちにプレゼントする用の装備もつくってもらった。

結婚式の引き出物だ。


 彼らは全員が武闘家である。

ボフォイの街からの道中で、彼らの戦闘を見る機会があった。

見事、武闘だけで魔物を倒していた。


 彼らのため、武闘家用のガントレットや動きやすい防具などをミティに作ってもらった。

念のため、扱いやすい剣、盾、杖なども用意してある。

俺はまだ、彼らの実力の全容を知っているわけではないしな。

もしかすると、剣や魔法を扱える人がいたり、今は扱えなくても練習中の人がいたりするかもしれない。

いくつか武具を並べて、好きなものを選んでもらうのがいいだろう。


 余ったものは、俺のアイテムルームに入れておけばいい。

容量には余裕がある。

あまり重く大きいものを入れすぎると、MPの消費量の増大も気になってくるが。

武器や防具の数個程度は誤差の範囲だ。


 余剰武具は、今後の新メンバー加入時に役立つかもしれないしな。

もしくは、たまたま同行した駆け出し冒険者にプレゼントして、忠義度を稼ぐとか。


 いざとなれば、街の武具屋に売却するという選択肢もある。

ミティの鍛冶術レベル5によってつくられた武具は高品質だ。

かなりの値段で売れるだろう。

まあ、材料自体はさほど高価なものは使っていないため、最高級というほどでもないが。


 ミティのおかげで、俺たちの装備が一回り強化された。

今後の冒険者活動に大きく役立ってくれるだろう。



●●●



 次の日。

ミティの結婚式に向けて、いろいろと準備がある。

日程に余裕はあるので忙しすぎるというほどでもないが。


「タカシ様! 本日のご予定ですが……」


 ミティと今日の予定を打ち合わせる。

予定の内容は問題ない。

しかし。


「ミティ。少し気になる点があるんだけど、いいかな?」


「は、はい。私に至らぬ点があったでしょうか? 何でも言ってください。タカシ様」


 ミティが少し緊張した様子でそう言う。


「それだよ。いつまでもタカシ様では、落ち着かない。もうミティは奴隷じゃなくて、俺の奥さんになるわけだし」


「は、はい。それもそうですね」


「タカシと呼んでくれないか?」


「タ、タカシ……様」


 ミティが顔を赤くしながらそう言う。


「やはり、タカシ様を呼び捨てにするのは、気が進みません」


「うーん」


 結婚したのに様付けは、少しいびつな感じがする。

まあそれはそれでありではあるが。


「呼び捨てではなくてもいいが。何かいい呼び方はないか?」


「えっと。タカシ君。タカシさん。……これからもタカシ様とお呼びしてはいけませんか?」


 ミティがそう言う。

まあ、無理強いするのもそれはそれで良くないか。


「わかった。ミティがそう言うのであれば、今後もそれでいこう。呼び方を変えたくなったら、いつでも変えてくれ」


「わかりました!」


 ミティは俺に対して、愛情だけではなくて尊敬や崇拝のような感情を持ってくれているように思う。

彼女を失望させないように、俺も精一杯がんばっていく必要がある。




レベル18、タカシ=ハイブリッジ

種族:ヒューマン

役割:リーダー

職業:魔法剣士

ランク:C

HP:135(104+31)

MP:204(68+136)

腕力:113(57+17+29)

脚力: 97(54+16+27)

体力:143(62+19+62)

器用: 78(60+18)

魔力:126(63+63)


武器:紅剣クリム(紅剣クリムウェル)

防具:アイアンアーマー、アイアンシールド


残りスキルポイント20

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル4

格闘術レベル1

回避術レベル2

気配察知レベル2

気配隠匿レベル1

視力強化レベル1

MP強化レベル4

腕力強化レベル1

脚力強化レベル1

体力強化レベル2

魔力強化レベル2

肉体強化レベル3

闘気術レベル3

火魔法レベル5「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “三十本桜” 他」

水魔法レベル1「ウォーターボール」

風魔法レベル1「エアバースト」

聖魔法レベル2「ウィッシュ、ホーリーシャイン」

治療魔法レベル4「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」

空間魔法レベル3「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」

高速詠唱レベル1

MP消費量減少レベル3

MP回復速度強化レベル2


称号:

犬狩り

ホワイトタイガー討伐者

ジャイアントゴーレム討伐者

オーガ・ハーピィの盟友

ガルハード杯ベスト16

ミドルベア討伐者

霧蛇竜ヘルザム討伐者



レベル16、ミティ=バーへイル

種族:ドワーフ

役割:サブリーダー、鍛冶師

職業:槌士

ランク:C

HP:117(90+27)

MP: 69(53+16)

腕力:294(89+27+178)

脚力: 57(44+13)

体力:108(60+18+30)

器用: 58(25+8+25)

魔力: 66(51+15)


武器:ドワーフの戦槌(ドワーフの大戦槌)

防具:アイアンアーマー

その他:アイテムバッグ


残りスキルポイント5

スキル:

槌術レベル4

格闘術レベル1

投擲術レベル4

体力強化レベル1

腕力強化レベル4

器用強化レベル2

闘気術レベル3

風魔法レベル2「エアバースト、エアリアルスラッシュ」

MP回復速度強化レベル1

鍛冶術レベル5


称号:

タカシの加護を受けし者

ジャイアントゴーレム討伐者

百人力

ガルハード杯優勝者

ミドルベア討伐者



レベル18、アイリス=シルヴェスタ

種族:ヒューマン

役割:神官

職業:武闘家

ランク:C

HP:134(103+31)

MP: 72(55+17)

腕力: 82(63+19)

脚力:122(68+20+34)

体力:127(55+17+55)

器用:207(74+22+111)

魔力: 68(53+16)


武器:シルバーガントレット

防具:レザーアーマー

その他:スプールの首飾り


残りスキルポイント0

スキル:

格闘術レベル4

気配察知レベル1

気配隠匿レベル1

脚力強化レベル1

体力強化レベル2

器用強化レベル3

闘気術レベル4

聖闘気術レベル3

聖魔法レベル3「ウィッシュ、ホーリーシャイン、セイクリッドチェーン」

治療魔法レベル4「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」

操馬術レベル1


称号:

タカシの加護を受けし者

ジャイアントゴーレム討伐者

ガルハード杯ベスト16

ミドルベア討伐者

霧蛇竜ヘルザム討伐者



レベル9、モニカ=リシャス

種族:兎獣人

役割:料理人

職業:武闘家

ランク:D

HP: 69(53+16)

MP: 36(28+8)

腕力: 33(25+8)

脚力:110(39+12+59)

体力: 39(30+9)

器用: 36(28+8)

魔力: 43(33+10)


武器:エレキガントレット

防具:レザーアーマー


残りスキルポイント5

スキル:

格闘術レベル4

脚力強化レベル3

雷魔法レベル3「スパーク、パラライズ、ライトニングブラスト」

料理術レベル4


称号:

タカシの加護を受けし者

ミドルベア討伐者



レベル8、ニム=ラスカル

種族:犬獣人

役割:戦闘員

職業:土魔法使い

ランク:D

HP:67(51+16)

MP:43(24+7+12)

腕力:50(28+8+14)

脚力:60(26+8+26)

体力:83(36+11+36)

器用:30(23+7)

魔力:34(26+8)


武器:アイアンロッド

防具:レザーアーマー


残りスキルポイント10

スキル:

MP強化レベル1

腕力強化レベル1

脚力強化レベル2

体力強化レベル2

土魔法レベル3「ストーンショット、ロックアーマー、ストーンレイン」

MP回復速度強化レベル1

栽培術レベル2


称号:

タカシの加護を受けし者

ミドルベア討伐者

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