159話 みんなのスキル強化 前編
レベルアップとミッション達成により、大量のスキルポイントを得ることができた。
俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。
5人とも大幅な強化を行うことができる。
宿屋の一室に集まる。
「みんな。ミドルベアと霧蛇竜ヘルザムを討伐したことで、みんなにスキルポイントが入った。何のスキルを取得・強化するか、考えよう」
それぞれの現状のスキルを伝える。
また、残りのスキルポイントも伝える。
俺は50。
ミティは35。
アイリスは35。
モニカは45。
ニムは50だ。
「へえ。今回は、みんなたくさん強化できそうだね」
アイリスがそう言う。
「ああ。それだけ強敵だったということだ」
ここで、スキル取得に必要なポイントを整理しておこう。
新たなスキルを取得するには、10ポイント。
スキルレベル1を2にするには、5ポイント。
スキルレベル2を3にするには、10ポイント。
スキルレベル3を4にするには、15ポイント。
スキルレベル4を5にするには、30ポイント。
以上のようになっている。
「ど、どうしましょうか……」
ニムたちみんなが悩み始める。
「えっと。私はいずれかのレベル4のスキルを5に強化していただこうと思います」
ミティがそう言う。
レベル4から5に強化するためには、スキルポイントが30もいる。
今回のように、スキルポイントがたくさんあるときでないと、なかなか強化するタイミングがない。
確かにミティの言う通り、今回はいずれかのレベル4のスキルをレベル5にするのが良さそうか。
「そうだな。それがいいだろう。どのスキルをレベル5に強化する?」
ミティは、槌術レベル4、投擲術レベル4、腕力強化レベル4、鍛冶術レベル4を持っている。
槌術は、接近戦でのメインスキル。
投擲術は、遠距離戦でのメインスキル。
腕力強化は、槌術や投擲術、そして格闘術などにも活かすことができる。
どれも冒険者稼業に直接的に役立つ良いスキルだ。
鍛冶術は、戦闘面で直接的には有効ではない。
しかし、ミティの実家やハガ王国の炉を借りて強力な武具をつくれば、パーティ全体の確かな戦力強化につながる。
「そうですね……。鍛冶術を強化していただこうかと思います。よろしいですか?」
「鍛冶術か。もちろん構わない。一応、理由をきいてもいいか?」
「槌術などを強化していただければ、私個人の戦闘能力が向上します。一方で、鍛冶術を強化していただければ、良い武具をつくることによりパーティ全員の戦闘能力が少しずつ向上します」
「そうだな」
「パーティメンバーも増えてきましたし、鍛冶術を強化していただくほうがパーティに貢献できると考えました」
うん。
ミティは自分のことだけではなくて、パーティ全体のことをしっかりと考えてくれている。
ありがたい。
「なるほどな。そういうことなら、鍛冶術をレベル5に強化することに異存はない。一応、他のみんなの方針を聞いてから、スキルを強化することにしよう」
「わかりました」
ミティの暫定の方針は決まった。
次はアイリスだ。
「アイリスはどうする?」
「ボクは、治療魔法レベル3を4に強化してもらおうと思う」
「治療魔法か。上級の治療魔法を使える人が2人になれば、パーティの安定感は増すだろうな。ええと。治療魔法をレベル4に強化すると、残りのスキルポイントは20になる。それはどうする?」
「器用強化レベル2を3に、聖魔法レベル2を3にしてもらおうかな」
治療魔法と聖魔法は、アイリスと俺しか使えない魔法だ。
器用強化は、アイリスの長所である武闘の技術が向上する。
パーティ内でできることを差別化して伸ばしておくという点で、悪くない選択だろう。
「わかった。聖魔法には今回もお世話になったしな。その方針でいこう」
アイリスの暫定の方針は決まった。
次はモニカだ。
「モニカはどうする?」
「私は、料理術レベル3をレベル4に強化してもらおうと思う」
「モニカさんのおいしい料理が、さらにおいしくなるわけですね。今から楽しみです。じゅるり」
ミティがおいしい料理を想像して、幸せそうな顔をする。
少し気が早いぞ。
「ええと。料理術をレベル4に強化すると、残りのスキルポイントは30になる。それはどうする?」
「格闘術レベル3を4に、雷魔法レベル2を3にしてもらいたい」
「既存のスキルをどんどん強化する方針だな。いいと思う」
「とうとう、ボクと格闘術では同じレベルになるわけだね。あっという間だったなー」
アイリスがそう言う。
確かに、今回の強化でアイリスとモニカの格闘術のスキルレベルは同じ4になる。
現状でも、モニカの格闘術は中級クラスはある。
ミドルベアにも通用していた。
特に、雷魔法を併用した雷華崩脚や、アイリスとの合わせ技であるW裂空脚はかなりの威力だった。
「いや。スキルだけ上げても、経験に基づく判断力や度胸まで身につくわけではない。アイリスの実戦経験に基づく格闘術は、頼りにしているぞ」
「そうだよ。私もまだまだアイリスから学ばせてもらうよ」
俺とモニカでそうフォローする。
アイリスからすれば、少し複雑な心境かもしれない。
幼少から鍛錬していた自分に、少し前に冒険者になったばかりの同年代の娘が追いついてきたわけだからな。
「ありがとう。まあ同じパーティだし、比べる必要もないか。タカシの力の恩恵を受けているのは、ボクも同じだしねー」
アイリスがそう言う。
彼女も、俺のチートにより多大な恩恵を受けている。
パーティ内での得意分野の差別化のため、今回は治療魔法、聖魔法、器用強化を伸ばす予定だ。
しかし、彼女もその気になれば、格闘術や闘気術をさらに伸ばすことが可能ではある。
次回はそのあたりを伸ばすことになるかもしれない。
モニカの暫定の方針は決まった。
次はニムだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます