158話 後処理とレベルアップ
俺たち5人とカトレアで、村に戻る。
カトレアはミティが背負っている。
まずはカトレアの父である村長の家に向かう。
ちょうど、村長が家から出てくるところに出くわした。
彼がこちらに気づく。
「……カトレア!? いったい何があったのですか!?」
「実は……」
村長に、事情を話していく。
「霧蛇竜ヘルザムという魔物をご存知でしょうか?」
「寡聞にして知りませんな」
村長がそう言う。
俺もさっき聞くまでは聞いたことがなかった。
「S級冒険者たちが外界から持ち帰ってしまった魔物だよ。5大災厄のうちの1つなんだ」
アイリスがそう説明する。
「ふむ。外界というのは、中央大陸やここ新大陸からはるか海を越えた先にある、広大な大陸でしたかな?」
村長がそう聞き返す。
俺はそのあたりの地理の知識がない。
きちんと聞いておこう。
「その通りだよ。50年ほど前に、当時のS級冒険者たちが外界の探索に向かった。結果は芳しくないばかりか、未知の魔物まで持ち帰る結果となってしまったんだ」
「S級冒険者たちが手こずった魔物を、あなたがたが倒したということですか?」
村長がそう尋ねてくる。
「そうなるね。霧蛇竜ヘルザムは、直接の戦闘力はさほどでもない。厄介な点は、寄生先の宿主の感情を操作し、暴走させることなんだ。何か身に覚えはない?」
「……そういえばカトレアは、そちらのミティさんに対して、やたらと敵意を持つようになっていましたな。昔は仲が良かったのに、おかしいと思っていたのです」
村長がそう言う。
おかしいと思っていたのなら、カトレアの蛮行を止めてほしかったな。
「事情を尋ねたりはしなかったのですか?」
「ふむ? ……そういえば、なぜ私は違和感を覚えながらも何も行動しなかったのか……? ミティさんの両親と私も、知らぬ仲ではなかったのに」
「霧蛇竜ヘルザムの精神汚染の影響かもね。直接憑依している宿主だけでなく、周囲の人間にも影響を及ぼす能力があるという話を聞いたことがある」
「それは。なんとも恐ろしい話だな」
ミドルベアもなかなかの強敵だったが、ヘルザムのほうがよりたちが悪い。
「ミティさん。カトレアの不始末、申し訳なかった。今回の件も、かつてあなたの家を経済的に困窮させるように仕向けたことも。私も、黙って見逃していた罪がある」
村長がミティに頭を下げる。
「いえ。……悪いのは魔物ですから」
ミティがそう言う。
確かに、今回の件で悪いのは霧蛇竜ヘルザムという魔物だ。
とはいえ、悪いのは魔物と頭ではわかってはいても、実際に許すことは簡単ではない。
俺ならなかなか許せないと思う。
ミティの器の大きさはかなりのものだ。
「そういってもらえると助かります。後日、ミティさんのご両親にも改めて謝罪に向かわせていただきますので」
「わかりました」
村長の言葉に、ミティがそう返事をする。
これで、謝罪は一旦は終わりかな。
「それにしても、外界の魔物がなぜこんな村に? そしてよりによってカトレアに?」
村長がそう言う。
彼やカトレアは、ヘルザムの被害者だ。
「この村に至った理由はわからない。でも、カトレアさんに寄生した理由はある程度は推測できるかもしれない」
アイリスがそう言う。
「と、言いますと?」
「霧蛇竜ヘルザムは、特に嫉妬や憎悪の感情を増幅させる特性が強い。何か心当たりはない?」
「なるほど。……確かにカトレアは、ちびっこ相撲大会の決勝でミティさんに負けた頃から、嫉妬の感情は持っていましたな。嫉妬の感情以上に、友好の感情も持ってはいたのですが」
村長が昔を思い出すような顔をして、そう言う。
「普通なら、多少の嫉妬などの感情を抱えつつも、そのまま仲のいい2人で友人として成長していっただろうね」
アイリスがそう言う。
それが、霧蛇竜ヘルザムによって捻じ曲げられてしまったわけか。
悲しい話だ。
何とかこのタイミングで奴を浄化できたのは、不幸中の幸いといったところか。
●●●
次の日。
村長とカトレアが、ミティの両親であるダディとマティに謝罪を行っていた。
謝罪金として、今後定期的に金貨を支払うそうだ。
ダディとマティには、俺やアイリスからも霧蛇竜ヘルザムの件を説明済みだ。
彼らは、すぐには事情を飲み込めないようだった。
村長とカトレアからの真摯な謝罪に加え、ミティ本人は納得していることもあり、最終的には彼らにも納得してもらうことができた。
多少のわだかまりはどうしても残るだろうが、これで1つのケジメはついたと考えていいだろう。
また、取り急ぎの手土産としてお菓子の差し入れもあった。
餅だ。
なぜ餅?
「おお。これはあの有名店な、マインさんたちの餅ですか。ありがとうございます」
ダディがそう言い、村長から餅を受け取る。
何やら有名な店の餅のようだ。
モニカがちょっと食べたそうにしている。
「せっかくですし、みんなで食べましょう」
マティがそう言い、餅を配る。
遠慮なくいただくことにしよう。
「これはなかなか……」
「おいしいですね!」
「うん。いい味だね」
俺、ミティ、モニカがそう言う。
アイリスとニムもおいしそうに食べている。
「私としたことが。見落としていたなあ。この村を出るまでに、チェックしておかないと!」
モニカがそう意気込んでいる。
村長とカトレアの謝罪は済んだ。
餅を食べて一服もした。
これで、今回のヘルザムの件はひと段落と言っていいだろう。
もともとの用件に戻ろう。
ミティを奴隷身分から解放する件だ。
引き続き、ダディとマティには仕事を片付けていってもらう必要がある。
彼らの準備が整うまで、あと2、3日はかかるようだ。
その間に、できることはやっておこう。
スキルの取得と強化だ。
苦労してミドルベアと霧蛇竜ヘルザムを倒したかいがあった。
俺たち全員のレベルが上がったのだ。
俺はレベル17から18に。
ミティはレベル15から16に。
アイリスはレベル17から18に。
モニカはレベル7から9に。
ニムはレベル5から8に。
それぞれレベルアップした。
また、ミッションも達成扱いとなっている。
ミッション
竜種を1頭討伐しよう。
報酬:スキルポイント20
なかなか達成できずに残っていたミッションだ。
確か、ホワイトタイガー戦の直後に追加されたミッションだ。
半年近く未達成のまま放置していた。
竜種は、なかなか討伐しようとして討伐できるようなものでもなかったしな。
期間に制限がないのはありがたいところだ。
ミッション報酬のスキルポイント20を受け取る。
無事に、5人全員のスキルポイントを受け取ることができた。
パーティ全体として大幅な戦力アップが期待できるだろう。
時間はあるし、ゆっくりと考えよう。
楽しみだ!
レベル18、タカシ=ハイブリッジ
種族:ヒューマン
役割:リーダー
職業:魔法剣士
ランク:C
HP:135(104+31)
MP:170(68+102)
腕力:113(57+17+29)
脚力: 97(54+16+27)
体力:143(62+19+62)
器用: 78(60+18)
魔力:126(63+63)
武器:紅剣クリム
防具:アイアンアーマー、アイアンシールド
残りスキルポイント50
スキル:
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル4
格闘術レベル1
回避術レベル2
気配察知レベル2
気配隠匿レベル1
視力強化レベル1
MP強化レベル3
腕力強化レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル2
魔力強化レベル2
肉体強化レベル3
闘気術レベル3「開放、感知、集中」
火魔法レベル5「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “三十本桜” “バーンアウト””ボイル・ザ・ウォーター”」
水魔法レベル1「ウォーターボール」
風魔法レベル1「エアバースト」
聖魔法レベル2「ウィッシュ、ホーリーシャイン」
治療魔法レベル4「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」
空間魔法レベル3「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」
高速詠唱レベル1
MP消費量減少レベル2
MP回復速度強化レベル1
称号:
犬狩り
ホワイトタイガー討伐者
ジャイアントゴーレム討伐者
オーガ・ハーピィの盟友
ガルハード杯ベスト16
ミドルベア討伐者
霧蛇竜ヘルザム討伐者
レベル16、ミティ=バーへイル
種族:ドワーフ
役割:サブリーダー、鍛冶師
職業:槌士
ランク:D
HP:117(90+27)
MP: 69(53+16)
腕力:294(89+27+178)
脚力: 57(44+13)
体力:108(60+18+30)
器用: 58(25+8+25)
魔力: 66(51+15)
武器:ドワーフの戦槌
防具:アイアンアーマー
その他:アイテムバッグ
残りスキルポイント35
スキル:
槌術レベル4
格闘術レベル1
投擲術レベル4
体力強化レベル1
腕力強化レベル4
器用強化レベル2
闘気術レベル3 「開放、感知、集中」
風魔法レベル2 「エアバースト、エアリアルスラッシュ」
MP回復速度強化レベル1
鍛冶術レベル4
称号:
タカシの加護を受けし者
ジャイアントゴーレム討伐者
百人力
ガルハード杯優勝者
ミドルベア討伐者
レベル18、アイリス=シルヴェスタ
種族:ヒューマン
役割:神官
職業:武闘家
ランク:D
HP:134(103+31)
MP: 72(55+17)
腕力: 82(63+19)
脚力:122(68+20+34)
体力:127(55+17+55)
器用:170(74+22+74)
魔力: 68(53+16)
武器:バトルガントレット
防具:レザーアーマー
その他:スプールの首飾り
残りスキルポイント35
スキル:
格闘術レベル4
気配察知レベル1
気配隠匿レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル2
器用強化レベル2
闘気術レベル4
聖闘気術レベル3
聖魔法レベル2「ウィッシュ、ホーリーシャイン」
治療魔法レベル3「キュア、ヒール、エリアヒール」
称号:
タカシの加護を受けし者
ジャイアントゴーレム討伐者
ガルハード杯ベスト16
ミドルベア討伐者
霧蛇竜ヘルザム討伐者
レベル9、モニカ=リシャス
種族:兎獣人
役割:料理人
職業:武闘家
ランク:E
HP: 69(53+16)
MP: 36(28+8)
腕力: 33(25+8)
脚力:110(39+12+59)
体力: 39(30+9)
器用: 36(28+8)
魔力: 43(33+10)
武器:アイアンガントレット
防具:レザーアーマー
残りスキルポイント45
スキル:
格闘術レベル3
脚力強化レベル3
雷魔法レベル2「スパーク、パラライズ」
料理術レベル3
称号:
タカシの加護を受けし者
ミドルベア討伐者
レベル8、ニム=ラスカル
種族:犬獣人
役割:戦闘員
職業:土魔法使い
ランク:E
HP:67(51+16)
MP:31(24+7)
腕力:36(28+8)
脚力:47(26+8+13)
体力:83(36+11+36)
器用:30(23+7)
魔力:34(26+8)
武器:ウッドロッド
防具:レザーアーマー
残りスキルポイント50
スキル:
脚力強化レベル1
体力強化レベル2
土魔法レベル3「ストーンショット、ロックアーマー、ストーンレイン」
栽培術レベル1
称号:
タカシの加護を受けし者
ミドルベア討伐者
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます