143話 みんな笑顔の食事会

 食事会が始まる。

俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。

ユナ、リーゼロッテ、マリア。

総勢8人だ。


「タカシ。開会のあいさつをよろしくー」


 アイリスがそう言う。

開会のあいさつか。

まあ一言ぐらいは必要か。

一応、主催者は俺だしな。


「えー。本日はお日柄もよく……。くどくど」


『タカシお兄ちゃん、お話がながーい』


「ふふん。あいさつは手短に済ませてよね!」


 マリアとユナから苦情が入った。

仕方ない。

適当に切り上げよう。


「……というわけで、今日はたくさん飲み食いしよう。乾杯!」


「「「かんぱーい!」」」


 みんなで乾杯する。

お酒とジュースを用意してある。

ニムとマリアはジュースだ。


 他の人はお酒だったりジュースだったりだ。

酒の好きさを順位づけるなら、モニカ<アイリス≦俺<リーゼロッテ<ミティ<ユナといった感じになる。


 ユナはかなり酒が好きだ。

前回のラビット亭での食事会でも、ベロンベロンに酔っ払うまで飲んでいた。

ミティも酒好きだ。

しかし、彼女はあまり酔わない。


 リーゼロッテは、味わうようにして飲む。

俺とアイリスは、そこそこ飲む。

モニカは、こういう席では飲むが、普段はあまり飲まない。


「むっ! このお肉……」


 ミティが肉を口に含み、何かを言おうとする。


「かなりおいしいですね! タカシ様もどうぞ!」


「……! 確かにうまいな!」


『おいしー! お肉! お肉!』


 ミティのオススメの通り、うまい肉だ。

マリアも気に入っている。

みんなでどんどん食べていく。


「このサラダも新鮮でおいしいですわ」


 リーゼロッテがサラダを食べて、ほめる。

アイリスが用意したサラダだ。


「あ、ありがとうございます。これはわたしの畑で取れた野菜です」


「そうなのですか? いい栽培の腕を持っているのですわね」


「えへへ……」


 リーゼロッテの褒めの言葉に、ニムはうれしそうだ。


「切って盛り付けたのはボクだよー」


「まあ、そうなのですか。この盛り付けは、ファルテ帝国の雰囲気がありますが……」


「あ、わかるんだ。うろ覚えで盛り付けただけだけど」


 アイリスは、中央大陸からここ新大陸まではるばるやってきた。

そのため、いろいろな国々の文化や風習を知っている。

マヨネーズも食べたことがあるそうだしな。

彼女の知識や経験は頼りになる。


 その後も、みんなで楽しく食を進めていく。


「さーて。今日のメインディッシュといきますか。タカシ、ちょっと手伝ってよ」


「わかった」


 モニカといっしょに、今日のメインディッシュをテーブルに運んでくる。

魚料理だ。


「マヨネーズと合う魚を探して、試行錯誤したんだよ。ご賞味あれ」


 モニカの自信作だ。

ムニエルみたいな感じかな。


「ふふん。この白い調味料は何かしら?」


「こ、これは……! 噂で聞くマヨネーズでは!?」


 ユナとリーゼロッテがそう言う。

ユナはマヨネーズを知らないようだ。

不思議そうな顔をしている。

リーゼロッテは、マヨネーズのことを噂で聞いたことがあるようだ。


「リーゼロッテさんの言う通り、これはマヨネーズだよ。タカシとアイリスが食べたことがあるそうでね。話を聞いて、がんばって再現したんだ」


 モニカがそう説明する。

ユナとリーゼロッテが魚料理にマヨネーズをつけて、口に運ぶ。


「……! 悪くない味ね!」


「おいしいですわ~! シャルにも食べさせてあげたいですわね。はぐはぐ」


 ユナとリーゼロッテにマヨネーズは好評だ。

良かった。


「よし。俺たちもいただこうか。ミティ」


「そうですね。いただきましょう」


 魚料理にマヨネーズをつけて、口に運ぶ。


「うん! うまい!」


「これはなかなか。魚料理に対する認識を改める必要があるようですね」


『おいしー! おさかな! おさかな!』


 俺とミティは、魚料理よりも肉料理が好きだ。

とはいえ、これほどおいしい魚料理であれば、肉料理に決して引けを取らない。

マリアも気に入っている。


「ふふふ。喜んでもらえたようで良かったよ。がんばったかいがあった」


 モニカが満足気にうなずく。


 その後も、順調に食事会は進んでいく。

みんな、おいしそうに飲み食いしている。

量も適度な感じだ。


「最後はデザートだよ」


「み、みなさんのお口に合うといいのですけど」


 デザートはアップルパイだ。

ニムとモニカがつくった。

もちろん材料はニムの畑でとれたリンゴだ。


「ふふん。相変わらずいい味ね!」


「ボクもこの味は好きだな」


 ユナとアイリスがそう言う。

ユナは前の食事会でもアップルパイを食べている。

アイリスは初めてだ。

2人とも、アップルパイをおいしそうに食べている。


『おいしー! これおいしー!』


「よ、よかった。おかわりもあるからね」


 マリアが幸せそうに頬張っている。

それをニムがニコニコと笑顔で見つめている。

ニムのほうが2歳ぐらい年上だ。

気分はすっかりお姉ちゃんといったところか。

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