125話 モニカとニムの冒険者登録

 モニカの父ダリウスと、ニムの母マムに了承をもらった翌日。

さっそく、モニカとニムを連れて冒険者ギルドに来た。


 受付嬢のネリーに話しかける。


「すいません。この2人の冒険者登録をお願いしたいのですが」


「また女性ですか……。では、こちらの用紙に名前と職業をご記入下さい」


 ネリーが少し呆れたような目で見てくる。

俺の女好きがバレてしまったようだ。

まあ今さらか。


 モニカとニムが用紙に名前などを記入していく。


「タカシ。この職業っていうのは、何を記入するの?」


 モニカがそう聞いてくる。


「職業か。俺は剣士、ミティは槌士って記入したな」


 よく考えると少し腑に落ちない記入欄だよな。

職業は冒険者なんだけど。


「ボクは神官って記入したよ」


 アイリスがそう言う。


「へえ。武闘家じゃないんだ」


 俺がそう言う。

よくわからない線引きだ。


「まあ本職は神官だからね。本職がなければ、タカシやミティのように使用武器に応じた職業を書くといいんじゃない?」


「未定との記入でもいいですよ。もしくは、無難に剣士と記入いただくか」


 ネリーがそう助言してくる。


「とりあえず未定にしておこうか。使用する武器は、あとで相談しながら考えよう」


「わかった」


「わ、わかりました」


 モニカとニムが一通りの記入を終える。

用紙をネリーに渡す。

ネリーが処理を進めていく。


「……お待たせしました。こちらがお2人のギルドカードになります」


「ありがとうございます」


「あ、ありがとうございます」


 モニカとニムがギルドカードを受け取る。

当然だが、Eランクからのスタートだ。


「ところで、お2人はタカシさんのパーティに加入されるのですか?」


 ネリーがそう尋ねてくる。


「その方向で考えています。まずはしばらくお試しですね」


「そうでしたか。もし正式にパーティへ加入された場合は、5人パーティとなりますね。パーティ名を登録されることを強く推奨します。護衛依頼などでの信頼性が増しますよ」


 そういえば、以前もそんな話があったな。

いい感じのパーティ名を考えておく必要がある。


「わかりました。前向きに考えておきます」


 無事にモニカとニムの冒険者登録を終えた。

冒険者ギルドを後にする。


「さて。さっきの話にも出たが。モニカ、ニム。武器は何を使う?」


「わかんない」


「わかりません」


「……だよな。最初は無難に剣かなあ」


 難しいところだ。


「モニカは脚力が優れているから、武闘家でもいいんじゃないかな。ボクが教えようか?」


 アイリスがそう言う。

確かに、モニカの脚力は優れている。

ステータス上でもそうだし、実際の脚の筋肉を見てもそう思う。


 しかし、懸念点もある。


「うーん。初心者が武闘で魔物と戦うのって、ちょっと危なくないか?」


 俺はそう言う。

武闘で戦う場合は、魔物と相当接近する必要がある。

その分、危険性も増す。

また、単純に素手で牙や爪に触れてケガをする可能性もある。


 接近戦で魔物の攻撃を的確にさばいたり、素手でもケガをしないようにうまく攻撃したりする力量が必要だ。

もしくは、闘気で拳や体を常に覆っておくかだ。


「確かに少し危ない。でも、足技メインなら結構いけるよ。刃物が付いた足用の武器とか付けてさ。腕にガントレットを付けるのも悪くないし」


 アイリスがそう言う。

ガントレット。

またの名を籠手。

アイリスは、対魔物戦ではガントレットを装備している。


「なるほど。モニカはどう思う」


「わかんない。とりあえずアイリスのオススメ通りにしてみようかなあ。でも、確かに格闘で戦うのは少し怖いな……」


 モニカがそう言う。


「なら、最初は短剣でやってみるか? 慣れてきたらアイリスに武闘を教えてもらえばいいだろう」


 俺はそう提案する。


「うん。それがよさそうかな」


「モニカがいいなら、ボクもそれでいいよ」


 モニカとアイリスがそう言う。

モニカの暫定の方向性は決まった。

次はニムだ。


「ニムはどうする?」


「ニムちゃんは体力が優れていますし、前衛として敵の攻撃を引きつけてもらいたいところですね。でも、こんな小さい子にそんな役割は厳しいでしょうか……」


 ミティがそう言う。


「そうだな。少し厳しいかもな」


 俺はそう言う。

俺もミティと同意見だ。


 ニムのステータスは、前衛向きだ。

俺たちのパーティには、前衛のタンク職が不足している。

できれば彼女には前衛として敵の攻撃を引き付ける役目を担ってもらいたい。

とはいえ、まだ10歳と少しのニムにそんな役割は荷が重いだろう。


「魔法を習得してもらう方向で考えようか? ニムはどう思う?」


 魔法なら、後ろから発動するだけだ。

前衛よりははるかに負担が少ないはず。


「魔法は使ってみたいです。実は、畑仕事に役立てようと、ずっと土魔法の練習していました。まだ使えませんが……」


「なるほど。じゃあ土魔法を取得する方向で考えてみよう」


「そ、そうですね」


 さっそくステータス操作で土魔法を取得しようとするが……。

スキルポイントが足りない。

体力強化を取得したときに、使い切ったのだった。


「一昨日に体力を強化した分、しばらくは力を伸ばせないみたいだ。魔物を何匹か狩ったら、土魔法を取得できるようになると思う」


「そ、そうなんですか。残念です」


 ニムがしょんぼりした顔でそう言う。


「まあ、最初はどんどん力を伸ばせる傾向にあるから、気にする必要はないよ。北の草原でファイティングドッグと戦ってみよう」


「が、がんばります!」


 ニムがそう元気良く返事をする。


 モニカとニムの方針がある程度決まった。

さっそくファイティングドッグ狩りだ!

と言いたいところだが、その前に最低限の装備を整えておく必要がある。


 武器は……。

俺が最初の頃に使っていたショートソードを貸せばいいか。

他にも、木剣やアイアンソードもある。


 必要なのは防具だ。

普通の服でファイティングドッグを相手にするのは危険だからな。


 防具屋に向かう。

初心者向けのレザーアーマーを購入する。

革の鎧だ。

まだモニカとニムの最終的な戦闘スタイルの方向性が定まっていないので、暫定の装備だ。

方向性が定まった後、必要に応じて別のものに買い替えてもいいだろう。


 モニカとニムがレザーアーマーを付ける。

みんなで北の草原に向かう。



レベル4、モニカ

種族:兎獣人

職業:ー

ランク:E

HP:42(32+10)

MP:20(15+5)

腕力:17(13+4)

脚力:46(25+8+13)

体力:22(17+5)

器用:20(15+5)

魔力:27(21+6)


武器:(ショートソード)

防具:レザーアーマー


残りスキルポイント10

スキル:

格闘術レベル1

脚力強化レベル1

料理術レベル3


称号:

タカシの加護を受けし者




レベル2、ニム

種族:犬獣人

職業:ー

ランク:E

HP:35(27+8)

MP:12(9+3)

腕力:16(12+4)

脚力:14(11+3)

体力:36(20+6+10)

器用:10(8+2)

魔力:14(11+3)


武器:(ショートソード)

防具:レザーアーマー


残りスキルポイント0

スキル:

体力強化レベル1

栽培術レベル1


称号:

タカシの加護を受けし者

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る