63話 アイリスがパーティへ一時加入
今日も武術や魔剣術の訓練だ。
午前中の稽古が終わった。
ミティ、アイリスと合流する。
今日は、エドワード司祭もいた。
彼が口を開く。
「タカシくん。少しいいかな?」
「なんでしょう?」
「アイリスに冒険者としての経験を積ませたいと思っているんだ。私は所用で街を離れられない。タカシくんにアイリスを同行させてもいいだろうか?」
アイリスと一時的にパーティを組むというわけか。
まあ特に問題はないかな。
「構いませんよ。ミティもいいよね?」
「もちろん構いませんよ。学ぶことも多そうです」
俺とミティの返答に、エドワード司祭が満足気にうなずく。
「それはありがたい。よろしく頼むよ。アイリス。いい経験を積んでくるんだよ」
「はーい」
アイリスが気安い感じで返事をする。
エドワード司祭は礼をして、去っていった。
「というわけで、改めてよろしくね。タカシとミティ」
「こちらこそよろしく。アイリスは冒険者登録はしているの?」
「しているよ。まああんまり活動していないから、Eランクだけどね!」
「じゃあEランク級の魔物の討伐をしようか。3人だしDランク級でも問題はないけど」
「そうだね。まずはEランクの魔物でいいよ」
街の外へ向かい、魔物を探す。
いた。
ファイティングドッグだ。
「まあここは任せてよ」
アイリスがそう言って1人で向かっていった。
まあファイティングドッグ相手なら大きな危険もないか。
数回の攻撃で、あっさりとファイティングドッグを討伐した。
ファイティングドッグをソロで余裕を持って倒せるということは、実力はDランククラス以上か。
「アイリスさん、今の戦いでは闘気を使っていませんでしたね」
ミティがそう指摘する。
闘気術なしだったか。
気が付かなかった。
「一応、手を最低限の闘気で覆っていたから、使っていないわけじゃないよ。牙とかでケガをする危険もあるし」
「そうなんだ」
確かに、格闘で魔物を相手にする場合は、牙や爪でケガをする恐れがある。
闘気でそれを防いでいるわけか。
「闘気を惜しみなく使えば、もっと安全かつ早く討伐できるけど。疲れるんだよ。弱めの魔物相手なら、必要最小限の闘気に抑えたい感じだね」
確かに、闘気術も万能ではない。
武闘会のような限られた時間で1対1で闘う場合は極めて有用だが、冒険者として魔物狩りをする際には、使い所を見極める必要がある。
「せっかくだし、大技も披露しようか。以前に一度見せたやつだけど」
あの技か。
確か、裂空脚と砲撃連拳だったか。
「そうだね。見せてもらおうかな」
「ワイルドキャットあたりが出たら見せてあげるよ」
その後、ゴブリンやファイティングドッグなどと数回遭遇した。
普通に討伐した。
続けて魔物を探す。
ワイルドキャットがいた。
3匹だ。
アイリスがワイルドキャットに向かっていく。
今回は闘気を多めに使用するようだ。
「いくよ。……裂空脚!」
闘気を纏ったするどい回し蹴りだ。
ワイルドキャットの1匹をはじき飛ばした。
「さらに……砲撃連拳!」
闘気を纏ったパンチの連撃だ。
ワイルドキャット2匹に対して怒涛の攻撃を浴びせている。
あっさりとワイルドキャット3匹を倒してしまった。
闘気術を使用しているときのアイリスは、かなりの強さだ。
Cランクぐらいはあるんじゃなかろうか。
「すごいね! アイリス!」
「すごいです。アイリスさん!」
俺とミティで、アイリスを称賛する。
「へへーん。ドヤっ」
アイリスがドヤ顔を披露する。
彼女は結構調子に乗るタイプだ。
かわいいのでさほどウザくはない。
「いいものを見せてもらったし、今度は俺たちの戦い方も見てもらおうかな」
「おっ。いいね。タカシとミティの、冒険者としての戦い方を見せてもらうよ」
魔物を探す。
ゴブリンの群れがいた。
やつらに火魔法で攻撃しよう。
「ファイアートルネード!」
火の竜巻がゴブリンの群れを襲う。
これでほぼ一網打尽だ。
だが、少し生き残りがいる。
ミティの投擲の出番だ。
「投石いきます! ……せいっ!」
ミティが直径20センチ以上はある石を生き残りのゴブリンに投げる。
見事に直撃した。
これで戦闘終了だ。
「すごいね! 武闘に限定しなければ、ボクより強いかもね!」
アイリスにいいところを見せられたかな。
「まあ本来はこっちが本業だしね」
「ふふ。でもボクにも奥の手はあるし、ガルハード杯では負けないからね!」
前に言っていた、奥の手か。
気になるけど、まだ教えてもらっていない。
武闘会までのお楽しみだ。
「お手柔らかに頼むよ」
ガルハード杯本戦に出場しよう、というミッションがあるので、予選は何とか突破したい。
予選でアイリスに当たってしまうと、かなり厳しいものがある。
彼女と闘うとしても、本戦で闘いたいところだ。
その後もしばらく狩りを続け、街へ戻った。
アイリスの同行は参考になるし、パーティの安定感も増す。
収入は若干減るが。
総合的にはメリットが勝るだろう。
加護付与のための忠義度稼ぎもある。
アイリスの忠義度は30弱。
悪くない感じだ。
何かきっかけがあれば、50も見えてくるかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます