その恋は花のように

天野蒼空

ポピー「恋の予感」

「今日の一位は乙女座のあなた。気になる人と距離を縮められるかも。ラッキーアイテムは緑色のペン」


 テレビから今日の占いが流れている。


「緑色のペンなんて持っていたかな」


 暗記用に使う緑のペンがペンケースの中にあるだろう。そんなことを考えながらトーストを口の中に入れる。


「お姉ちゃん、占いなんて信じているの?」


 妹が呆れたようにそういうが、


「信じたほうがいいことありそうじゃん」


 と、私はいつも思うのだ。


「それじゃ、行ってきます」


 歩きながら前髪を少しいじる。この前の雑誌に書いてあった占いで前髪を切るといいと書いてあったから前髪を少し自分で切ってみたのだが、思った以上にうまく行かなかった。少しはねてしまっているような気がする。

 ドアを開けて学校へ向かう。

 バス停で誰かがバスを待っている。


「先輩……。」


 顔が熱くなるのを感じる。ギュッとかばんの紐を握り直してバス停に向かって走ろうとするが、ちょうどバスが来てしまった。今ここから走っても、私の足じゃ間に合わない。もう少し早く家を出たら先輩と一緒に登校できたのにな、と思うと少し残念だ。


 明日はもう少しだけ早く家を出よう。


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