君が消えた夏
彼女は、去年の夏頃から入院と退院を繰り返していた。唯一、ぼっちの僕と絡んでくれる存在でありながら、周りとも仲がよく、彼女はクラスの人気者だった。
僕にとっては、
彼女が、唯一の学校での楽しみでもあった。
多分、彼女を好きだと自覚したのは、今年の休校期間。
そして。
学校再開時、運良く退院していた彼女に、「今しかない」と感じ、思い切って僕は彼女に告白をした。
彼女からの答えは考えてもみなかったものだった。
「・・・私...もうじき死ぬんだ...」
そう彼女は言った。少しの間、僕はなにも考えれなかった。
「本当に彼女なのだろうか?」と思ってしまうほどに、その時の彼女の表情は、いつもニコニコしているのと対照的で、悲しみに満ちていた。
そこで僕は、彼女に手紙を書き続けることを決めた。思いを伝え続けるために。
ラインとかもあるが、それじゃだめだと僕は判断した。
それから僕は、意味があるのかどうかもわからない手紙を、彼女に送り続けた。ずっと...。君が好きだ、と...。
そして。
13枚目の手紙を送って、数日がたって。
彼女が亡くなった、という報告を受けた。
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