🎄血吸い鬼とクリスマスを🎄

 クリスマスは静かに家族と過ごす、僕は大抵そうしてきた、元来人との相性は良くは無くパーティーの誘いは断る事が多かったし母を亡くし家族が誰もいなくなってからは幸せな人の空気を感じるとその空気からは距離を取り1人で過ごす癖がついてしまっていた。


「おまえさん正気か?」

 その日、血吸い鬼がサンタクロースのコスプレでやって来た、それも随分と短いスカート丈のやつだ。


「あの……パーティーに……」

 着なれない短いスカートにモジモジとしつつ血吸い鬼は用件を伝える。


「魔女の所のか?」

 何時もはカボチャ男が来るのに珍しいな。


「は……い……」

 ああ、これ魔女に無理矢理着せられたパターンだな。


「すまないがクリスマスは1人で過ごす事にしている」

 僕が素っ気なく断る。

 

「あの、でも……魔女の先生がどうしてもあなたを誘って来なさいと……」

 この血吸い鬼は魔女に弱みでも握られてるのか?



 断りずらいな……



「解りました少しお待ちください」

 僕は何時も着るコートを着てマフラーをし彼女と家を出る。


「あの……ご迷惑でしたか?」

 ガッツリ防寒した男とミニスカサンタが暗がりの田舎道を歩く、僕からは白い息が出ているが彼女からそれは出ない。


「いえ、どうしても1人で過ごしたい訳ではないので」

 僕はそう言うと彼女にマフラーを巻く。


「あの、私寒くは……」

 彼女は少し顔を赤らめる。


「すいません、見た目が寒そうなので気になって」

 血吸い鬼は寒さを感じない生き物らしいが彼女には何かしてあげたいと思ってしまう。


「すいません…………」

 気のせいかそこには暖かそうにマフラーに顔を埋めずめる彼女がいた。



 もしかしたらここまでの流れがあのお節介魔女の策略だったのかもしれない。

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