第46話 不信

放課後

今日も戌走の声が一年D組では響き渡る。


「伏野ー!一緒に帰ろー!」


「悪い。今日は寄るところがあってな。荒井と先に帰っててくれ」


「えー……わかった」


「本当悪いな」


と言いながら、伏野は教室を出て行った。

そして、学校の門まで出ると、同じクラスだというのに次石がそこにはいた。


「何で戌走には黙ってなくちゃいけなかったんだ?」


「彼、今は少し女性が苦手らしくてね」


「何でだ?」


「入学して三日目に別の高校に進学した中学時代からの彼女がその別の高校で違う彼氏を作っちゃったらしくてね。その時から女性不信に陥っているらしいんだ」


次石は意外と軽々しく言ったが、それを聞いていた伏野は心の中で思った。


(入学して三日目で彼女が別の男と交際を始め、女性不信に陥り、挙げ句の果てに足を怪我して入院とか学級委員の高校生活、初っ端からハードモードすぎるだろ。学級委員の名前知らんけど)


と。

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