第25話 きれきれルビー



「せ、静電気だと・・・!!?」


「えぇ、そうです。静電気ですわ。」




「ぶふっ、」とまた誰か吹いた。




「残念ですわね? お兄様であるクロウ殿下に魔力は全振り。 二番目の貴方は残った魔力で静電気程度。 …以前はお優しかったのに、今じゃ顔だけ。  お可哀想に・・・本当に・・・、心から、・・・・お可哀想に。」


「な…、な…、なにを・・・!」




「アイツ弱いの?」とマリンとペリドットに聞くと、「えぇ。めっちゃ弱いですぅ」とにこやかに言う。

つか、ちょっと私の言葉遣い移ってきてね…?



周りも必死に笑いを堪えているようで、そっぽ向いて肩を震わせている。

そんな貴族達を見て、ジェード殿下も急に恥ずかしくなったのか耳まで真っ赤だ。




「わ、私達のみならず、殿下まで侮辱するとは・・・!!!」




取り繕うように、クラウス・リーが叫んだ。


その声で我に返ったのか殿下は、「そ、そうだ・・・!!」と続ける。



もうミカちゃんは、つまんなそーに髪を指でくるくる。




「貴様が悪いのだ・・・!! そうだ…!貴様が全て悪い…!! 女なら美香のように可愛く男に媚びていれば良いんだ…!!!女は男の機嫌を取れ…!歯向かうな…!!男の為に着飾れば良い…!!男を気持ち良くするのが女だ…!!! それが仕事だろう…!!!」




クソ男の謎発言に、思わず「はぁ?」と言ってしまったが、それはどうやら私だけでは無いらしい。


今、ここに居る、女、全員、敵に回した。


さすが。

クソ男はヤること言うこと違うね。


ミカちゃんもこれには引っ掛かったようで、眉間に少しシワを寄せて殿下をチラリと見上げた。




「あぁ、うざい。 あぁ、もう本当にうざい。 『うぜー』ってこういう時に使うのですね。良かったですわ。覚えておいて。」


「ニック・・・!!! アイツを捕まえろ…!!! 不敬罪で投獄してやる・・・!!!」

「はっ…!!」




「貴様ァァアァア・・・・・!!!」




まさかのお腰の剣を引っこ抜いて、ルビーの方へドタドタ、甲冑をガシャガシャして走るニック。

走り方ダサっ。

いやいや、つーかヤバいじゃん…!!




「え?え?え?ヤバくない??あれチョーヤバくない…!???つーか斬る気…!!??」

「えぇっ!?なんか剣、出しちゃったわよ…!!?」




『ルビー死んじゃう!』って私とアキナは思ったんだけど、ルビーも微動だにしないし、マリンもペリドットも堪えきれてない笑みが、美しい顔を歪ましている。

クロウは何か頭抱えてうんざりしてるし、まじで「はっ!?」って感じ…!



それでいよいよ剣を振りかざして「見てられなーーい…!!」って思った瞬間、剣が溶けた。




は?



剣、溶けたんだけど??





ルビーが、こう、指をちょーーんって出したら、



剣が溶けた。




「なッ・・・!?」

「あらあらまぁ・・・、溶けてしまいましたわね?」




「おほほほほ…!!」と高笑いと共に、特殊効果ばりの炎が、ゴオォオと燃え上がる。



まじで意味分かんなさ過ぎたけど、それで「あ、あぁ…、魔法ね…!」と理解した。



ニック自身も、何が起こったか理解出来てなくて、少しばかり固まっていた。

動体視力どしたー。


しかし、「こんなもの無くても貴様ごとき捕らえるのは簡単だァ・・・!!!」と脳筋ニックは懲りずにまたルビーに近付く。


すると今度はドロォ・・・、と甲冑が溶けて床に流れ落ちていく。




「ぐぬぅ・・・!! えぇい…!!こんな事で怯んでたまるか…!!」

「きゃあっ…!」




ルビーの背後に回り、後ろから抱き付く形で、ニックはルビーを捕らえた。




「いやっ…!放してっ…!」

「熱さなんかに・・・!! 負けはせん・・・!!」




と、謎の忍耐力とか出してきてるけど、めっちゃ下着燃えてるよ?

ジリジリ、ジリジリと紙を燃やすときみたいに、どんどん下着が無くなっていく。



背中から、腰から…、どんどん露になっていく。



いや、ヤバいって。

うわ。

見たくないって。

流石に高校生に見せられるもんじゃないって。


マジで。




「あぁん! いいカラダ・・・!」




アキナはうっとり。

いや確かに筋肉付いてるかんね?

そりゃいいカラダかも知んないけど・・・




ちょっとまって。

え?

パンツまで燃えちゃう…?

え…?

流石に、ちょっと…、



うわっ…!

ケツっ…!!

ケツやばい…!!


うわうわ…!

その先は…!!

ちょっと…!!!




「汚いですわ…!! 何て格好で私に抱き付いているの…!!?」

「は?」




もう、すっぽんぽんとはこの事。


ルビーはわざと全部燃やしたんだろうけど、めっちゃ身体張ってんね。

つか腰辺りに当たってるっしょ…!




「何だ…!コレは・・・!!!」




驚いてルビーから離れるから・・・、いや、マジで。


ちょっと待って、マジでー

見ちゃったー、うわー。



その他貴族のおば様とか、ムッツリそうな令嬢とかガン見。

いやいや、確かに筋肉あるけどさ…!?


おじさんとかお兄さん辺りは、爆笑してたり呆れてたり、ちょっと自分のと比べてみたり・・・。



てか、ミカちゃんめっちゃ見てんじゃん…。


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