第23話 きれかけルビー
「・・・・何ですって?」
「貴様との婚約を破棄し、そして彼女と、
フロアの静けさハンパない。
そりゃあね。
淑女の鑑であるルビーが、なんかよくわかんない異世界人に婚約者を盗られたんだから。
「はっ、信じられないと言う表情だな…」
ルビーは姿勢を崩さず、美しくその場に立っている。
「当たり前ですわ。」
その言葉にジェード殿下は、「ふんっ」と鼻を鳴らす。
まるで自分が勝ったかのように。
みんなハラハラしながら見ているが、きっとルビーなら大丈夫。
うん。
いざとなれば燃やしちゃえばいーし?
「まぁ、そうだろうな。 お前は私を慕っていたから 「いいえ殿下。」 なに…?」
ルビーがわざとらしく被せて喋ったので、ジェード殿下は眉をひそめた。
めっちゃいい感じに わざとらしくて最高じゃん。
「いいえ。」のタイミングが神すぎるんですけど。
「私が信じられないのは
「・・・・はぁ?」
「何の話だ」みたいなジェード殿下の反応に、ニタァと笑ってしまいそうな所を、「うふふふふ。」と上手く誤魔化した。
さすが淑女~。
でもあたしらにはバレてるよ~。
「私は、『何故、美香さんと一緒にいらっしゃるのか?』と言う質問をしたのです。 ですが殿下の答えは、私がした質問の答えになっておりません」
「・・・ふんっ…! 今の答えが全てだろう…! その含みも自分で想像できぬほど貴様は盲目だったと言うことか…!」
女性を指で指し、貴様と呼ぶ。
こんな男が王子で良いのか・・・。
うん。
私でも分かる。
コイツはやべぇ。
「・・・・・・・はい?」
「貴様は、あろうことか異世界から来た彼女・・・、美香を陰湿なやり方で虐めたのだ・・・!!」
おどおどとジェード殿下の後ろで隠れながら、怖いものでも見るような目でルビーを見つめるミカちゃん。
そんなミカちゃんを、何の感情も無いような瞳で見つめ返すルビー。
そのルビーを見て、周りの取り巻きの男達は、ルビーを睨み付ける。
どんな絵図!
いや、どんな絵図!?
女の子ひとりに対して、どんな絵図よ!
流石に無いわー。
引くわー。
何をもって、今の状況が正しいと思ってるワケー??
「・・・・・・・はぁ…。 全く思い当たりませんが…。」
「なっ…!!」
「私は一体どんな方法で彼女を虐めたのでしょう?」
「まさか、
「いいえ。 思い当たりませんと申したのです。」
「・・・・、ならばこの場で教えよう。」
「お願い致しますわ」
すん。と澄ましているルビーに、これでもかとまた睨み付ける男達。
「異世界から来た美香に対し、厳しい物言いで態度や行動を
「はぁ。」
「更にはそこの女を使い、 「え、あたし?」 そうだ。」
まさかのご指名。
デンカからのご指名とかまじ有難し~。
後世に受け継ぐべき案件じゃん。
「美香が惨めな思いになるよう仕向けた。 その今纏っているドレスだってそうだ。 折角、美香の為用意したドレスも、結局は自身が目立つための布石だったと言うこと…。右も左も分からぬ美香は・・・、それはもう心細く… 「え、デンカデンカ、あたしの事忘れてね?? あたしも異世界から来たんだけど??」 そんな事、今はどうだっていい!」
「は? めっちゃ都合
「兎に角だ。」
「おいっ」
「王妃になろうと言うのに貴様は、異世界から来た美香に対し、嫉妬に狂い、そして虐めた。 あろうことか創造者である美香に…!!」
「はぁ」
「私の方でも美香に対する態度を何度も注意をした。けれど貴様は聞く耳持たず、これでは王妃にも出来ないと私が判断したのだ。」
ざわざわ
ざわざわ
「ほんとうに?」「いや、確かにルビー様が彼女に注意していたのは見たけれど」「女って怖…」「嫉妬だなんて醜いわぁ」
様々な声が飛び交っている。
けれどルビーにはそんな声は気にも留める程でもない。
「・・・・・・私は虐めた覚えは御座いません。当然の注意をしたまでです」
「罪を逃れる気か・・・!!」
「いいえ。 私は虐めた覚えは御座いませんが、もし美香さんがそう捉えたのなら仕方の無いことでしょう。受け取り方は人それぞれ。 傷付けたのなら謝ります。 申し訳御座いません」
綺麗にお辞儀をする様は、誰が見ても美しかった。
「事の重大さに気が付いたのかやけに素直だな。 しかし今更もう遅い。貴様の醜い心に愛想が尽きたのだ。今後、私の気持ちがお前に向くことはない。私の事は諦め、 「それについてですが。」 …なんだ」
またわざとらしく言葉を被せたので、またジェード殿下は眉をひそめる。
「彼女を虐めたのなら、私と美香さんの問題では? なのに何故、殿下が入ってくるのでしょう?殿下はこの問題について、関係無いのではないでしょうか?」
「それは決まっている・・・! 私が彼女を支え、守ったのだ!!貴様という悪女から!!」
「はぁ、・・・・・・では後ろの方達は?」
嫌な女だ…!と言う風に女の子を睨み付ける男共。
お前らの方が、今よっぽど醜くなーい?
「私達も彼女を支えたのだ。 殿下ひとりに、この悪行を押し付けるわけにはいかないだろう!」
どこから声出してんだよ、お前そんなに大きな声出たのかよ、キャラ変わってない?って感じで叫んでるのは、氷の魔王様ことクラウス・リー。
「と言うか、こんなか弱い女の子に、貴方達って本当に卑怯ですよねー。僕たちが居なかったら美香さん今頃どうなってたか。」
いや、お前らが居たからこうなってんじゃねーの?ってか、こちらもか弱い女の子ですけど?と言いたくなるのは、可愛い顔して腹の中真っ黒クロ助野郎のリック・ハート。
「この俺が居なければ今頃美香さんは大怪我でもしていたかもしれない…!! 騎士団副団長である俺が守ると決めたのだ…!!これ以上手出しはさせん・・・!!命令があればここで貴様を取り押さえる事だって出来るのだぞ…!!!」
え、うるさっ。
つかまじ脳筋じゃね?取り押さえるのめっちゃ好きじゃん。
え、てかお前は国を護れよ。な感じなのはニック・ナントカ。
ごめん名字知らないわ。まじごめん。
ま、そんな感じでそれぞれ騒いでいるわけよ。
うぜーね。まじうぜー。
ウザさはかなりヤバイけど、こっちもヤバめ。
そう。
一方、ルビーはと言うと・・・・・・
ピキピキとこめかみの血管を浮かび上がらせ、そして拳の隙間から灼熱の炎が見え隠れしていた。
あ、キレてんね!
さすが淑女!
笑顔は崩さずキレてっし!
モデル並みっ!
って、そんなこと思ってる場合じゃなくねーー??
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