第6話 やっぱクソビッチじゃね?
───放課後、
「天音様?」
「なぁーにー」
ルビーは二人を引き連れ、また腕組み顎上げ立ち。
きっと癖なのだろうが、顔立ちが少々キツめなので威圧感がある。
「この後お時間あります? 全ては無理ですが校内を案内いたしますわ」
「おー、まじでー!ありがてー! お願いしまーーす!」
仁王像感ぱないけど、やさしーんだよなー。
どうやら三人は、私が机の上を片付けるのを待っているようで…。
んー、でも重いから全部ロッカーの中に入れとこ。
ルビー達は、『え…?』って顔するけど、『ん?』って返しといた。
だって重いし。
まずは説明されたのは、貴族棟と、平民棟。
『平民とかw お前ら貴族かよw』って思ったけど、
あ。マジもんの貴族じゃん。
この国は割かし豊かな方らしく、平民も授業を受けれるようになった。
いまから30年ぐらい前は、貴族しか学校に行けなかったらしい。
授業の内容も、平民と貴族でカリキュラムが違って、平民は農業や役所仕事とか、生活魔法応用やら生まれた家に関わらず、色んな職業を勉強出来る。
卒業するときに、向いている業種を斡旋してくれるらしい。
え?めっちゃ将来安泰じゃね?
私も斡旋されてーし!
それで貴族は国の歴史から、他の国との関係やらビジネスがどーたら、外国語がどーたら魔法レベルがどーたらと、何だか難しいし、貴族は家柄などでまだまだ縛りがあるらしい。
蛙の子は蛙。的な?
あと、爵位?っつーのでクラスが別れているらしい…。
よく分かんねーけど、イケてるグループとイケてないグループ?的な??
そーやって三人に連れられ歩いていると、流石はイケてるグループ。
目立っちゃって、そこそこの女子やら男子がヒソヒソきゃーきゃー騒いでいる。
まぁ、そもそもこんな美人三人が歩いてればそーなるっしょ。
説明を受けながら、学校を歩いていれば、
うわ。また居た。
クソビッチと、キラキライケメン王子。
まぁ、私と同じで校内を案内されてんだろーけど?
は?
袖をちょっと掴む必要あるわけ?
何なの??
女子なの?アザと女子なの???
つーか何!?
男増えてね!?
なんつーの?
可愛い系男子?
髪は落ち着いた金でふわふわ、目はくりっとしてて少々タレ目。
「あら、またお会いしましたね?」
ミカちゃんを見つけ、ルビーはお決まりポーズでご挨拶。
「やあルビー。 君も案内かい?」
「えぇ、そうですわ! それで? 美香様は…、また"ご友人"が出来たようで」
チラリと可愛い系男子を見るルビー。
「お初にお目にかかります。 僕はハート子爵の次男、リックと申します。 皆様噂通りの美しさ、学園の宝石達にお会いできて光栄です」
リックだかリュックだかは、にこりと愛されスマイルでお辞儀。
可愛い顔してしっかりしてやがんな。
こーゆー男って大体腹黒なんだよなー(偏見)
「ありがとう、宜しくお願い致します」
「嬉しいわ」
「宜しくお願い致します」
「あたしは美優。 その子と一緒に別んトコから来たんだよね。」
「よ、宜しく…、個性的な人だね…」
「そんで? ミカちゃんはどこで知り合ったんだよ」
「あ、リック君とは、廊下でぶつかってしまって、それから…」
「ふーーん」
それで引き連れてきちゃうとか。
どんな才能だし。
「美香、そろそろ行こうか」
「はい! 失礼しますっ!」
「ちょっと置いてかないで下さいよー」
ミカちゃんはきゅっと王子の腕を掴んで、リックは置いていかれぬよう、ミカちゃんのジャケットの裾を摘んで追い掛けた。
スゲー学習しねー奴じゃん。
結婚決めてる奴にそんな事すんなし。
え?
何なの?
NTR?NTRが好きなの?
つか王子も、てめーの女の前なんだから、気ぃ使えないわけ?
え?
馬鹿なの??
は?
馬鹿でしょ??
「美香様も、初めての世界で、慣れてないんですものね…」
「ルビー様…、お気になさらず…」
「大丈夫よ。 ありがとう。」
気丈に振る舞うルビーの顔は、『大丈夫』と言える顔では無かった。
そりゃーね。
目の前であれはねーっしょ。
「つーかルビーって婚約者居るんだね。 どこで出会ったの?」
そう聞くと、ニコリと微笑んで、学校の中庭とは思えない、美しい噴水を眺めながら、話し始めた。
「・・・元々…、私は公爵家の生まれですので、同じ公爵家か、一つ下の侯爵家か、年が合えば、王族かで結婚を決めるのが妥当と言うか、そういうものなのですけれど、」
「ふう、」と一息ついて、話始めるルビーは、どこか遠い目をしている。
「たまたま、王家に同じ年に産まれた男の子、つまり第一王子で未来の王ですが、その方と結婚をとうちの両親がお話を進めていまして…、元々、両家とも仲が良かったのもありますが、まぁ
「やべーじゃん…!」
「ルビーは王妃だ。と育てられてましたから、政略結婚には特に何の疑問も持ちませんでした。 しかし、ある日…」
ルビーの瞳はキラキラと輝きだし、その微笑みは正に乙女そのものだった。
「あの日、私が9才の時でした。 初めて第二王子、つまりジェード様にお会いしたのです。」
「えぇ えぇ、覚えております…」
「私達も一緒に居りましたの…!」
「王家のパーティーに招待された時ですわよね!」
「えぇ、今でも覚えております…。 雷に打たれたようなあの衝撃・・・、美しく金に輝く髪に、あの笑顔…!」
瞳はより一層キラキラを増し、惚れ惚れするような表情…。
「つまり…ルビーは一目惚れってこと??」
かあっと、耳まで一気にルビー色に染まった。
「まっ、まぁ、そうね…! 私の一目惚れですわ…!」
「まぁ、ルビー様ったら…!」
「あのときのルビー様は本当に、いいえ、今でも、ジェード様と一緒にいらっしゃる時は、本当に、お幸せそうで…」
「そして、何とかお父様にお願いして、ジェード様と婚約しましたの…」
「なにそれ。めっちゃかわいい。」
「しかし・・・、私の一方通行での婚約ですので…、ジェード様は…、私の事は…。 あんな風に、腕なんて組んだこと…、パーティーぐらいでしか、ないのに」
「ルビー様…」
「まぁ…」
「私は、本当に・・・、ジェード様が・・・、本当に・・・」
森の湖に沈んだように、ぐらぐらと揺れ始めるルビーの瞳。
今にも涙が落ちそうだ。
「ツライツライ…!! やめよっ!ごめん! こんな話させて…!! 辛すぎるわっ…!!」
「ごめんなさい…、こんな姿…」
「ルビー様が謝ることでは御座いませんわ。」
「そうですわよ、ですからホラ、顔を上げて、いつもみたいに胸を張りましょう?」
「ッ…。えぇ、そうね。 公爵家令嬢たるもの胸を張っていなければ。 ありがとう皆さん」
例え、一方通行の恋で、政略結婚だとしても、自分をこんなにも、純粋に好いてくれる人に、何故あんな風な事が出来るのだろう。
傷付くって分かっているのに…。
つーかさ。
やっぱ馬鹿なんじゃね!?
それしか考えらんなくね!?
だって気付かねーとかマジありえねーし!!
「もう、こんな時間になってしまいましたわね。 続きはまた明日に致しましょう? 天音様にもみっともない姿を見せてしまい、申し訳ありません。」
「気にしないでー、あたしは皆と一緒に居れて楽しいし! あと様付けはナシ!!美優って呼び捨てで呼んで! うちらの世界じゃ友達で『様』とかあり得ねーから!」
そう言うと、ちょっと照れた感じで三人ははにかんだ。
「えぇ、では…美優。 これからも友達として、宜しくお願い致しますね?」
「美優、あなたのことちょっと外見で判断してしまったけど、ごめんなさい、宜しく致します」
「私も勝手に見た目だけで判断してしまったけど 、美優って文字通りお優しいのですね!」
「いやーー、照れる照れる! 見た目で判断されんのは慣れてっから! 気にしないで!」
それから私達は、「じゃあまた明日」と手を振り、其々の家へと帰った。
私が帰るのは、変なコスプレジジー達が用意した、教会のような施設のような、そんな場所にある部屋。
もちろん、日本の自分の部屋よりは広い。
でも知ってる。
明らかに!!
ミカちゃんの部屋の方が広い!!
チラッと見えたミカちゃんの部屋の中は、ヒラヒラでふわふわで、可愛い女の子のインテリアだった。
私の部屋はと言うと…?
最初、ビジネスホテルかと思ったし。
いや、今見てもマジでウケるぐらいビジネスホテルだし。
何なの??
私オッサンなの???
いーけどさ!!
しんぷるいずべすとっつーーの!?
嫌いじゃないしっ!イジリがいあるしっ!
でも、ほんのすこーーーしだけ、女の子のお部屋に憧れたり…。
いいし!いいし!
帰ったら友達と
そこで女子会するし!!
それで満足だし…!!
と、言いつつやっぱり、女の子部屋にすこーーーし、憧れたり・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます