第6話 エレベーター
20代前半の頃、池袋の西口方面にある某大学のダンスサークルと関わりがあり、大学構内に頻繁に出入りをしていた。
構内の奥まったところに、Wホール(仮名)という建物がある。このWホールでの話。
当時付き合っていた彼女と二人、帰ろうという事になって、四階から一階に下りる事になった。
このWホール、夜になると省エネの為、エレベーターの電源が落ちるようになっている。
実際その時、エレベーターは電源が落ちており、エレベーターのゴンドラのある階を表示する文字盤が消えていた。
俺は彼女と階段を下りて帰る事にした。
一階に来ると、彼女が「トイレ行きたい」と言うので、俺はトイレの前で待つ事にした。
このトイレがエレベーターホールのすぐ隣にあるので、自然とエレベーターホールにいる事になる。
何気なく、エレベーターのドアを眺めていた。すると、
チーン
と、エレベーターが停まる音が鳴り、ドアがスーッと開いた。文字盤は無灯火である。
ゴンドラの中は真っ暗で驚いていると、
「ドアガ開イタラ、オ乗リ下サイ。ドアガ開イタラ、オ乗リ下サイ」
と無機質な自動音声が二回聞こえ、スーッとドアが閉まると、再び死んだような静寂が訪れた。
それまで、あんな自動音声は聞いた事が無かった。
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