第3話 虫の知らせ
ちゃあちゃん(母方の祖母)から聴いた話。
母がまだ幼かった頃、ちゃあちゃんが夕方、台所で炊事をしていた。
ふと気が付くと、流しにある窓の端に、小さな蛾が一匹、とまっていた。
ごくありふれた光景だったので、特に気にする事無く、その晩は暮れた。
あくる日、ちゃあちゃんが炊事をしている時に、ふと窓を見ると、蛾が増えていた。
その次の日にも、蛾は増えた。
夜、光に誘われてやってきた昆虫は、朝死んでいる事があるが、流石に不審に思ったちゃあちゃんが翌朝、窓の裏側に行ってみたが、蛾の死骸一個、落ちていなかった。
「不思議な事があるもんだ」と思っていたら、ある日、窓一面にびっしりと蛾の大群が群がっていた……!!
翌日、電報で「親戚の方が亡くなった」という訃報が届いた。
その晩から、パッタリと蛾は姿を見せなくなった。
その話を聴いた僕は、水木しげるの妖怪図鑑で見た『蝶化身』を思い出さずにはいられなかった。
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