第82話 case82
放課後、2人は揃って生徒指導室に行き、椅子に座っていた。
教師はため息をつきながら「河野、お前は賭博行為を切り出した罰と、姫野の下着を見た罰だ」と言い、亮介は不貞腐れながら「わかりました…」と答えていた。
「それと姫野、学校を燃やした罰だけだが、必ず30文字以上書け。 良いな?」
「は? なんで?」
「なんでだと? お前前回の反省文、あれで通るとでも思ってるのか?」
教師はそう言いながら、大量の反省文を並べる。
亮介は大量の紙に、1枚につき1文字書いてある反省文を見て「ひでぇ」と言いながら笑い始めた。
くるみは不貞腐れながらペンを進め、亮介は頭を抱えながらペンを進めている。
すると、すぐにくるみは「終わった!!」と言い、教師に差し出した。
教師はくるみから差し出された反省文を見てため息をつき「もういい。お前には何も言わん」と言い、くるみは「亮ちゃん、先にギルド行ってんねぇ。 センセー
ばいばーい」と言いながら、指導室を飛び出す。
教師は亮介を眺めながら「あいつヒーラーに戻らないのかな…」と呟いた。
「何でですか?」
亮介が聞くと、教師はくるみの書いた反省文を見せる。
するとそこには【学校を燃やしちゃってごめんなさい きっちり30文字(^^)v】と書いてあった。
亮介は思わず吹き出し「あいつ、いい味出してんなぁ」と言いながら感心し、教師は頭を抱えていた。
ギルドルームについてすぐ、くるみの元にゴロが飛びついてきた。
くるみは「ゴロちゃん久しぶり~」と言いながら、ゴロを抱きしめる。
さっきまで膝で寝ていたはずのゴロが、くるみを見た途端、飛んで行ってしまったことに、セイジは苛立ちを覚えていた。
ノリが「いつ起きたの?」と聞くと、くるみは「今朝だよ」と答え、壊れてしまった氷属性の鎧を修理するため、装備作成機にセットした後、ノリの隣に座る。
「亮介は?」とノリに聞かれ、くるみは「反省文書いてる」と言った後、学校で起きた事を話し始めた。
ノリは呆れたように「あんたらホンッとくだらないことで喧嘩するよね? 感心するわ」と言うと、亮介と太一がギルドルームに入る。
セイジは2人がソファに座った後、黒キマイラの素材を平等に分け始めた。
「幻獣の角が3本しかないんだが…」と、セイジが言うと、くるみがインベトリから幻獣の角を2つ出してくる。
セイジが「お前これどうした?」と聞くと、くるみは普通に「黒キマイラ戦で拾ったよ? 最初にヤギの角飛ばしたじゃん。 あの時の角が落ちてたから、回収しておいた」と答える。
ノリは「でかした!!」と言いながら角を確保し、さっそく装備を作りはじめ、それぞれが自分の分け前を確保し、装備を作る準備をしていた。
数日後、5人全員が幻獣装備を完成させていた。
ノリと太一、亮介の3人は、全装備の中でもトップクラスの能力を誇る、装備の感触を確かめるように握り締めていた。
セイジは幻獣のワンドを手に、ずっとそれを見つめ『戻ってくるとは思わなかったな…』そう思いながらクスッと笑っていた。
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