第45話 case45

放課後、くるみはギルドルームに行き、余っている素材で何か作れないかと、装備作成機を弄っていた。


『見つけらんないなぁ…』


そう思いながら、必要外の素材を全て作成機に入れると、【???】と表示される。


『なんじゃこりゃ? 面白いからやってみるか』


くるみはそう思いながら必要素材をセットし、ソロダンジョンに向かっていた。



その数分後、亮介が「こんちわー」と言いながらギルドルームに入ると、中には誰もいない。


『あれ? くるみ、どこ行ってんだろ?』


亮介はそう思いながら作成機を弄っていると、炎の大剣を作れることに気が付いた。


『風属性相手には炎属性が良いって、授業で言ってたよな…』


亮介はそう思いながら、もう一台の作成機にセットした後、ソファに座り、インベトリの整理をしていた。



しばらくすると、作成機のブザーが鳴り、亮介は出来上がった大剣を手にする。


試しに軽く振ってみると、武器は残像のように炎を上げた。


『へぇ! これすげーじゃん!』


そう思いながら武器を振り続けていると、ドアが開き、くるみが姿を現した。


くるみは炎の大剣を見るなり、眉間に皺を寄せ、亮介に切り出した。


「…それどうしたの?」


「今作った。 エンチャントしてるみたいですげーいい感じだぜ」


「…素材は?」


「え? 持ってたよ?」


「…あたしの煉瓦は?」


「煉瓦? …あ」


亮介はそう言うと、すぐに武器を収納する。


くるみは亮介にグイグイと近づきながら「あたしの煉瓦出して」と言い、亮介は後ずさりしながら「いやいや、俺んだし。 くるみがくれたんだろ?」と慌てながら弁明するばかり。


「取引したよね?」とくるみが言うと、亮介はソファに足を引っかけ、座り込んでしまったが、くるみに胸倉をつかまれ、押し倒されてしまい、くるみはその上に跨りながらも力を込め、亮介をソファに押し付けていた。


「あれは検討って言ったろ?」


「おっさんとタイマンまで張らせておいて、なんで相談もなく使っちゃったのよ?」


「それはさ、…うっかりしちゃった系?」


「出せ。 りつ子さんに言って分解してもらう」


「は? そんなことしたらなくなるだろ?」


「いいから出せ!!」


くるみが怒鳴りつけると、亮介はくるみを押さえるように、肩に手を当てた。


「ちょっと落ち着けって! 次に出たらちゃんとあげるから!!」


「いつ出るかなんてわかんないんでしょ!!! 早く出せ!!黙って今すぐ出しやがれ!!」


くるみが怒鳴りつけると、ギルドルームのドアが開き、ノリは無言で二人の前に座り、太一は顔を真っ赤にし「あんたたち不潔よ!!!」と、怒鳴りつけた。


くるみはノリの姿を見るなり、「のりちゃーん」と泣きそうな声を出す。


ノリは「気にしないで続けて。ちゃんと監督してあげるから。亮介はもう少し我慢してたほうが良いわよ。すぐに出すなんてもったいないからね」と意味ありげな感じで、にっこりと笑う。


遅れてギルドルームに入ったセイジは、二人を見るなり、無言で二人にツカツカと近づいた後、「神聖なギルドルームで何をしとるかぁ!!」というと、ワンドで二人の頭を殴りつけた。


「お前ら二人! 罰として二人で戦え!! 素材と魔法石は没収だ!!」


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