第43話 case43

ウォーリア賢者と亮介が言い合いをしている中、くるみは無言でドアを閉めようとした。


すると、賢者は「小娘!何の用だ!」と聞き、くるみは「手合わせしようと思ったけどいい」と答える。


賢者は「がはは」と笑った後、亮介から木刀を奪い取り、くるみに投げた。


「本気の勝負と行くか」と賢者が言うと、くるみは無言で歩き、所定の場所へ。


亮介は壁にくっつき、賢者の近くで立っていた。


賢者が「来い」と言った瞬間、賢者とくるみはカキンと言う音と共に、木刀を合わせる。


『早い!!』


くるみの小さな体は弾き飛ばされたが、くるみはすぐに踏みこみ、賢者の前で振りかぶる。


賢者は木刀を横に弾き飛ばすと、くるみは回転をしながら、賢者の左脇腹に向かって木刀を振る。


賢者は間一髪のところで攻撃をガードし、そのまま木刀を上に向かって叩き上げた。


くるみの木刀はボキっと折れ、くるみは片膝をつきながら着地。


一瞬のうちにこれだけの攻防を繰り返す二人に、亮介は呆然とし、言葉を失っていた。


賢者は「がはははは! お見事!! 魔法なしでよくぞここまで叩き上げた!!」と手を叩いて喜ぶ。


「いんや、まだまだっしょ。 今のままじゃ勝てないよ」


くるみはそう言いながら、折れた木刀を投げ捨てた。


「ヤギか?」


「ヤギだ」


「小娘、武器を見せて見ろ」


くるみは賢者に言われた通り、氷の両刃アックスを見せる。


「これじゃ倒すどころか当たらんだろ? 武器自体に属性が付いてるからな。 無属性の武器を作れ。 それなら勝機はある」


「え?そう言う事?」


「そう言う事」


「サンキュ!アホ賢者!!」


くるみはそう言うと、走ってウォーリアの間を後にした。


亮介は小声で「アホ賢者…」と言いながら笑いをこらえていると、賢者はキっと亮介を睨み、「来い… 1から叩きなおしてやる…」と言い、新しい木刀を亮介に向かって投げる。


「違うって!俺じゃねぇって!」


「問答無用!!!」


その後、建物全体に亮介の叫び声が響いていた。



くるみは急いでギルドルームに向かい、無属性の武器を作ろうとしていた。


すると、ダンジョンから戻ってきたノリと太一が「あれ?まだ居たの?」と声をかける。


くるみがウォーリア賢者から聞いた事を話すと、「リベンジねぇ。 面白い。 協力する」と言い、ノリは足りない素材を渡してくれた。


が、出来上がったのは両刃アックスではなく大剣。


「あれ? なんで?」とくるみが聞くと、太一が答えた。


「ああ、たまぁに失敗するんだよね。 俺も氷属性の盾作ったんだけど、土属性が出来ちゃった」


「そうなんだ… また素材集めなきゃじゃん…」


くるみが不貞腐れながら言うと、ノリが「持ってれば? 武器壊れた時の予備として」とアドバイスをくれる。


くるみは「そうすっかぁ… 大剣、好きくないんよねぇ…」と、がっかりと肩を落としていた。



翌日の放課後、亮介はウォーリア賢者の元へ行き、くるみはみんなとダンジョンへ。


ダンジョンから戻ったくるみは、再度武器作成にチャレンジをしてみると、今度は無属性のハンマーが完成した。


「これ壊れてない?」とセイジに聞くと、セイジは「最近失敗多いな。 メンテナンスしてもらうか」と言い、りつ子の元へ。


セイジと一緒に戻ってきたりつ子は、機械を見た後「バージョンアップしてみたらどう?」と言い電卓をたたく。


その場にいた全員、電卓の数字を見て凍り付いていた。

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