第33話 case33
制服のありかを思い出し、重い体を引きずりながら、集会所に行こうとしたが、辿りついたのは賢者たちのいる建物。
『あれ? どこで間違えた?』
そう思いながら中に入ると、シスターが腰を抜かしたようにしゃがみ込んだ。
「いきなりこけて大丈夫?」
くるみはそう言いながら手を差し出すと、シスターは悲鳴を上げながらドアの向こうへ。
「なんだぁ? 人をバケモンみたいに…」
そう思いながらヒーラーの間に行くと、ヒーラー賢者は目が飛び出そうなほど、大きく目を見開いた。
「何?」
「…おぬし、生きとったんか!?」
「は? 生きてるけど何か問題でも?」
「先々週死んだじゃろ?」
「は?先々週?え?」
ヒーラー賢者はくるみを手招きし、くるみはヒーラー賢者の近くにしゃがみ込むと、ヒーラー賢者はくるみの頭に手を乗せ、呪文を呟き始める。
しばらく呪文を唱えた後、ヒーラー賢者は手を離し、ため息をついた。
「キマイラと戦って絶命したんじゃよ。おぬし。 その証拠にギルドブレスレットが外れとるじゃろ?」
くるみは左腕を見て「あ…」と声を出す。
「研究所にあるはずじゃ。行ってみなさい」
「なんで研究所に?」
「助けてもらったんじゃよ。母親に。 あのピンクの蝶は転送装置だったんじゃ。 おぬしの魔力が消えかけた時に現れるよう、体に細工がされとったんじゃよ」
「…ちょっと何言ってるかわかんねーっす」
「・・・・・とにかく行ってみなさい」
くるみは「めんどくせぇなぁ…」と言いながら立ち上がり、建物を後にした。
そのまま電車を乗り継ぎ、研究所に向かうと、警備員の男性に事情を話す。
すると、研究所内に案内され、真っ白な部屋で椅子に座って待っていた。
ボーっとしたまましばらく待っていると、ドアがノックされ、母親が現れる。
母親は優しく微笑みながら「これでしょ?」と言い、黒いブレスレットを手渡してきた。
くるみは「ん」とだけ言い、それを受け取ると、母親は「あまり無理しないでね。何度も使えるものじゃないから」と言い、部屋を後にした。
「…なにが?」
くるみが聞いても、答えてくれる人は誰もおらず、ため息をつきながら部屋を後にする。
そのまま集会所に向かい、りつ子に「ちゃーっす」と言いながら通り過ぎようとすると、りつ子は慌てすぎていたせいか、近くの物を落としながらくるみに近づき「ちょっちょっちょ!!!生きてたの?」と大声を上げた。
「ん?」とくるみが言うと、背後から「姫ちゃん!!」と言う太一の叫び声が聞こえ、振り返ると太一が駆け寄ってきた。
「生きてたんだね!!よかった!!本当によかった!!」
太一が大声で言うと、階段から降りてきたセイジが「太一何騒いで…」と言いかけ、言葉を飲む。
すると、セイジは突然突き飛ばされ、ノリがくるみに抱き着いた。
「良かった… 生きてた… 本当に… 本当によかった…」
ノリは涙を流しながらくるみに言い、くるみは「…ん?」と言うばかりだった。
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