第27話

葵ちゃん宅

『声を辿って何光年だ 延長戦に消えてゆく

このままパッと忘れられたら楽だろうな

触れられないのに見えてしまってどうしようもないや

近くで遠いあなただ わかってるよ』


この曲・・・

私が初めてレオ様の配信を聞いた時も、歌ってたなあ。


『あー それでも逢いたいなって何度もループループする

心があなたで鳴っている それだけが確かだ

それだけでいいよ。

あぁ、星が周るように ぼくらはずっとループする

想いが軌道を描いている あなただけを追うよ』


3年前

葵が15歳(中学3年生)のとき。

1つ年上のお兄ちゃんが、家から出ていってしまった。

寮つきの高校に行くからって。


私はお兄ちゃんが大好きだった。

たった一人の兄弟。

嫌なことがあったらよくお兄ちゃんに愚痴ってたっけ。

学校には友達だと思える人はいなかった。

本当の友達だと思える人は。

お兄ちゃんは、私にとって、唯一なんでも話せる友達だったんだ。


お兄ちゃん・・・

なんで出ていっちゃうの。

寂しよ・・・


家に帰っても、いつものように話せるお兄ちゃんはもういない。


そんな時、私はレオ様に出会った。

トゥイキャスというアプリの中で。


『あー いますぐ逢いたいな って命がループループする

この周回軌道上にあなたがいなくても

それ以外想えない』


始めてレオ様の歌をきいたとき、びっくりした。

こんなに上手なんだって。プロの歌手みたい。


当時は、私含め、3人しか見てる人はいなかった。

だから、レオ様は私の名前もすぐ覚えてくれた。


「❥あおぴ

今日もききにきたよ!!」


「レオ☆様

あおぴ遅いじゃん。遅刻だよ、笑」


「❥あおぴ

レオ様ってうちのお兄ちゃんに似てる!!同い年だし( *´艸`)」


「レオ☆様

嬉しいなあ。俺、一人っ子だからなあ。兄弟欲しかったんだよなー

じゃあ、あおぴのもう一人のお兄ちゃんになろ、笑」


「❥あおぴ

やったー!( *´艸`)

お兄ちゃんが増えた( *´艸`)」


レオ様は葵のもう一人のお兄ちゃんなの。


『(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル)そこに大体、愛が在るだけ

(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル)そこに大体、愛が在るだけ


(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル)そこに大体、愛が在るだけ

(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル)そこに大体、愛が在るだけ

(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥルトゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル)

そこに大体、愛が在るだけ』


それから、あっという間にレオ様は人気トゥイキャス主になっていった。

あっという間に有名人になってしまった。

たくさんファンも増えたけど、昔のレオ様を知ってるのは葵だけ。

レオ様はあおぴのものなの♡

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