ネット恋愛
甘夏みかん
第1話
私の趣味はネットの生配信を見ること。
トゥイキャスはスマートフォンできける生配信アプリだ。
アプリを開くと、様々な人がリアルタイムで配信をしている。
「疲れたー、」
家に帰った彩花はドサッとかばんを床に置いた。
いつものようにトゥイキャスを開く。
ちょうど、彩花が一番好きな配信者「レオ様」が生放送をしている。
レオ様はトゥイキャスで一番人気の配信者だ。
「はあ、かっこいい・・・レオ様」
私、一ノ瀬彩花は画面に向かって呟いた。
姉の彩芽は
「出た出た」といって笑った。
そして
「実物はめっちゃブサイクだったりして」
と続けた。
私はすぐに、「そんなわけないもん!」と反論した。
レオ様は声がかっこいい。
イケメンボイスを売りにしている「イケボ配信者」だ。
顔を出していないのでどんな顔かは分からない。
しかし、イラストや声でイケメンな雰囲気は伝わってくる。
それに、、、
私がレオ様を好きなのには、もう一つ理由があった。
=それは私が高校生の頃=
初めてレオ様の配信を見た日。
まだレオ様のことを何も知らなかった。
レオ様の配信の話題は、「今日の夜ご飯」。
みんなが食べたものをコメントしていた。
レオ様は自分で鍋を作ったそうだ。
「私はカレーだったよー」「レオ様かわいい」「ハンバーグ」「うどん食べた!」
たくさんのコメントが流れる。
これが生放送の醍醐味だろう。
レオ様の配信は常に5万以上の視聴者が見ている。
コメントをしたところで、読まれる確率はかなり低い。
私は絶対読まれないだろうなあ、と思いながらも真面目に食べたものを書き込んだ。
「鯛のお刺身」
「鯛のお刺身!いいねー!おれもお刺身めっちゃ好き!鯛うまいよねー」
たくさんのコメントの中で、私のコメントだけが読まれた。
みんな一斉に「私もお刺身好き!」「鯛おいしいよね」などとコメントをする。
「うそ。。。」
たまたま。
そう。
ありえない。
絶対。
だけど、、、
"運命"
なんじゃないかなって、その時思ったんだ。
ううん、今も心のどこかで思っている。
==
その日から私はレオ様の配信を聴くようになった。
どんな時も、レオ様の配信を聴いたら楽しい気分になれる。
悩んでいることがあっても、配信の間だけは、忘れることができる。
寂しい時は、部屋に一人でこもって、レオ様の配信を聴く。
そうすると、元気になれるのだった。
気が付いたら、レオ様は私にとって大切な存在になっていた。
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