2日目「縁と成長」
私、篠原由衣(しのはらゆい)は先日、最も親しかった人と縁を切った。
別に誰が悪いとかそういうのはどうも決められない。強いて言えばお互いがお互いのことをもう見れなくなっただけ。という理由に過ぎなかった。
彼女のことはわかっているつもりだったし、何より、彼女のことを私は恋愛としても友人としても好きで、大切にしている存在だった。そりゃ、出会って今年で6年にもなる友人だ。お互い「あなたは何でも話せる存在」なんて笑いあっていたのだから、信じて疑わなかった。
でも去年、私は専門学生、相手は社会人。同い年でも進む道は違った。話す頻度も少なくなった。私のほかに友人が少なかった彼女は、ネットを通じて新たな世界を知った。そこから私たちはすれ違っていたのだと思う。いや、確実にすれ違っていた。私が言うようにはいかず、彼女が言うようにもいかない。お互いの環境から自身の価値観やその他もろもろが1年で変わったのだから、噛み合わないのも当然なのだ。
私は彼女に言ったんだ。
「…1年で、だいぶ変わったね。」
その言葉への返答はきついものだった。
「変わったってなにが?変わったかどうかって自分でしかわからないでしょ?あなたに何がわかるの?」
思いもよらぬ返答だった。
私は、自分はあまり意見を人前で言えなかった、小中高校生時代を送ってきて遠慮するような生活を送ってきた。周りのことはよく見てるはずだった。明らかに言動や態度が変わった彼女を見て「変わったね」と声をかけたことに対しての彼女の言葉は、私の頭を混乱させた。私自身が変わったかどうかというのは他人からしてみないとわからないものだと思っていた。私は自分が変わったかどうかは他人から言われて
自覚させられるようなものだと思っていたものだから、そういわれてしまって深く考えた。いまだに疑問点ではある。自身の変化なんてさらさら私にはわからない。価値観が変わった。ということは自分の心に聞いたとき、「昔はこんな考え方紙なかったな」と気づかされることがあったために気づくことはできた。それは自身が変わったと自覚できるが、今まで関わってきた友人たちに「専門学校通い始めて、変わったね」と言われたことで、自分の言動や態度や人が言うような輝いて見えるよ。的なニュアンスのものに変化があったのかなと思える。それを自覚してからは私も変わったと思った。自覚が芽生えると、さらっと受け入れてしまうものだなと、今も思う。
でも彼女はたぶん、その自覚はなく周りからの言葉も飲めないような人だったのかとその時、私はすでに「だめだ」と今思えば、心のどこかでは気づいていたんだろう。
そこからは早かった、まぁ…第三者の介入があったとはいえ、話し合いにならない話し合いをして絶縁を余儀なくされた。
知り合って6年、恋愛的に好きになって5年。私は初めての絶縁と失恋を経験した。涙が止まらなかった。絶縁をするまでの過程で学校で泣いてしまった私を、仲の良いクラスメイトが背中を押してくれて、もうこんなつらい思いをするのはやめにしようと、絶縁をした。この時背中を押してくれたクラスメイトがいなければ私は今でも、彼女とぎくしゃくした関係を気づいていただろうとつくづく思う。
でも今でも根に持っている言葉があるの
「何も持ってない私より、人の気持ち考えられないの?そもそも考えようとしないの」
画面越しの彼女には私が普段、どういう生活を送っているのか知らないから言えた言葉だな。と悲しくなったし、周りから「由衣は優しいし人の気持ち考えて行動できるから素敵だね」なんて言われてきていたから、真逆のことを言われて頭がフリーズした。見ていたクラスメイトも、この言葉にはみな異を唱えていた。それはそうだろう、現実での私はそんなことないのだから。彼女にも考えて接しているつもりだった、傷つけないようにしていたのにと、肩を落としたのは今でも鮮明に覚えてる。
それだけは言っておこうと思う。話盛ってない?とか思うでしょ、これ実は実話だったりするの。話の展開が早くない?と思う方もいるかもしれないけど、この話はなかなか簡潔にまとまらないものではあるし、長いものなのでいろいろ省略させていただく。
許してほしいな、なんて。
絶縁をしてから数か月ほど経つけど、私はいまだに思い出して泣いてしまうことがある。何が最善だったのか、もう少し何かできることはあったんじゃないかと志向を巡らせる。忘れられない。彼女のことが、忘れる方法を考えてネットで検索しても望ましいものはなっかった。そりゃそうだ、これに至っては時間が解決してくれるものだ。自分自身、わかっているはずなのに焦ってすぐに消えてくれればなんて都合のいい答えを探そうとしているんだから。馬鹿な女ね、私も。
でも、この絶縁を機に私は考えを改めた。
縁を切った時、なんだか気持ちが軽くなった気がして、あぁ…私にとってはこの関係は重荷だったんだなと気がついた。それからというもの、一人に囚われることなく、いろいろな世界に足を踏み入れよう。新たな人たちと関係を築こうと思った。合う人もいれば合わない人もいる。当たり前だ。だから、私はこの経験を得て、前に進もうと思う。今では彼女に感謝しているのだ。いろいろな経験をさせてくれた彼女にありがとう。と、伝わることはないけれど、私はそう思うことにしている。だから最後に彼女には伝えることができなかったことを書いて終わろうと思うんだ。
さようなら、ありがとう。
あなたがくれた愛情は、私があなたに捧げた愛情はずっと変わることがないから。
私からのことは忘れてもいい、あなたはあなたの正しいと思う道を進んで周りをしっかり見て、学んでください。
私はあなたのことを今は忘れられないけど、しっかりと地に足つけて前を向いて進んでいます。お互い、自分の将来のこと見据えて進んでいきましょう。
今でも大好きなんだ、ごめんね。
由衣より
浮かんだ物語 泡沫りら @utakata1423
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