第43話 ニューヨーク武者修行の旅7

昼過ぎにダイちゃんに起こされて、一緒にイースト・ハーレムに出掛けた。

Lexingtonという文字を目にするや、村上春樹を連想する僕。


マンハッタンのミッドタウン~ダウンタウンの街並みや、セントラル・パークもN.Y.って感じだけど、やはりハーレムの方が脳内のN.Y.像に近い(ストリート・カルチャーが好きだからかも知れないけど)。


東に行けば行くほど、グラフィティの量が増え、ヤバい雰囲気が漂う。

しかし、ストリートダンサーは全くおらず、靴屋で

「ストリートダンサーを探してるんだけど、知らない?」

と尋ねると、

「ディスコダンサーみたいの?」

「んー、BREAKIN'とかHIPHOPとか」

「あー、パソコン持ってる?ググれば何かわかるんじゃね?」

と言われた。

やれやれ。


レキシントンを南下し、2nd Ave.まで進んでから、駅まで戻り「もうしばらくハーレムにいる」というダイちゃんと別れ、一度ドミトリーまで戻って、ソーホーへ向かった。

初日にやらかしたおかげで、N.Y.の地下鉄にはもう随分馴れた。


アディダスショップに入り、2階へ。

XXLのジャージを手に取り、店員さんに

「これより大きなサイズはある?」

と尋ねると、

「それが一番デカいよ。…君には大き過ぎない?」

「オーバー・サイズが好きなんだ」

それからMサイズのTシャツを手に取ると、

「そりゃMサイズだ」

「上はジャスト・サイズ、下はルーズなスタイルが好きなんだよ」

「ふーん」


グレゴリーというその店員はネームプレートを見せながら、

「キャッシャーでグレゴリーと言ってくれ」

と笑った。

「O.K.」


まぁ、営業ノルマでもあるんだろうな、と思いながらキャッシャーの女の子に

「これはグレゴリーのオススメなんだよ」

と言うと、

「Thank You, Sir.」

と笑顔で言われた。

N.Y.に限らず、海外では東洋人(たいていチャイニーズかジャパニーズか?と見られる)ってだけで結構そっけなくされる事が多いのに、サーなんて言われたのはここに来て初めてだったので驚いた。

とれとも都市部のアディダスショップだからなのか?


買い物を終えるとドミトリーに戻った。

今夜はSullivan Roomというクラブで踊り明かす予定。

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