第44話 ニューヨーク武者修行の旅8

Sullivan Roomで踊り明かし、そのままドミトリーに荷物だけ取りに帰って、そのまま寝ずに11時半頃の飛行機で帰国する予定。


ダイちゃんとドミトリーの近くのデリに行き、チーズバーガーを作ってもらった。

店員さんがアラビア人だったので、

「メイヤメイヤ(アラビア語で「Very good.」の意)」

と言うと、

「オー、メイヤメイヤ!」

と返ってきた。

そこで、

「マ・アッサラーマ(さようなら)」

と言うと、

「何でアラビア語知ってんの?」

という話になった。

「エジプトに行ったんだよ(I have been to Egypt.)」

と言いたかったが、間違えて

「エジプトに行くんだよ(I go to Egypt.)」

と言ってしまい、怪訝そうな顔をされた。

…言葉って難しい。

(中  学  生  英  語  レ  ベ  ル  だ)


Sullivan Room近くのマック前辺りでヨウコちゃんと待ち合わせ。

随分待たせてしまったので、ヨウコちゃんとヨウコちゃんの友達にビールをおごった。

すると、そこに出入り口付近にいた日本人の女の子ダンサーが。

「初めまして」

「あれ?さっき入り口で会いましたよね?」

「そうですね。…お名前は?」

「のりみつです」

すると、彼女はゲラゲラ笑い出し、

「カイです」

と名乗った。

何と、マイミクのカイちゃんだった。

彼女に会うのは実に4年振りだったので、お互い直接は会ってなかったけど、mixi上では多少は近況を知っていた。

うーん、偶然ってすげー。

「こっちにいてもなかなか友達に会わないから、凄い偶然ですよ!」

「そうだね!N.Y.にいるのは知ってたけど、まさか最終日に会うとはね」

さらに偶然は続き、何とカイちゃんが組んでいたロケッティアというチームの子にヨウコちゃんは代行を頼んでN.Y.に来ていたのだった(ヨウコちゃんとカイちゃんはこの時が初対面)。

…うーん、偶然って恐ろしい。


このイベントはブードゥー・レイが主催してるらしく、マイクやジョーイ、そしてSin Sinで仲良くなったマイロたちも遊びに来ていた。


Sin SinやSantos Party Houseはアット・ホームな雰囲気だったが、Sullivan Roomのこのイベントは実にシビアだった。

挨拶は普通に和やかだが、いざ踊り出すとなかなか相手にして貰えない。

一度、僕がサークルの中に飛び込んでいったら、サークルが解散してしまった。


同じフロアに3つくらいサークルが出来ていて、入り口付近や奥のサークルは観光客や異邦人(N.Y.のダンサーにとっての)向けだが、中央のサークルはElite Forceに縁のあるダンサーたちばかり集っており、一種独特なハードルの高さを感じた。

何度かトライしたが、ダメだった。


僕の踊りを受け入れてくれるダンサーたちも中にはいたけど、やはり悔しさが残る。

仲良く挨拶してくれるマイロも、踊りになると別人だった。

あの中に入っていきたい。


朝まで奥のサークルで踊り、それなりに楽しい時間を過ごしてドミトリーに戻り、荷物を纏めてシャワーを浴び、世界くんに別れを告げて、空港まで地下鉄に揺られた。


JFK空港でミカちゃんと合流し、チェックインを済ませてから朝飯を食べる。


酒が飲みたい僕とコウタくんは空港内をウロつき、バーを見つけてバス・ペール・エールで乾杯した。


ゲート手前のロビーでドミトリーでマイミクになったMちゃんたちに会った。


16時間の帰国の旅の始まりである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る