第2話 じいちゃんっ子

子供の頃はとにかく、母方のじいちゃんと常に一緒にいた。

じいちゃんにとって、初孫に姉、そして従弟のヒロくんがいて、僕は三番目の孫。下に従弟のトシくんがいる。

そんな孫の中で、何故か最も可愛がられた。

「出来の悪い子ほど可愛い」という言葉があるが、危なっかしくって目を離せなかったのかも知れない。

じいちゃんは絵が上手かった。

当時のじいちゃんは、40代後半から50代前半くらいだったのだろうか。僕が『仮面ライダースーパー1』の絵を描いて欲しいとせがんだ事がある。

じいちゃんは「あいよ」と、僕が渡した雑誌の写真を見ながら、布用の色鉛筆で布地にスラスラと仮面ライダースーパー1を描いてくれた。

スーツの皺や仮面の光沢なども綺麗に描き込まれていて、凄くリアルだった。

描いてくれた布は、ちゃあちゃん(母方の祖母)がお手製のジャンパーに縫い付けてくれた。

じいちゃんは都バスの運転手で、登山が趣味だった。僕と過ごさない休日は山に登っていた。

じいちゃんと一緒に風呂に入ると、鍛えられた筋肉で引き締まっていて、力コブが大きかった。

僕が高校生の頃、じいちゃんは癌でこの世を去った。

入院時の検査では、肉体年齢は20代半ばくらいだったそうだ。肉体が若過ぎて、癌細胞の転移が早かったのが死因だった。

じいちゃんがいなくなるなんて、想像もつかなかった。

あの頃、もっともっともっと、じいちゃんの傍にいれば良かった。

だから僕は妻と喧嘩をしても、すぐに仲直りがしたいと思っている。

後悔を引きずるのは、もうしたくないから。

その考えは、じいちゃんからの最後のプレゼントの気がする。

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