半生記
三遊亭楽天
第1話 幼少期
昭和50年11月5日。東京都江東区のサラリーマン家庭に、僕は生まれた。
「
父はラジオ局勤務のサラリーマン、母は専業主婦。二歳年上の姉。それが僕の家族。
当時の江東区というのは、今よりももっと下町っぽくて、あちらこちらに空き地があった。
赤ん坊のころ、とにかくおとなしかったらしい。
基本的によく眠り、泣くときも「ふわぁ~」と気の抜けたような鳴き声で、『子ほめ』のセリフじゃないが、「ちゃんと育つかなァ?」と心配されるような赤ん坊だったようだ。
大きくなってからも、性格は変わらず。
紙と鉛筆さえ与えておけば、勝手に絵を描いて何時間でも過ごせる子供だった。
とにかく、絵を描くのが好きだった。
モチーフは自動車、魚、そして『仮面ライダー』と『ウルトラマン』。魚は怪獣みたいだから、という理由で深海魚が特にお気に入り。
『機動戦士ガンダム』などのテレビアニメや特撮ヒーロー、『ドラえもん』などの漫画が好きな子供だった。
幼稚園に通っていたころから、漫画を描く事にハマった。『のりちゃんマン』というウルトラマンみたいな漫画をずっと描いていた。
運動会の徒競走で逆走するような、ボーッとした子供だったので、大人からは「大器晩成型だね」と慰められる事が多いような感じ。
小学生の低学年の頃は、昆虫採集にハマった。学校から帰ると、捕虫網と虫かごを持って空き地へ行き、バッタやイチモンジセセリなどを大量に捕まえて帰ってきたものだった。
クラスメイトは野球にハマる子が多かったけど、僕はインドア派。
休み時間も校庭で遊ぶよりは、校庭の隅のほうで隣接した居酒屋の壁に吊るされていたチョウチンアンコウを眺めているのが好きだった。
勉強は得意じゃないし、運動も苦手。好きなモノの絵をノートに書くのが一番好きな時間の過ごし方だった。
極度の人見知りで、自分の父親や親戚と話をする事すら恥ずかしくて、言葉が出なかった。
こんな引っ込み思案な子供が、よくダンサーを経て落語家になったものだ、と自分で想い出しながら書いてても思う。
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