類友はカルマに従う 番外編2

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類友はカルマに従う 番外編2-①

 奥が深いと思う。

 どの国でもその国の成り立ちとなった出来事があり、その時代その時代で人々の営みがあり、現在に繋がっている。

 フランスで言えばフランス革命は外せないだろう。

 絶対王政の崩壊。フランス国王ルイ16世と王妃マリー・アントワネットの処刑は世界史でも有名だ。その市民革命はヨーロッパ諸国に大きな影響を与え、各国のその後の今に繋がっている。フランス国民にとっては重要な歴史であり、革命時のスローガンである『自由・平等・友愛』という言葉は今でもフランス国家の理念として掲げられている。

「……」

 フランス語を学びつつ様々な角度からフランスを知ることが楽しくなっていた羽琉は勉強に没頭していて、ドアがノックされたことに気付かなかった。

「ハル? いないのですか?」

「……ん? え、あ、はい」

 声を掛けられたことで我に返った羽琉は、すぐさまドアを開けた。

「ごめんなさい。ちょっと集中してたみたいで気付きませんでした」

 顔を出した羽琉の頬にビズをするエクトルは「構いませんよ」と微笑む。

「今日は休日出勤になってしまいましたが、仕事が終わり次第すぐに帰ってきます。家で待っていて下さい」

 羽琉は小首を傾げた。

 エクトルに言われるまでもなく、残業でない限り、羽琉はいつも起きてエクトルの帰りを待っているからだ。改めて言われたことに疑問を感じる。

 不思議そうな表情で自分を見つめる羽琉に、エクトルは愛おしむように笑みを深めた。

 ――気付いてないところが、ほんとに可愛いですね。

 そんな羽琉の様子を楽しみつつ「待っていて下さいね」と念押しのように再度言うと、羽琉は素直に「分かりました」と肯いた。その顔はまだ不可解そうだが、反論はないため肯いたといった感じだ。

「時々は息抜きをしながら、勉強頑張って下さいね」

「はい。エクトルさんも気を付けて行ってらっしゃい」

 エクトルは羽琉の頬にキスをすると、「行ってきます」と言い、そのまま家を出ていった。

「……」

 エクトルの熱を感じる頬を撫でつつ、羽琉は少し考え込む。

 休日出勤は今までにも何度もあるが、家で待ってろと言われたのは初めてだった。外出するなということだということは分かるが、その理由は不明だ。

 不思議に思いつつも、取り敢えず今日は外出せずフランス語の勉強に没頭することにした。

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