条件
期限の2日になろうとしていた。
ナギとカースは言葉をしゃべれる魔人の下を訪れた。
条件について様々な議論が交わされたが、条件の1つ目についての提案に魔人は驚いた。
アデラの身柄について、魔王ラファールと魔剣士カースの決闘によってその帰属を決めたいというものだった。
条件1についてはどんな譲歩もあり得ないはずだったが、ラファールが人間ごときに負けることも考えられず、魔人はその提案についてラファールへお伺いをたてることにした。
結果は、その提案を受け入れる、すなわちアデラを賭けて決闘をするというものだった。
その情報は、王宮の中を駆け巡った。
もちろん、アデラの耳にも、決闘の話が聞こえてきた。
魔人同士の諍いは決闘によって決める。これは魔人の古くからの戒めであった。
ただ、人間ごときとの争いについて決闘が行われるということは、今までにはなかったことだ。
王宮前広場にて、決闘が執り行われることになった。
広場には都の全魔人が集まったかのような人だかりになった。亜人も、人間もそこには集まっていた。
魔王ラファールは、近衛兵に守られながら王宮側に陣取っている。
カースは、ナギが近くにいて色々と言葉をかけてくれている。
戦いの直前、数日ぶりにアデラがカースの下を訪れた。
「逃げてよ、カース」アデラはまるで幼い子どものように泣きながらそう言った。
「ごめん、アデラ、俺は男なんだ」
「カースが死んだら、私も死ぬ」
「それはやめてくれ、人類のためにも、俺のためにも」
「でも、カースがいなかったら、私は何のために生きるの?」
「俺は死なないし、負けないよ」精一杯の強がりだった。
「ねえ、お父様に謝って、そうしたら、多分、どうにかしてくれるから」
「そんなことはできない、アデラを愛しているからだ」
「ねえ、無理だよ、魔王ラファールに1人で立ち向かうなんて」
「大丈夫だよ、アデラもナギも見ていてくれる」
決闘開始直前となり、アデラは引き離される。
そして、決闘が始まった。
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