馬の魔人
人の列が大きく蛇行している所に魔人が襲来した。
魔人の数は5匹、高速移動に適するように馬のような四つ足に人間の上半身を持っているタイプだ。
突っ込んでくる衝撃で、近くにいた人は押しつぶされたり、踏みつぶされたりして5人、10人と死者が増えていく。
ゾックが、人の間からボウガンを放つが高速移動しているため、なかなか当たらない。
二匹の魔物がジグザグに走りながらゾックに迫る。
至近距離からのボウガンの矢をかわすと、そのままゾックを踏みつぶした。
ゾックは内臓を周りにまき散らしながら絶命した。
アデラとカースが到着したのは、ゾックが戦死してから数分経った頃だった。
魔物たちは2人を見つけると扇状に包囲網を作る。
アデラが左、カースが右に配置する。
魔人の動きはかなり速い。
アデラは魔人3匹を引き付けるような立ち位置で相対する。カースはカウンターを狙って、構えたまま動かない。
まずは1匹ずつ、アデラとカース目がけてものすごいスピードで接近してきた。
アデラは、自然体で立っていたが、十分引き付けたところから、体を半歩動かして魔人をかわす、そして、その瞬間に脇腹を目がけて正拳突きを入れる。
勢いよくアデラの横を通り過ぎた後、魔人は血を吐き、動きが止まる。そこに、アデラが追い打ちの上段回し蹴りを入れて、魔人の首の骨が折れ、絶命する。
その間にカースの方も決着が着いていた。
カース目がけて走ってきた魔人に対し、ぎりぎりまで動かなかったカースは魔人の走行スピードをそのまま活かして、突きを入れる。深々と魔人の体に突き刺さり、魔人は息絶えた。
4匹目の魔人討伐になる。また、剣が光り輝く。
残りの魔人は3匹、アデラとカースが正対していると、後ろからナギの雷魔法が放たれさらに1匹の魔人が倒される。
それを見た残りの2匹は、これ以上は分が悪いと見て逃げ去った。
「ゾックはどちらかに逃げようとしなかったのか」ゾックの死体を見てナギが言った。
「ゾックは、多分、解放された人達を見捨てられなかったんだと思います」カースがそう言った。
「ああ、ゾックはそういう男だな」
埋葬している時間はなかった。ゾックと犠牲になった人たちの遺体は川に流された。スーラが、祈りの言葉を捧げる。
あなたが、この世に生きていたこと、忘れない
神は、あなた方を赦し、永遠の楽園へと誘うでしょう
食事も、愛も、家も、全てが満たされた世界であなたがたは永遠を生きる
いつか、私たちがそこへたどり着くまで、私たちを見守ってください
スーラの言葉が終わるまで、メンバー全員が目を閉じる。解放された人たちも、この葬儀には参加してくれた。
葬儀が終わるとまた、列を組み直して出発する。今度は遠征メンバー全員が先頭に固まって移動することにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます