占領
地上では魔人が突っ込んでくる。ここまでのナギの攻撃で生き残れたのは偶然ではないようだ。かなりのスピードと攻撃力を持っている。
亜人は魔人をアシストするようにナギを狙っている。
ナギを中心として、カース、カイ、メイが扇状に広がる。ゾックとスーラはナギの傍に配置している。
魔人とカースがぶつかる、爪の攻撃が重い。カースは剣で受け止めるが、一撃で腕がしびれる。
カイがカースを援護しようとするが、そこには亜人が入り込む。亜人は刀を持っているタイプだ。
カイと亜人の戦いにはメイが援護をする。メイはじりじりと間合いを詰める。
ゾックは隙があればボウガンを放とうとするが、魔人も亜人も常に動き回って飛び道具を警戒している。
カースと魔人は1対1の戦いを楽しんででもいるかのようだ、ほぼ互角と言ってよい。魔人の重い一撃とカースの連撃が互いの体にダメージを与える。
なかなか、勝負がつかなかった。
互いの剣と爪が何回もぶつかり合う。
何回目かの衝突の後、魔人とカースとゾックが一直線に並んだ。その瞬間を見計らって、カースがわざと倒れる。
その瞬間を見逃さず、ゾックがボウガンを射る。
魔人の左肩に刺さる。かなり深い。
魔人が叫びながら、体がよろめく。そこをカースが真っ二つに切り裂く。
魔人は腹の部分で切り裂かれ絶命する。カースの剣がまた力を帯びるように光る。2匹目の魔人討伐だ。
カースの決着が着くころ、カイ達の方も動きがあった。
亜人はカイとメイ相手に防戦一方となっていた。カイが大きく振りかぶる余裕すらある。
隙をついてメイが亜人の左腕を斬り落とす。
亜人は絶叫し、苦しむ。
そこを、カイが大剣で首を刎ねてとどめを刺す。
亜人は死体となり、地面に転がった。
その戦いぶりを見ていた空飛ぶ魔人二匹は分が悪いと悟って、遥か遠くまで飛び去ってしまった。
残るはビッグと言われる魔人のみだ。
こちらは戦闘中にナギの魔力も回復し、アデラも地上に戻って来て合流しているのでフルメンバーだった。
ビッグは逃げる様子もなく、メンバーを見下ろす。
大きい。3メートルはありそうな身長に、横幅も相当ある。
魔人と言うより、モンスターに近いのかもしれない。
全員が配置に着く。
ビッグは囲まれているこの状況でもなんとも思っていないようだ。メテオの直撃を受けたようで、体は煤に黒くなっている。
メンバーは慎重に近づいていく。
あと、数歩というところで、ビッグが大きく息を吸い込む。
そして、その口から炎を吐き出す。
カースは避けたが、カイが直撃を受けて火だるまになる。
カイは地面に転がるが、自ら火を消す力も残っておらず、そのまま動かなくなった。この作戦で最初の犠牲者となった。
残りのメンバーはなお、慎重に近づく。
ゾックがけん制の意味も含めてボウガンを射る。
腹に目がけて飛んでいくが、硬い音とともに弾かれる。急所を狙わないとダメージは通らないようだ。
それを見極めているうちに、またビッグが炎を吐く。
今度はメイの右手が焼けただれる。
すぐに、メイは後方へ下がり、スーラが治療魔法を施す。
メンバーが少し浮き足立ったところでアデラが前衛に来てくれた。
ビッグ相手にもひるむ気配がない。
全身に風をまとったアデラは、ドンっという衝撃波のような音を出してビッグのほうへ突っ込む、目で追えないくらいの速さだ。
ビッグが反応しきれないうちに、0距離まで到達し、そこから渾身の右ストレートをビッグのみぞおちに叩きこむ。
それまで山のような威圧感を見せていたビッグが片膝をつく。かなり効いているようだ。
アデラは容赦なく、回し蹴りを放つ。神速と言ってよいだろう。
ビッグは脳震盪を起こすほどの衝撃で倒れる。
とどめを刺さずに、ちらりとカースのほうを見る。譲るということだろう。
カースは、ふらついている、ビッグの心臓を目がけて、突きを放つ。
寸分違わず、心臓を貫いた剣はビッグの息の根を止め、また、今までにないほどの光を放つ。ビッグの力を吸収したのだろう。3匹目の魔人討伐だ。
これで、砦の魔人や亜人は全ていなくなった。
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