出発
出発の準備を慌ただしくしているうちにあっという間に5日が過ぎた。
カースとアデラの出発を心細そうにラーナが見送る。
「大丈夫だ、ラーナ」そう言ってカースはラーナを優しく抱きしめる。
ラーナはとうとう泣き出してしまった。よほど心配だったのだろう。
「大丈夫だから、ラーナ、2週間くらいだよ、ただ、もしもって時はあるから、その時は金の場所は分かるな?少しずつ使うんだぞ」
ラーナはぷるぷると頭を振る。
「必ず帰ってくる、美味しいシチューを作って待っていてくれ」
ラーナは何かを伝えようとするが、うまく言葉が出てこない。
「安心しろ、小娘、カースのことは私が護る」
少しだけ安心したのか、小さく頷いた。
2人は作戦本部へと移動する。
すでに全員が揃っていた。
全員家族には別れを告げてきたというような顔をしている。
1号車にナギ、アデラ、カース、カイが乗り、2号車にメイ、ゾック、スーラが乗り込んだ。
ここから5日間はなにもない荒野を走る。水や食料などは2号車に積まれていた。
見送りには町長のガンツをはじめ、町中の人が集まってくれた。今回の作戦が成功すれば中央集落はその勢力範囲を大きく広げることになる。捕まっている人たちも解放できれば人口も増えるだろう。
多くの期待と不安を乗せて馬車は走り出した。
2日ほどは何もなく順調に行軍した。
ナギなどは昼ほとんど寝ている。
途中、休憩時にはカースとアデラは時間があれば組手をしているが、他のメンバーもアデラに稽古をつけてもらいたいらしくカイとメイも順番に相手をしてもらう。
風をまとって稽古をするのはカースの時だけだ。
カイの大剣は、その大きさに比べて、攻撃速度は速い。もちろん通常の剣には及ばないが、決まった時の威力は何倍にもなる。
メイの双剣はアデラ相手でもかなりいいところまで追いつめる。しかし、防御に回った時に脆く、簡単に倒されてしまう。
3人が稽古で散々にやられた後はスーラが優しく回復魔法をかけてくれた。簡単な骨折であれば数分で治癒してしまう。
ゾックは稽古には参加せず自分のボウガンの微調整に余念がなかった。
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