とある研究施設における、曰く名状し難い謎の知的生命体に関する実験記録。
ジャンルは現代ファンタジーですが、SFやホラーのような手触りもあったりする作品です。なんならハートウォーミングな学園ラブコメっぽい要素も——いや、「ある」というのはさすがに言い過ぎですけど、「なくはない」なら嘘にはならないと思います(※個人の感想です)。
こう書くとなんだかよくわからん感じに見えるかもしれませんが、でも恐ろしくまとまりが良く完成度の高い、掌編のお手本みたいな作品でした。展開や設定に無駄弾が一発もなく、すべてが綺麗に繋がってひとつの物語を構成している感じ。
こういったところで作品外の要素について触れるのはあまり趣味ではないのですけれど、しかしこの作品に関してはどうしても避けては通れないというか、だってわずか数時間で書き上げられているんですよ? 元ネタ、というよりは実質「きっかけ」とか「お題」くらいのものだと思うのですけれど(本作の著作性はさほど元ネタには依っていないように思えます)、タグにもある〝万博のそれ〟が公表されたのが確か午後三時か四時くらいのこと。この作品の公開がだいたい夜の十時前で、つまり長くても六、七時間しか執筆時間がない。もっとも、ただ書くだけなら筆の早い人には不可能ではないかもしれませんが、しかしそんな〝だけ〟とはどう見ても程遠い出来栄えというか、なんなんでしょうこのすんごい完成度。設定を練るだけで結構かかりそうなものを、でもあんな一瞬でどうやって……まさか魔法……?
いや本当にただの時事ネタ、速さが勝負の一発ネタ的なものならよかったというか、正直そういうものだと勝手に思い込んで読み始めたのですけど。でも読み始めてすぐ「ごめんなさい完全に侮ってました」と土下座したというか、普通に面白いのが本当に腑に落ちません。この速さでこの内容。そこはトレードオフじゃないとおかしいっていうか、なんか世の理とかに反してしまうのでは……魔法……?
設定の見事さやそれを活かした構成、なにより演出のうまさはもう言うまでもないのでこのさい割愛するとして。触れたいのはやっぱりお話の筋そのもの、というか登場人物の抱えたドラマがとても好きです。特に主人公の人物造形、バイオ系研究者の事情の妙な生々しさに加えて、彼がなんらかの大きな病を患っていること。生命の輝きを主題とする作品の、その主人公が生命工学系の研究者であり、なにより生命についてとても逼迫した立場に置かれているという事実。
単純に「生命の輝き」という言葉だけではどうしても綺麗事めいたお題目みたいに響いてしまうのが、しかし生死の際にある人にとってはまた別の響きを伴って聞こえるのかもしれない、と、そんな当たり前の事実にいまさら気づかされたような気分です。ショックというかなんというか、それは自分が普段どれだけ生命というものに対して適当に向き合ってきたかということの証左で、でもそれってある意味とても幸せな身分なんだろうなあと、反省することしきりでした。普段、死を忘れて生きていけるのはある種の特権ですね。
あとはもう、こう、全部です。本当に好きなところがいっぱいというか、無駄弾がないから好きなところしかない。物語的に主人公の行き着いた先とか、書き出しと締めの憎い演出とか、あとなんだかとっても可愛いヒロインとか。いや可愛いというかなんというか、とてもキラキラしていてそばにいるだけで眩しくて、だからこそ納得のハッピーエンドでした。面白かったです。ヒカリちゃん大好き!
たまらない可愛さのヒカリちゃんが素晴らしかったです。
透き通る様な声に天真爛漫な瞳とあどけなさが残る笑顔。そして元気に走り回る姿。
健康的な挙動の一つ一つが生命力溢れていて、見ているだけで元気になってきます。
てっきり録でもない研究かと思いましたが、そんな事は無くほのぼのとした様子でした。
黒いタール状になった時は心配しましたが、素材の事を考えたらそうなるんですね。
大胆なアプローチにびっくりです。でも、これも資源の再利用なのでしょう。
さながら過去の万博により産み出された新しい未来の万博といった所でしょうか。
いのちの輝きのヒカリちゃんにはこれから沢山の事を学んで欲しいですね。
早
く