白の偶像

四季島 佐倉

第1話 白のハジマリ

 さんさんと降りしきる粉雪が街を白く包む。さっきまで雨だったというのに、いつしか雪へと変わっていた。 

 北風が白い塊を舞い上げ、また自由落下を繰り返す。

 

──傘を差したまま、ふと上を見上げる。

 一面銀世界となっている通りを歩いていく。

 凍える程に冷却された風が吹き過ぎていく。

 白ウサギが地面を蹴って、駆け抜けていく。

 ときが大空を舞い、人々を飛び越していく。

 冷えきった指先に息を吹きかけながら震える。

 

 まだ十二月初めだというのに、「ヒュォォ」と突風が唸りを上げる。

 冷たい雪と対象的に熱気立っている奴らがいる。

 言語道断、俗に「リア充」と呼ばれる者たちだ。

 噂には聞いていたが、間近に目にしたのは初めてかもしれない。

 

 彼らは理屈が通用しない手強い輩である。

 四六時中騒ぐ理由を探し、課せられた責務を怠る言い訳を考えている。

            (知り合いの自説)


 彼らは無視し、歩き続けると都市部を抜けて、住宅街に入った。 

 耳を澄ませると、北風と…何か別の音が聴こえる。

 集中すると小さな声のようにも感じられる。

 「──っち……。こっち……」

 私は怖さ半分興味半分で声の主を捜し回る。

 そして閑散とした細道にその姿を捕らえた。

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