白の偶像
四季島 佐倉
第1話 白のハジマリ
さんさんと降りしきる粉雪が街を白く包む。さっきまで雨だったというのに、いつしか雪へと変わっていた。
北風が白い塊を舞い上げ、また自由落下を繰り返す。
──傘を差したまま、ふと上を見上げる。
一面銀世界となっている通りを歩いていく。
凍える程に冷却された風が吹き過ぎていく。
白ウサギが地面を蹴って、駆け抜けていく。
ときが大空を舞い、人々を飛び越していく。
冷えきった指先に息を吹きかけながら震える。
まだ十二月初めだというのに、「ヒュォォ」と突風が唸りを上げる。
冷たい雪と対象的に熱気立っている奴らがいる。
言語道断、俗に「リア充」と呼ばれる者たちだ。
噂には聞いていたが、間近に目にしたのは初めてかもしれない。
彼らは理屈が通用しない手強い輩である。
四六時中騒ぐ理由を探し、課せられた責務を怠る言い訳を考えている。
(知り合いの自説)
彼らは無視し、歩き続けると都市部を抜けて、住宅街に入った。
耳を澄ませると、北風と…何か別の音が聴こえる。
集中すると小さな声のようにも感じられる。
「──っち……。こっち……」
私は怖さ半分興味半分で声の主を捜し回る。
そして閑散とした細道にその姿を捕らえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます