番外 死

ねえ、死にたいって思うことありゅ?

「ありゅかな。死にたいと思うことよりも生きたいと思うことが多いありゅね。」

2回も言った!パパにも言われたことないのに!!

「そりゃあ、お父さんは、こんな言葉遣いしないよ。ノーマルなら。」

うちのパパは、ノーマルだよ、多分。てか普通にって言ってよ。紛らわしいよ。

「次回、イセス シズ、死す。」

ちょっと、人の名前であそばないで。俺くんさあ、そうやってふざけて、話逸らすよね。

「死にたいとかなんとかだろ。あるよ、そんなの。そういうのは、夜の寝静まった時とか、刹那的に気持ちが落ち込んじゃってさ。死にたいというより、消えたいのほうが近いかもね。」

へえ、俺くんにもそういう時ってあるんだ。ちょっと安心した。

「俺が死にたいと思うことが安心???」

いや、ほら俺くんって何考えてるか分からないから。

「俺にも、シズが考えてること分からないよ。でも分かった気になっている。むしろならないと、心が穏やかじゃないから。」

安心安全!全身全霊!満員御礼!

「黙れ!」

ぷすぅ〜。……。あのさ、

「なに?」

死にたい、ではなくて、死にたくない。でないとおかしいの。消しゴムを机から落とした時、床に落ちる前に拾おうとするはずだから。この時、死に対して思考は要らない、要るのは反射。

「なるほどねえ、思考と反射の分離か。」

考えなくてもいいことを考える。やめてよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少女を拾い、拾われました。 伊勢州 静 @iesuzsus

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る