後後238 暇なので街に出る 2
ドライカレーは、おっちゃんが武国向け特別メニューみたいな形で周知に持っていくとやる気を見せた。
皆が気にしないといくら美味しいものでも広まらないので、領主と王宮に周知させよと厳命しといてやる、とシューレが言った。
さすが美味い食い物には妥協しないな!いろいろと!
で、あとで作ってやるとシューレが言った分は、領主邸でつくっといてやるから安心しとけ。とのことだった。
まだ帰るのは早いので、俺はシューレと別れてまた街を徘徊することに。
カレー食べたので今度は農国ケーキだな?
どこだったっけー、と思ってたら目の前にシューレのケーキ屋。
ああ、ここもなかなか味が広まらないんだよなーもったいない。
なので入る。
「ちーす、おいしいの、シューレがOKだした美味しいのを3つばかり見繕って、あと紅茶ください」
と頼んで席に着いた。
ーー
「うそつけ」
「ほんとです!」
「まずかったらいいつけるからな?」
「・・う、うそです」
「なぜ嘘ついてまで食わせようと?見た目でだめじゃん?」
シューレがOK出したモノだと嘘ついたのだ。
「これはみためじゃないんです」
「は?」
「見た目は改善できないんです、ほらキドニーパイとか、見た目甘いのかな?って思うとがっかりでしょ?」
あーあーあー、、なるほど、だから最初からまずそうに?
「いや、だからって最初から不味そうだとな?」
「まずくないです。食事だと・・、昼食のサンドイッチみたいなものだと思って食べてみてください!」
ばくっ・・・
?
ばくばく、
・・・・
「これ、シューレに”まだ”だと言われたろ?」
「なぜ?!」
「なんか間違っちゃーいないんだよ、なんか。でも2つ3つたりない。なので食べきることもきびしくなる。
あと3つ、なんかばっちりはまるものをどうにかしたら、毎日食べても飽きないじゃないかな?」
「・・・・師匠も同じような事、言っていました」
「だろ?頑張れ・・・・・・あんた、カレーって食べたことある?」
「ああ、一度だけ食べたことありますけど、合わなくって」
「どこで?」
「武国食の店たむらんで、」
「全然カレーじゃねーよ、そんな嘘飯食って何も思わなかったのか?」
「特には」
店番他に居ないというので、「少し外出しますすぐ戻ってきます」と張り紙して扉に鍵かけてカレー屋に行く。
なんかのヒントになるだろうな、と思ったので。
「おっちゃーん、この子に子供向けのやつ一つ。」
「お、早速か?すげーな。さっきのカレーチャーハンか?」
「ううん違う。フツーの子供向けのやつ頂戴。たむらんの嘘カレーたべてアレがカレーだと思っちゃってるんだよね。」
「・・・・・たまんねぇよな、そういうことされるとさ。」
「だよなぁ、、信じちゃんだもんなぁ」
「まぁ、コレが日のいずる国とか南方諸国とかだと誰もあんなの信じないけどな」
「だろうねー」
今の武国は食文化の発展が、アメリカとか豪州並と言ってもいんじゃない?レベルなのだ。
程なく来る。
スープ(カレー)とご飯。ごはんはバターライスなのかな?炒めた?揚げた?薄切りニンニク幾つか載せてある。
まずスプーンでスープを飲んで見るシューレの弟子。
へえ?みたいに小首を少しかしげる。
ご飯にカレーをかける。半分ほど。
ご飯とカレーの量をいろいろ変えて食べていってみている。具も変えたりしながら。
全部食べきった。
「なかなかだな」
「うん、子供向けだけど、はじめてだろ?それを食べきったのはなかなかだ」おっちゃん
「あの、大人向けというのがあるのですか?」弟子
「香辛料、あんたには多分きついぜ?」おっちゃん
「食べてみたいです」弟子
おっちゃんがこっち見るので、ウンと返事した。
ほどなく来た。もうできているからね。
カレーの方を掬って口に運ぶ。
口に入れても顔の変化なし。
へぇ?と俺とおっちゃんは思った。
そのままカレールーのほうばかり掬って飲む。
・・・・・
「あ、なくなっちゃった?」
「・・・はじめてなの?カレー、本物のカレー食べるの、」俺
「え?ええ、なんか美味しいですね。たぬらんのと全く違いますね。」
アレが嘘っぱちなんだって
「へぇー」おっちゃん
「おう、感心した」俺
よく見ると、髪は黒ではなく茶かかっている。瞳もそうだ。
「もしかしたら、ダブルかもな?祖先に農国人とか、いた?」
「しりま・・・そういえば、そういうようなこと聞いたことあったようななかったような・・・」
「ダブルだと、味覚もダブルなので有利だぞ?」
「ダブルってなによ?」おっちゃん
「ダブルアイデンテティ。違う種別の両親を持つと、両方の性質を持てる場合が多い。得なんだ。思考形態も2つ持てるので、考え方にも深みと広さが出る。見ていて判るほどの差がでる。羨ましいくらいだぞ?」
「へぇ、いいな?」
(ただ、生物としてそれをひがんで潰そうとするシングルばかりの土地だと致命的だけどね)
ガクの親友が、そういう立場にあっていた。彼の友人はガクだけだった。
「あの、おじさん、弟子とりません?」シューレのケーキ屋の弟子
「え?あに言ってんお?」おっちゃん
「そうだな、こっちで開花させて、そこから多くの料理を覚え、最後に菓子にたどり着くってんでもいいな」俺
「あんだそれ?」
「シューレが弟子達に教えているやりかた。」
「・・そうなんですか?」弟子
「おう。うちの村からだぜ?シューレが弟子とるようになったのは。基礎からやらされていたな、武国の料理人は基礎だめだって。」
「そこは一緒ですね・・」
「いや、何でもいいんだよ。本気で好きになってやりたい方をやって覚えて、そっからだから。シューレはそういう者に教えるほうが教え甲斐あるみたいだし。だからカレーを頑張ってみれば良んじゃないかな?おっちゃんも、この子は武国人なので武国を知ってるしカレーの美味さを最初からわかる希少種だ。いろいろ思いついたり試したりできるぞ?」
「そりゃそーだよな、俺は農国しかしらないし・・」
「なぁあんた、シューレは多分そうか頑張れ、程度ですませてくれると思う。今度シューレが来たら言ってみ?」
「はい、そうします」
「おっちゃんは、その後いいんだろ?弟子にしてやって」
「お?おう、まぁイヤとは言えないわな、なかなか舌がいいからな、もったいない」
ーー
数日後。
カレー屋に言ってみたら弟子がカウンターに一緒にいた。
「あの翌日さ、シューレさんが一緒に来て全種類食わせろとか言い出して面倒くさかった」とおっちゃん。
「自分の可愛い弟子を渡すんだ、心配だったんだろ?」
「まぁそうだと思って、ちゃんと作ったんだけどな、全種類」
「ごくろーさま」
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