後後225 結婚式(おおやまのぶよの声でよろしく!)


翌朝の朝食の時もおっかさんはまだ居たのでガクは訊いてしまった。

「おっかさん、店はいいのかよ?いつまでいるんだ?」

「え?昼間は店に出ているよ?それよりあんたの結婚式近いんだろ?出てくれって言われててさ」

王様達にだな?大精霊が出席するとか、国に箔付けられるもんなぁ、、


「もうすぐだと、、、アニャータ!式っていつだか聞いている?」

「いえ、もうすぐだとしか、、」

「ありがと!・・だそーです。俺も聞いていない」

「・・・・主役が知らないって、あいつら何考えてんだかねぇ」

「俺もそう思いますね」


結局、朝晩の食事はおっかさんが手伝ってくれているそうだ。

「あんたらが向こうに戻るまでいるよ」とのこと。

なんか申し訳ない。が、

「どうもありがとう!アニャーたがすごく喜んでいるので嬉しいよおっかさん!」

「そりゃよかった。あんたはどうだい?」

「そりゃ美味いさっ!!」

「そりゃよかった。」



数日後。

「おいガク起きろ。領主様が今日式だとよ!」

と泉さんに起こされた。

隣のベッドのアニャータもそれを聞いて飛び起きた。


「いきなりかよ、、」

「おう、、やり方が凄いな、、農国式なのか?」

「多分、将軍式だとおもう」

「納得だな」


まだいつもの鍛錬の時間よりも早いくらい。

眠いのを我慢して起きてシャワーを浴びて目を覚ます。

アニャータもシャワーを浴びて式の準備だ。女のほうが本当の主役なので大変なのだ。


とりあえず3人で食堂に降りる。

で、食べていると、アニャータの侍女になっている娘が、食事が済んだら式の用意に入ります、と言って側に控えた。

俺はまだいいんだ、、と誰も何も言いに来ないのが少し心配になったが、大丈夫だろうと思った。


俺の心配を見越したように、

「大丈夫だガク。俺が食客で地方の小名のところに居た時に祝言があったが、新郎のほうはぎりぎりまで遊んでいたわ。ぎりぎりになって呼びに来てな、それからさっと着替えただけだ。男なんぞおまけだからな、あの時代でも」

と泉さん


へぇ、、どっちかってーと、その小名のところに食客で居た、という事のほうが興味あるね!


かと言って外に出るのも憚られ、仕方ないから庭の隅で泉さんと稽古をしていた。

昼近くにやっとよばれ、急いで着替えさせられ、そのまま大ホールに。

大ホール?って聞き返してしまった。

「ええ大ホールです。お客様が多いので」

おや?

「あの、、これ、どういう客が来ているの?」

「そりゃ周辺各国の王族とか、各領主とか、名のある貴族とか、おたくの各領主様達とか、妖精様達とか、ドラゴン人達とか、いろいろ来ていましたね。そりゃ盛況ですよ?」


おいこら、全く聞いていないんだが?


でも小走りになっているんで、しかもその彼に抗議しても意味ないんで。


で、大ホールの扉の前にアニャータがいた。

「おう!美しい!!人間形態でも美しい!!!」と叫んでしまった!

真っ赤になるアニャータ。

おう!可愛い!人間形態でも凄く可愛いじゃないか!!

流石にこれは叫ばない、小声で。


で、見回すと、いたいた、、公爵様♪

目を合わすと頷いてくれた!お色直しでモフは準備OKということだろう。

ここんとこ毎晩トリミングに精出した甲斐が実るというものだ!!


泉さんに背中を叩かれる。

「切り込んでこい!!」

うん、戦場じゃないから!!

ドラゴン達いっぱいだからっつ!!


中から音楽が聞こえ始めた。すげー、オーケストラ呼んだんだ。グレさんかな?

扉が内側から開く。

一気に音楽が大きくなる。

中が眩しい。

アニャータが俺の手を取る。

「大丈夫、私がついていますから」

アニャータが俺の緊張を判ってくれている。流石だ!


俺はアニャータに連れられて、光の中に入っていく。


その後、


「何も覚えていない」


なんか、夢を思い出す感じで幾分式の事を思い出せる程度だ。

でもヘマはしなかった様子。アニャータに聞く限りは、だが。


「噛んだり、転びそうになったり、はあったがな」泉さん

今は披露宴で座って食事しながら皆と歓談だ。

アニャータはお色直しに行った。


ドラゴニアの王様たちも、日のいずる国王夫妻も来てくれている。

「ボケもまったくなかった。晴れの舞台だというのに・・・」匕王

「とても残念だったわ、、絶対何かしてくれると思ったのに」匕王お后様

あんたらと違います。


「おまえならドラゴン人と結婚すると思って追ったのだが」カンタベリヌス

無理だって・・モフ無いじゃん!


「ドラゴニアの一領主になってほしかったのに」ペドラー

いや、そりゃドラゴニアにもモフいるけど出会いの機会無かったし。


アニャータのお色直しが終わって、入ってきた。

大拍手だ。

それにふさわしく、超美人になってる!

うん、猫は次かな?


アニャータはここに来るまえに人々に囲まれた。

可愛いを強調した最初、で、お色直しでは美人を大強調。

モテモテである。特に女性たちから。


やっと抜け出して戻ってきたので、水を手渡す。

「ありがとうございます!緊張で喉乾いたわ!」

アニャータも緊張するんだ

「そりゃしますよー、あれだけ凄い方々に囲まれれば」

ドラゴニアの王妃様達とかだね。怖いよね!


「猫ですからねぇ基本」

「俺は人間だよ」

「ガクさんは人間なのにあの方々と付き合うのだからすごいです」

「鈍感だから?」

「それでも?」

おや?鈍感を認知されていた?


それからアニャータは少し食べ物を食べていたら、公爵が呼びに来た。

いよいよだ。

「借りていくぞガク」

と、公爵はアニャータを連れて行った。


すぐ来るわけないのに、出入り口のでっかい扉が気になってしかたがない。

半時間ほど過ぎたであろう頃、その扉が開き始めた。

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