後後214 妖精親子の店、再び


他のお客さんはいつの間にか帰っていた。


「おっかさん、他の客はおっかさん達が妖精だって知ってるのか?」

「さあ?どうだろうね?」

しらねーな?というか、本人達が忘れてたみたいだし、、妖精って言われたのが二百年ぶりとか言ってたし、、


「いいのか?さっきの客」

「ああ、夜にしか外に出ないらしいし、、ほとんど誰とも喋らないようだし、、ダイジョブだろ」

セミヒキニー?


「あ、ケースさ、、、」俺

寝ていた。テーブルに突っ伏して寝ている。


「多分、脳を使いすぎて耐えきれなかったんだろう、、、しかも腹がむちゃ膨れたし、、」俺

「あー、、大変だったみたいだからなぁ、、」泉さん

泉さんが他人事みたいに言っている件


会計してから

「おっかさんたちは夜だけなんですか?」俺

「あたしゃ昼間も出てるよ。寝ないでいいからね、あたしの店だし」

「なんかフィジニみたいだなー」

「あいつも知ってるんかい、、」

「たまたまっす」


呼ぶ体質なのかねぇ、、とかポツリと言われた。

気にしないでおこう。


「んじゃ明日も来るからなー!」泉さん

「ごちそーさまー!」

と、俺がケースさんをおぶって運ぶ。


宿は遠いぞ?

くそー、やっぱ下町に宿を代えよう!




翌朝

泉さんはちゃんと起きて、食った分を鍛錬で旨く処理しているようだ。俺も途中から参加した。

鍛錬後風呂場で汗を流してさっぱりしてから朝食。ケースはまだ起きていない様子。


食後に、帳場に行って俺らは市場の近くの安宿に移ると言った。で、「あそこらの安宿でおすすめある?」と訊く。

そのおすすめの宿の名をケースに伝えてくれと伝言を頼み、俺らは宿を引き払った。


市場の近くなら銭湯にも飯屋(酒場)にもあのパスタ屋にも、更に多くのケーキ屋にも近いだろう。便利だ。


裏道をのんびり歩きながら行くと、泉さんが早速ケーキ屋発見。比較的市場寄りなので以前も立ち寄ったかも知れない。


そこのケーキを食って思った。

「うん、来ていないな」俺

「あ?以前のことか?」

「ええそうっす」

「うん、こりゃ来ていないな」

味が極普通というか、無難過ぎる。こういう味だと俺らにとってはブー!!なのだ。


ケーキは己を主張しないといけない。私はケーキよ!美味しい美味しいケーキなのよっつ!!!って。

もし主張しすぎてぎんぎんにとんがってても、それはそれでありなのだ!

大蒜ケーキとは韮ケーキとかのアホなのはダメだけど!!


2個ずつ食べて、店を出た。


その後宿屋に到着。部屋が空いていたのでそのまま入れた。少ない荷物を部屋に置いて出かける。

以前シューレから貰ったストレージを泉さんが持ってきているので持ち物を全部仕舞えるが、一応体裁を取って少しは荷物を持ってる。なくなっても困らない程度のもの。


市場に向かう。勿論裏通りを通る。

その市場の手前にもケーキ屋発見。スポンジが重めの重量級。だがその分具だくさんにできてるようで、クリームと果物が沢山だ。


ただ、密度の濃いスポンジが緑茶(抹茶)味というのもあり、俺はそれを頼む。

泉さんはまずはいちごのショートケーキといちごシュー。紅茶で。俺もケーキは緑茶なので茶はミルクティーで。

クリームが使われてりゃミルクティーだな。


シュークリームも、シューが厚めでしかも密度高め。なので皮が重いんじゃないか?と思えるほどだし、大きさもでかい。アメリカ人か豪州白人の大人の男のこぶし大。


次もあるだろうと、2人ともなんとなく思ったので、それだけにしておいた。ココにはまた来よう、と思っていると。


あれ?

奥の席に見たことある娘、、

昨晩の店のウエイトレス、厨房の妖精の娘だ。


うん、とりあえずノータッチで行こうと、泉さんをうなずき合う。


早々に店を出て、中央市場の中に入った。

食べ物屋台の集まる所で串焼きなど食べて昼とした。


「夜に備えて、帰って少し寝ません?」俺

「ああ、俺も今それを言おうと思ってたトコだ。帰ろう」


宿に戻ったら一階の食堂にケースがいた。

「私もこっちに移りました。夕方出るときに、またご一緒させてください」ケース

「んじゃ、夕方まで俺ら寝るから。できれば、ケース、起こしてくれるか?」泉さん


結局ケース氏も眠くなって少し寝るんで、宿の主人に頼んで、ケースも部屋に戻って寝た。


ーー


夕方、ガクと泉が銭湯に行ってそのまま飯に行くと言ったら、ケース氏も一緒に行くと着いてきた。

なんか彼の世界観を変えてしまったか?それほど面白かったのかな?

(そうなんだろうな、、剣の面白さを知り始めた子供を見ているようだ)泉さん

方向誤ると大変だな、、、



銭湯では、今日はどんなものたべるんですか?とか、ごく普通の会話だけだった。もともと真面目な商人みたいだし。

上がると、泉さんはまだ居らず。いつものように縁台に座って待つ。

焼きたてどら焼きみたいのがあったので2つ買って一つケース氏にあげる。

あんこの中に栗とくるみの砕いたのが入っていて香ばしくて美味かった。


「お、いいの食ってるな、、、」

いつの間にか目の前に泉さんが立っていた。


連れてきてくれたおばさん達に礼を言って別れ、屋台に言ってどら焼きを買ってやってから、よさげな飯屋を探す。


「泉さんは、いつもおばさん達に世話されるんですか?」

と、挨拶など慣れているように見えたのだろう。

「子供一人だからおばさんたちはどうしても世話焼くんですよ。その親切が有り難いでしょう?」俺

「おう、無下にもできないしな、、だから毎回どこでも世話になっておく」泉さん


少し歩くと、もう混んでる店が見つかったのでそこにする。

店の中は一杯だったので、外にだしてあるテーブルに座った。


「ここの街の夕食は早めに店に入らないと席の確保も難しいようですね」ケース

「今日は早めだと思ったんですけどねぇ、、」

「探せばいいとこでそう混んでないとこあるんじゃねーか?」

あとであの妖精おばさんに訊いてみよう、、



流石にかなり混んでただけあって、飯は何でも旨く、いろいろ追加で注文する泉さん。ケース氏も面白がって次から次へメニューを見て注文していく。

酒はここのうまい奴を燗で。熱いうちに飲むのでピッチが上がる。



早めに出来上がってしまったので、まだ夜半には早いが店を出た。これ以上居ると2人は泥酔しそうだったのだ。


あの店には歩いてすぐだった。



からんからんからん、、

「いらっふぁいまふぇー」

また、同じ客からおごってもらって、口にパスタをほうばりながらのウエイトレス。


「いいから食べてて。俺ら勝手にやるから」と言っておく。

3人は席に座って、

「「おまかせでいいです」」泉&ケース

・・・・・なるほど、、


カウンターの奥にアタマをツッコミ、厨房に

「こんちはー、、注文いっすかー?」

「いらっしゃい。どうぞー」

「お任せで、昨日と同じくらいの量より少し少なめでください。あと、今日こそ先にタルト食っときます。」


と、小ぶりの皿を3つ持ってタルトを取りに行き、タルトを載せた皿を泉さんとケース氏の前に置く。

「おう、食前ケーキか、うまそうだな」

先程晩飯と晩酌を終えたばかりの泉さんである。


早速頬張っているケース氏

「ふはひふぇふへぇ!」

「ふむ!」

2人共カス飛ばしてまでも食いながら話すな、、


すぐ食い終わり、モノ欲しそうな目をする2人。

「だめです、昨日と同じようなボリュームが来ますので、そっち優先です」

と拒否。

「食後のデザートにであれば、食べまくりましょう。」

と言うと、目を輝かす2人。

昨日くらいなら行けると思っているんだ、、、、

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