第333話 後後208 ゴルダ最終日 あすはスタリッツアに、、


酒屋は入ってすぐ左が奥の壁までカウンターになっている。立ち飲みもできる仕様だ。農国ではよくある店。

右手には棚が広がっている。通りの窓側に高いところに明り取りの窓が小さく開いているだけ。酒は陽の光を嫌う。


カウンターのおっさんにどぶろくを2杯頼む。

カウンターのおっさんは、ちらりと泉さんを見て、ほどなくどぶろくの入ったコップを2つカウンターに載せた。

飲んで見る。


「うん、いんじゃないか」泉さん

「ええ、いいですね。」

お代わりとつまみをもらい、外にあったちいさいテーブルに着く。

泉さんは時折煙管を吹かし、それから2杯お代りして、酒屋をあとにした。


「晩飯後に清酒飲みに来ようぜ!」

「ですね、うまいんじゃないですかね」

どぶろくがうまいんで、清酒もうまいものを置いているだろう。


日もかなり傾いている、

「早めに晩飯にするか?」

「良さげな店があったらそれもいいですねー」



市場の裏通りだけあって店も人通りも多い。のんびり店を覗きながら歩くのがいい。

乾物や素材などの店が多い。

が、食べ物屋も少なくはない。

人が集まるところだからだろう。


結構混んでいる食堂があった。

見ると酒も飲める様子だ。

「入ろうぜ」と入っていく泉さん。


だが、流石に混んでいる店なので席が空いていなかった。

「ちょっとまってな!」

と、店の者がテーブルをどっかから持ってきて店の外に置いた。イスも2脚持ってきて、「悪いがここでいいかい?」と。


「おう、悪いな、勿論ここで十分だ」泉さん

「なにが人気なんですか?ここの店」俺

「あ、、なんでも出るなぁ、、今日は川魚の美味いのが入ったぞ。」

「山鳥はどうだ?」

「ああ、新鮮だ」

「鹿は?」

「そろそろだが、まだ少し早いな。煮込みのならいけるぜ」


焼いた川魚2本、山鳥のモモ、胸肉の焼いたの、それと鹿と野菜の煮込み。

あと熱燗。外はほんの少し肌寒い。

熱燗と言った時、「わるいな、、」と店の者。


酒も美味いのがでたが、食い物もうまかった。煮込みがかなりいっていて、お代わりした。店の者は自慢げだった。

客が半分ほどに減った頃、俺らも引き上げる。


「うまかったっすねー、、」

「ああ、旅の醍醐味だなぁ、、美味い店を見つけるってのは」

・・・前回の旅は、ほぼそればかりだった気がする、、


いや違うぞ、最後のほうは結構いろいろ苦労したろ?、多分、苦労はつまらないんで覚えていないんだろうけど。


宿に戻るとうまそうな匂いがした。

「カレーだ、、」泉さん


カレーを2つ頼んでしまう。しかも辛めで。

勿論熱いチャーも。


「泉さん、酒、完全に冷めちゃいますよ?」

「まぁ、しかたあるまい、この匂いを無視できないだろう?」

確かに。


うまいカレーで腹いっぱいになり、ぐっすり眠れた。

辛さは、翌朝を心配するほどでもなかった。



翌朝、宿一階食堂で朝飯中に、

「ひーふーみー・・あれ?もう5日目くらい?」

「そんなになるか?仕方がない、明日は戻るか、、」

もっと旅したいなー、、


「ブートッチ、行きたいな、、」

「おう、将軍様も楽しんでたトコだよな、おもしろかったよなぁ、、」(後ー29話から後ー42話)

今なら言える、旅の目玉だった街だ。


「・・・領主様、行ったことなかったっすよね?」

「おう、、なるほどな、、」と黒い笑みを浮かべる泉さん


「んじゃ、明日はスタリッツァに帰るか!」

「ですねー」

帰るにも目的があれば憂いも持たずに帰れるというものw


なので、今日は強行軍でケーキ屋を巡る。


裏通りでも石畳なので結構楽だし埃も少ない。なので店も通りにテーブルや商品を出しているとこも多め。

だから歩いてて楽しい。


「ここ、以前入ったことナイっすね、、」

「前には無かったのかな?、、いや古そうだし、、」


「いらっしゃーい!この店ですか?昔からありますよー」

「数年前に来た時、ここらに泊まっていたんだけど、目に付かなったなぁ、、」


「ああ、もしかしたら数カ月店を閉めていたことあるんで、その時かも?」

「んじゃ今日はちょうどよい、味の確認だ!」泉さん

「どーぞ!なんでもおいしいですよー」


まずはケーキ2つづつ。ほかも回る予定なので少なめに。

だが、、、


気づいたらお代わり3度め。6個である。

「ガク、メニューにごはんものあるぞ、、昼も食っていこうぜ!」

泉さん無限胃袋?


めずらしい、、リゾット。洋風おかゆ、、

パスタも麺ではなく、いろいろおもしろい形のやつで、スープスパ系。


「スープが得意みたいですねぇ、、」

「ご名答!」と先の店員さん。


「味噌とか入ってるの、あるか?」

「それはー、、うち系じゃないんで、、、」

「なるほど、、んじゃカレー味は?」

「ありますよ。」

どういう違いなんだろう?規準がわからん、、


泉さんが山鳥のリゾット、俺がカレー味のリゾットにした。

来たら早速味見後、泉さんにとられたんでリボンパスタのスープモノを頼む。

来た。トマト系、ベーコンかな?燻製肉かな?が旨く、、、泉さんに取られた。

なので、


いろいろ変わった形のパスタが入ったスープもの。ミートソースのスープみたいな感じ、、デミグラ系ってのかな?イモや人参も入っててうまい。腹に溜まりそう。

泉さん、さすがに半分しか持っていかなかった。


「あとでケーキが食えなくなりそうなんでな、、」

・・・・・


食べ終わり人心地つき、さあ次の店かな?と思ったら、

「まだ食べていないケーキを3つ持ってきて」

と注文する泉さん


仕方がないので俺も2つ注文してみる。


他の客がほぼいない時に給仕の子

「お客さん、すごいですね?滞在記録更新です。」

「ああ、この子、知っている?ケーキ食べまくりとかで有名な、、、」俺


「あ!聞いたことあります!丁度うち休んでた頃に出没していたっていう!!」

・・・出没?


「うん、まぁそれかな、、」

「納得です!!いやー、、生で見られてうれしいなー」

・・・珍獣


「珍しいんで、私の作ったのをサービスしますねー、待っててください」


ほどなく、、

抹茶とミルクのスティック。山形だったかのミルクケーキみたいなやつの抹茶版。


砂糖とミルクなしの紅茶を飲みながら食べた。うまかった。


「保存食と一緒に持っていたいな、、」泉さん

ああ、なるほど、、甘いの欲しくなること多いよねー


「これ、売ってるの?」

「え?まだですけど、」

「んじゃ、今から売り出さない?俺ら客一号。100本ほどほしい」

「・・・20本くらいしかないです、、作るの数日かかるし、、」


ということで20本もらっていく。


アニャータに半分、将軍様と領主様に2本づつくらい?

「俺も5本な!」泉さん

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