第296話 後後171 開拓村と柿


今日も朝から晴れだった。空気も爽やかで、とてもモフ日和である!!


朝から鍛錬に引っ張り出されて汗かいているガクは、そう思った。意識を楽しい方にしていなきゃ、やってられないのだ。

だらだらやってると泉さんの木剣がケツにくるし。


その後風呂浴びて朝食。もう結構良くなってきていて、ゲッ!とか言う者もいない。なんか入っているとか、切りきれてなく繋がっているとか、半生とか、味噌の塊とか、ないということ。

シューレのスパルタは、理にかなったとても効果的なものだということだ。

泉さんの剣のスパルタと一緒だな、、、嫌だけど、、w


でも、そのおかげで、ガクは嫌々居やっていても、小館村ではドベ辺りの強さでも、村の外の世界ではそこそこ強くなっているのだが、ほぼ全く闘わないので、ガクは自分の実力を知る機会は無い。


「俺はメシクッたらあの村にいくけど、行くか?」泉さん

「あ、行きます、なんか持ってくんですか?」ガク


「ああ、新し種と苗木いくつかが手に入った。」

「・・実の成る木?」

「・・柿、だ」

「え!!あったんですか!!?!!」

「ああ、珍しいだろう?無いと思ってたわ、、」

「ですねぇ、、渋でも吊るせばいいし、、」

「蔕に酒かけて置いといて渋抜きもできるぞ」

「柔らかくなっちゃうけど、うまそうですねぇ、、」

「ああ、楽しみだ」

ももクリ三年柿八年、、、、おっさんだな、、そんときには。


ーー


当然村長の家には誰も居ない。

皆畑や森だろう。ここは超働き者だからな。

荷物を置いて、馬を小屋前に繋いで、畑に行く。

通りすがりに見てきたが、実りはじめてて、実りも良く、上手く行けているように見えた。

何よりも耕作地が激増しているのにはびっくりした。

が、まぁあのモグラがいるんだからなー、と納得。


「でも、森の端も結構切り開かれているのがすごいですね」

「だな、、ありゃモグラの威力もあまり使えないしなぁ、、根っこのときは頑張ってくれるだろうけど、、」

切り株抜くのが最も面倒くさい。根がすごく張っているのだ。特に下に張っている根は切りにくい。モグラがそこを切ってくれればかなり楽になる。


「材木が必要だったんですかねー」

「そうだな、何か作ってるのかもなぁ」


目の前に広がる畑やその端には何も見えない。

川のほうか、村の裏のほうか。


リーダーが気づいて、作業の手を止めてやってくる。

「お世話様です泉様、ガク様。連れてきてくれたモグラのおかげで、ここまでになりましたよ。助かりました。」


「いや、丁度良かったな。今日は種と苗木を持ってきた。苗木は柿だ。聞いたことあるか?」

「・・・・珍しいですね?あるとは思いませんでした。」

「「・・・って、外来かっ?!!」」

「ええ、まぁ、、何もできないんで、黙っていたんですけどね、、」


訊かないほうがいいのかな?とガクと泉は思った。


「種のほうは?」

「ナッパだ。あと大根。」

「そりゃ助かります。ナッパは速いし、大根は寒い時でもイケるし、、弱くない。」

「ナッパは虫がくるけどな」

「ですよね、、アヒルとか居ればいいんですが、、」

「アヒルかぁ、、鶏ならいくらでもいるが、、」

「あ、上村で見たことあるかも?というか、聞いたことあるかも?鳴き声。かもかもしれないけど」

「鴨も、羽切れば飛べないしな、、ちょうどいい、上村に行ってみるか?紹介しとくわ」

「はい、お願いします。」


リーダーは他のものに出てくることを伝え、3人で荷馬車で上村に向かう。


「そー言えば、、東の大陸から来た難民達の村って、どうなったんですか?」

ガクが泉に訊く。

「ああ、でかすぎて俺は最初しか関わっていないが、あの規模は最初から小館よりでかいからなー、、街でもできてんじゃねーの?」

「二千人くらいでしたっけ?」

「ああ、2−3千だな」


「でっかいですね?それが難民で?、でもって一気に入植を?」リーダー

「ああ、最初は俺の村の隣にしようとしたんだが、、人が多すぎてな、、ずっと南の方に入った。」

「まぁ、この南なら、土も悪くないでしょうし、、木もそう多くないので、、」

「うん、最初行ったが、よさそうだった。人数居るからかなり早く開拓できたんじゃねーの?川も下流で、そのまま南の領通って海までだしな。漁師がいるから船は得意だろう」

それは羨ましい、とリーダー。


使える技術や知識は重要だ。

それを応用することができれば、更に良い。

ガクは自分ではなんとも思っていなかったが、それが出来ていたから、小館があそこまで延びた。また、熊という良い技術者が、それを昇華させられ、効果を倍増させた。


上村まではさほどかからなかった。

「これなら、上村の市にも出られそうですね」とリーダー

「小館と上村は、いーもん作ってるぞ?よほどでなければ太刀打ち難しいからな、頑張れ」泉

「・・・はい。」


「まあ、かなり参考になると思うんで、そういう目でみれば、、」ガク

「はいそうですね、、そうします」


上村の村長に挨拶し、紹介し、アヒルのことを聞いた。

いるらしい。が、まだ数が多くないので、ひとつがいだけ、ということで譲り受けた。

あひるも環境さえよければぽこぽこ卵を生むので、すぐ増えるだろう。


市は昼ごろまでやってるので、少し見て行く。

村の広場で、それぞれ持ち寄ったものとか、商人が来て物を売っていたり、菓子など作ってきて売ってる者もいた。

中古道具を広げている者もおり、3人は張り付いた。新興の村だ、良い道具はいくらあっても足りない。


結局、かなり買い込んだ。おまけも結構してもらっていた。泉さんの見た目を活用した様子w


帰りの荷馬車。酒や食い物も泉は買ってやった。荷物が結構あると気分もなんかよくなる。

「ありがとうございました泉様、道具にゆとりができると助かります。」

そうか、、必要分は最初に与えるが、、、余裕はないんだなぁ、、

「ふむ、、これからは余裕分も考えるべきだな」泉

「ですねぇ」ガク


「少し経ってから、何が更に必要なのか?を出させればいいと思います。」

リーダー、現場の声だ。重要なもの。


「ときに、お前らのとこで、あったら助かるな、とか思うモノって何かあるか?」泉

「催促したみたいな形になっちゃったな、、」

「違うって判っているから、遠慮するな」

「この際だから結構言っておいたほうがいいですよ?」

ガクはリーダーが外来だとわかり、気分的にフランクになれている。


「いずれ、小館みたいに、鉄や焼き物もやりたいですね、、木工もやりたいし。」

「わかった。、、あと、今何か作ってるのか?」

「わかりますか、、川のほうで少し、」


帰り道、川に寄ると、桟橋。

板が、、、

「皆素人なので、丸太からノコで板にするのができず、半分にしただけで、、」リーダー

その半分の丸太の切ったほうを上に向け、組んで釘付け。

「丸太そのままよりも歩きやすいな、今はいんじゃないか?これで。そのうちうまくなるだろう。」泉

・・・

「船もほしいな。とりあえず一艘、少し時間かかると思うが、、、」泉

「いただければ有り難いです。いつでも結構です」リーダー


通常、入植地でここまで恵まれているのはまず無い。

武国の東武領、しかも小館関連で、その上、泉が直接見ているから、だ。


彼らは、あの時、運に拾われたのだった。(中−14話)

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