第282話 後後157 将軍様
その後も、小館村は平和が続いていた。
それぞれ個人がそうだとは言い切れないけど、、
少なくとも将軍様は幸せだった。
まず、ほぼ毎日娘の華子から受けていた理不尽な仕打ちを受けなくなった。
そして、毎日3食うまい飯が食べられる。
便利。離宮は城に比べりゃかなり小さい。なのであまり歩かなくて済む。
その分風呂など小さいが、風呂は毎日銭湯に行っているので問題ない。執事は、止めてくれ、外国の兵たちがいるんだから、と懇願するが、顔見知りだから大丈夫だ!とにべもなく、、
そして、この村には強ぇ奴等がいる!!
将軍は朝の鍛錬に参加している。
基礎が終わってから格に応じて掛かりげいこ。
その時に将軍は泉に挑む。
ガクは見学している振りしてさぼる。
十数段格下だと思っているガクが見ても、泉はあの強い将軍様相手に余裕である。
いつの間にここまでになっていたのだろう?
・・・
ガクは思った。
もしかしたら、先の東の大陸で、泉さんが山狩に参加できなかったのは、そのせいだろうか?
将軍が、下の兵士たちに手柄を上げさせたかったのだろうか。泉さんがいたら、一人で何人も狩っちゃうからね。
まさか自分が闘いたいからなんてこたないよな?まさかな?
・・・・・聞いてみたい気がした。
鍛錬が終わると皆それぞれ風呂をあびたりして汗を流してから朝食を取る。鍛錬した者達は大概シューレの食堂に行く。
将軍は鍛錬にかかわらずシューレ飯。そのために来たのかな?くらいに入れ込んでいる。まぁわかるけどね。
食堂で、将軍が食事を終えて茶を飲み始めた時、いっすかー?と言って将軍のテーブルに相席させてもらい、
「将軍様、先日のことで一つ聞いていいっすか?」と軽めに言ってみる。
多分、王宮でのことだと思うだろう訊き方。
いいよ、って言うので、
「東の大陸の時、なぜ泉さんを山狩に参加させなかったのですか?」
あ、何のことだか思い出せない顔、あ、思い出したな今、あ、どんどん思い出しているな、、汗が流れ始めているよ?
今日暑くないけどね、むしろまだ朝だし涼しいし、、
どう答えようか、って迷ってるね?
おもしろいなぁ!この人!!
というか、、皆に好かれるのわかる気がするww
これだけ素直だと、、なんか、ついててやらないと危なげな、、、w
「大丈夫です将軍様!もうわかりましたから、そう悩まないでください、、」
と、言うと、ホッとした顔に成り、
「そうお?いいの?わかったの?なぜだか知らないけど、、、」
で、将軍の挙動がおかしくなったあたりから、みなの視線を集めていた。
見回すと、いつの間にか泉さんも来ていた。まぁ来るのは当然だけど、メシ食うのここだけだし、、
今、最後のひとくちをかっこんで、、、席を立ち、こっちにあるいて、、
「将軍様、俺はわかってました。部下たちに手柄を分け与えたかったんでしょう?俺が行くとみな俺がかっぱいじゃうから。決して将軍様が自分で敵と闘いたいからとかではなく、できるだけ多くの部下に少しでも手柄をたてさせたかった、んでしょう?わかってましたとも。」泉
将軍、ちいさくなっている、
「・・うん、、そうなの、、ありがと、、、」
ここにいる皆が思った。
俺達ががんばらないと!!
と。
いつの間にか領主様も来ていて、、いつ村に来たんだろ?
「・・・昔は、、常に強者のオーラ撒き散らしでなぁ、、姫(華子)でさえそうそう声を掛けることもできなかった。」
「そうなんですか?」
「おまえ、最初の、一番最初に会った時、覚えているか?」
「・・・・あ、モフ神の神棚の時、、」
「そうだ。あの頃はまだそれがあったな、半分くらい、、、」
そう、あの時は怖いと感じたんだった。あれで半分?んじゃ100%のときだったら、物も言わず平伏してたなー俺。五体投地してたかもしれん、、、
「あのモフ神の頃、その少し以前からかな、、儂が高速馬車を見せびらかしに行った時からかもなぁ、、小館の状況、うちの領の生産の状況など話したからかなぁ、、まぁあの時言わないでもそのうちわかったろうし、、モフ神の件があったしな」
おや?暗に、おれのせいだ、と言われている気がする。
「いや、、何が悪いとかいうのではなく、時代が変わってきている、ということなんだろう。」
俺が変えたってか?
「いつかは、変わらねばならないことだからな、、強さだけ、というのでは、もう足りないのだろうよ。」
でもな、と続ける
「姫(華子)に、あれだけコケにされているのを見るのは、友人として辛いぞ?。姫も我が子のように可愛いが、でも将軍様との付き合いは子供の頃からだからな。」
ごめんなさい、博子のせいです、100%博子が悪い。
博子が改めるまで将軍様を返さない、ということで、領主様とガクの意見は一致した。
特に、お后様に強くお願いしておく、と領主様は言った。
お后様も領主様とは長い付き合い。将軍さまとお后様の婚姻が決まり、許嫁になったときから3人でいることが多かったとのこと。
少しだけ、その時に領主様の奥方がそのときお后様から紹介されたようなことを言った。
自分の子供は可愛いが、血の繋がっていない嫁を子供より大事に思うのと、同じようなものなのだろう。なにせ付き合いの長さが全然違うからな。
最後に領主様は、
「あまりいじめないでくれな。学友だった儂の教育も至らなかったが、、、儂にそういう責任があるので、気づいた時は、できれば先に儂に言ってくれ、、」
と、俺に釘を差して行った。
うーむ、、将軍様より領主様にかわいそうなことしてしまったか、、、
外来二匹にいじめられる将軍様の図になってしまったからなぁ図らずとも、、博子は100%博子が悪だけど。
領主様は速攻でお后様に言いつけたらしく、翌週には華子姫が将軍様に謝りに来た。博子は来ていない。
謹慎なのか牢屋にぶち込まれているのか、、
姫もやっぱり食事時は食堂に来たので、聞いてみたら、
「お稽古ごとをみっちりやらされているわ。少なくとも私ができること全てできるようになりなさい、とお母様から厳命されたの」華子
すげーお后様すげーーー、、、博子の弱点もろじゃん、、一番苦手まみれな毎日、、、
ぷwwwwwwwひろこ、、ぷwwwwwww
「そうそう、言付かってきてるの、、泉様とね、ガク先生もどうですか?って。王宮付きなのだから、覚えておかないとまずいでしょう?って」
・・・・・・・・・・・・(汗がたれ始める)
これは、渓谷だな、いや、警告だな、、、
汗が滝のように流れるガク
俺と泉さんが、結構将軍さまとタメっぽい感じしすぎているんで、、、おまえらも博子になりたいか?ってんだ、、
・・・
考えておきます、お后様には、「わきまえますので、どうかお許しを、、」とお伝えください、と、姫にことづけ頼んだ。
すぐに泉さんにこのことを話した。
泉さんも青くなって、
「将軍様が、もちっと威厳取り戻すなんかするほうがいんじゃねーか?」と。
お后様にインパクトあることなんかしないとまずいじゃね?ということらしい。
江戸時代の人は、そういう時代を生きてきたから、俺とは違うんだろう。なのでその言に従うに越したことはないかもしれない。
これは、博子のとばっちりではない。博子の件で、表にでた事、なだけだ。今まで俺達の言動が、よろしく無かった、ということだ。
多分、将軍様の威厳が低下したことの一部か半分かくらいは、俺らのせいかもしれない。福田氏とかも含むかもね。現代人だし。
「よし、領主様を巻き込んでやりましょう!」俺
ジト目で見てきた泉さん、
「でも、それがいいかもな」と。
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